平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

公募研究班

卵細胞被覆構造体の解析を起点とする配偶子融合のメス側因子の探索

被子植物の受精前の卵細胞を電子顕微鏡で観察すると,興味深いことに中央細胞と接する細胞壁部分にのみ,電子密度の高い顆粒状の構造が蓄積している.この構造体は様々な植物で古くから観察されていたが正体は未だ不明である.本研究ではこれにブリーシンガメンと名付けて,質量分析による構成タンパク質を網羅的に同定する.同定した因子のなかでも特に,精細胞膜上の受精に必須のタンパク質であるGEX2やGCS1/HAP2と相互作用する因子について機能解析を行う.また,ブリーシンガメンの形態について,高解像度の電子顕微鏡の連続切片像から3Dイメージを構築する.以上の解析を通じて,ブリーシンガメンの役割や配偶子融合の分子メカニズムを明らかにする.
ブリーシンガメンの高解像三次元構築に用いる集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)については,試料の固定条件や観察条件を決定した.一方,卵細胞の分泌タンパク質を蛍光タンパク質でラベルすることで,ブリーシンガメンの可視化に成功した.この蛍光ラベルされた顆粒状構造は,細胞壁分解酵素液による処理と遠心操作で簡単に分離することができるので,精製条件を検討した後に質量分析による網羅的な因子同定が可能である.本研究で得られた成果は,プレスリリースや解説記事の執筆などによって広く社会に発信していく.

メンバ―リスト
  • 丸山 大輔横浜市立大学 木原生物学研究所
  • 大井 崇生名古屋大学 生命農学研究科