平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

公募研究班(H31-32)

重複受精を制御する因子間相互作用の解明

被子植物の重複受精では2つの雄性配偶子(精細胞)がそれぞれ間違うことなく、雌性配偶子(卵細胞または中央細胞)と受精する。雄と雌の配偶子が対面してから受精に至るまでの間には、配偶子間での認証・接着・融合反応が正確に進行する必要があり、これは各配偶子上に存在する因子(膜タンパク質)によって主に制御されている。これまでに、接着に関わるGEX2と、融合に関わるGCS1が同定されていたが、2種類の雌雄配偶子ペア確立に必要とされる認証に関わる因子は見つかっていなかった。我々は平成29-30年度の解析によって、被子植物の雄性生殖細胞膜に局在するLGM1(論文発表後、DMP9と表記変更)が重複受精因子として機能すること、さらに卵細胞との認証に関与することを決定付けた。これで、受精反応を進める認証・接着・融合に関わる因子が1つずつ、明らかになった。
平成31年度以降はDMP9の分子機能解析を進め、受精制御における鍵と鍵穴の仕組み解明を進める。この研究の一環として、既知の重複受精因子(GEX2、GCS1)との関係性も検証する。これまで個別に同定され、特徴付けられてきたそれぞれの受精因子が、重複受精進行においてどのような順序で機能し、役割分担しているのか、受精を可能とする必要条件についても明らかにすることで、重複受精制御の包括的な理解を深める。また、これまでに同定された上記3つの因子はいずれも雄側の因子である。雌側受精因子の捕捉も視野に入れ、DMP9およびGCS1が相互作用する新規因子の同定を試みる。

メンバ―リスト
  • 井川 智子千葉大学 園芸学研究科
  • 森 稔幸順天堂大学 医学部