公募研究班（H31-32）

減数分裂におけるイネ異種ゲノム間の染色体認識機構の研究

減数分裂には様々な「鍵と鍵穴」が存在する。その代表的なイベントとして、減数分裂染色体の相同性認識と相同組み換え、対合などが挙げられる。例えば、野生種のもつ有用な遺伝子を栽培種に導入する場合、一般にはまず種間交雑により雑種を作り、栽培種の戻し交雑により有用遺伝子をもった新しい品種ができる。しかし、多くの栽培種と野生種の組み合わせで、雑種における種子不稔が生じる。その原因のひとつに、栽培種と野生種の染色体構造の違いが挙げられる。減数分裂では、両親に由来する一対の相同染色体が対合し、遺伝子がシャッフルして子に伝達されるが、染色体構造の差異が大きい種間雑種では、しばしば互いが相同であると認識されず、減数分裂異常が引き起こされる。つまり種間雑種では、減数分裂における「鍵と鍵穴」の掛け違いが頻繁に起こっているのである。
本研究では、主に栽培イネとアフリカ野生イネとのF1雑種（SP雑種）の減数分裂で生じる染色体対合不全をモデルケースとして、ゲノムワイドな解析手法を駆使し、イネ属種間の減数分裂隔離に関する研究を行う。減数分裂隔離のメカニズムが解明できれば、野生種のもつ農業上有用な遺伝子の育種利用が進むと期待される。

メンバ―リスト

• 野々村　賢一国立遺伝学研究所　植物細胞遺伝
• 津田　勝利国立遺伝学研究所　植物細胞遺伝
• 三村　真生国立遺伝学研究所　植物細胞遺伝

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