平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

公募研究班

植物オミックス・知識情報の統合解析による新種誕生の機構解明とデータベース構築

本研究課題では、大規模なオミックス情報と生物学的知識情報を統合解析するシステムズ・バイオロジーのアプローチから、種の維持や新たな異種ゲノム合一の機構に関わる遺伝子群を網羅的に探索し、植物新種誕生の原理を解明することを大きな目的とする。この網羅的な遺伝子探索には、公開データベース上において急速に蓄積している大規模オミックス情報を活用した、網羅的な比較解析(種間・器官間・ステージ間・処理間など)が望まれる。これらオミックス情報には、多様な植物種のゲノム配列情報やトランスクリプトーム(mRNA配列および遺伝子発現量)情報が含まれる。植物界のオミックス情報の網羅的な種間比較解析を実施する上で、達成すべき課題がある。まず、公開データベースから提供されているオミックス情報(実験データ)を入手しても、網羅的な比較解析を直ちに実施できない。このことは、それぞれの実験データに付記されている実験条件(材料名、サンプルが由来する組織・器官・生育ステージ、処理方法など)の記述方法・用語が統一化されていないため、取得した全実験データに対して実験条件に基づく分類ができないことに起因する。また、大規模な遺伝子発現データを処理する際に、従来法の多くは非現実的な計算機リソース(計算時間、CPU、メモリーなど)を要求し、解析を実行できない。遺伝子・タンパク質の生物学的機能情報(機能アノテーション)についても、情報基盤整備が求められる。新規遺伝子の機能推定では、塩基配列や発現プロファイルが類似する遺伝子群の機能アノテーション情報が有用な情報基盤となる。植物遺伝子の高信頼度な機能アノテーション情報(知識情報)を集積することにより、機能未知遺伝子の機能推定を高速化できる。そこで、本研究では、公開されている高速シーケンサー・データの網羅的な分類、大規模解析手法の検討、生物学的機能アノテーション情報整備を展開し、植物新種誕生の原理に関わる遺伝子を探索するための情報基盤・解析基盤を整備する。

メンバ―リスト
  • 矢野 健太郎明治大学 農学部