公募研究班（H31-32）

種子成熟を司るエピゲノム制御における「鍵と鍵穴」の解明

種子成熟は植物生殖過程の最終ステージであり、初期生育に必要な貯蔵物質が蓄積される。しかし異種ゲノムの組合せによってはエピゲノムが撹乱されて貯蔵物質を充分に蓄積することができず、生存競争に勝ち抜くことができない。従って、エピゲノム恒常性維持は正常な貯蔵物質蓄積に寄与することで「新種誕生」につながる。我々は胚乳特異的に発現する種子貯蔵タンパク質遺伝子を制御する転写因子群の機能解析を進めてきた。また、前回の公募研究では胚乳特異的発現に関わる複合的なエピゲノム解析を行ない、胚乳特異的発現遺伝子はユニークなエピゲノムダイナミクスを示すことを明らかにした。このことは種子成熟がエピゲノム制御因子を「鍵」、エピゲノムを「鍵穴」とした「鍵と鍵穴」相互作用によって緻密に制御されていることを示唆している。本研究では、胚乳特異的遺伝子発現を規定するエピゲノムのダイナミクスに関わる因子を同定することで「新種誕生」を頑健にする分子機構を解明するために、以下の研究を行う。

１．胚乳特異的遺伝子発現に関与するエピゲノム制御因子の同定
（１） 胚乳特異的発現遺伝子のDNA脱メチル化に関与する因子の同定
（２） 胚乳特異的発現遺伝子のH3K9me2除去・蓄積に関与する因子の同定
２．胚乳特異的遺伝子発現を制御する転写因子の結晶構造解析

我々はエピゲノム解析についてウェット実験からドライ解析まで一貫して行うことができるため、本研究を強力に推進することができる。研究成果については速やかに研究論文・学会発表として公表する。

メンバ―リスト

• 川勝　泰二農業・食品産業技術総合研究機構　生物機能利用研究部門
• 西田　帆那農業・食品産業技術総合研究機構　生物機能利用研究部門
• 西嶋　遼農業・食品産業技術総合研究機構　生物機能利用研究部門

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