平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

公募研究班(H31-32)

植物の雄性配偶体形成を制御する膜交通メカニズムの解析

膜交通はオルガネラ間の物質輸送を担う真核生物に普遍的な細胞機能である。一方、膜交通の分子機構は系統毎に多様化し、それぞれの生物に特有の生命現象に深く関わっていることが知られている。植物の生殖過程においても膜交通は非常に重要な役割を担うが、その詳細には未知な部分も多い。特に雄性配偶子形成においては、卵細胞との接着因子等の細胞膜への輸送制御に加え、細胞膜から不要になったタンパク質を適切に除去するエンドサイトーシスも重要であると推測される。しかし、細胞膜で機能する因子がいかにして正しく輸送され、あるべき場所に配置されるのかについての研究はこれまでほとんど行われておらず、雄性配偶子形成における膜交通の役割に関する知見は乏しい。我々は植物の生殖過程の中でも特に雄性配偶子形成に注目し、輸送小胞に積み込まれる積み荷とその受容体、および輸送小胞と標的膜を融合させるSNAREという膜交通における2つの「鍵と鍵穴」の解析を進める。具体的には、輸送小胞への積み込みに関わる膜交通制御因子であるANTHドメインタンパク質と、細胞膜への輸送経路で機能するSNAREを中心に、雄性配偶子形成で機能する膜交通因子の機能解析を展開する。これにより、雄性配偶子形成において細胞形態変化および細胞膜タンパク質組成を制御するメカニズムとその生理的役割を解明する。また、シロイヌナズナとゼニゴケという被子植物と基部陸上植物のモデルを用いた比較研究を展開し、その結果を統合的に解釈することで、陸上植物の雄性配偶子形成過程における細胞膜動態制御機構の保存性と多様性の解明を目指す。

メンバ―リスト
  • 海老根 一生基礎生物学研究所 細胞動態研究部門
  • 上田 貴志基礎生物学研究所 細胞動態研究部門
  • 南野 尚紀基礎生物学研究所 細胞動態研究部門