東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(農:小澤麻未)

2017年1月19日 (木)

先日前方から走って来た男の人が理想的な転び方を決め、スライディングされそうになりました、雪の降った翌日は危険がいっぱいですね。


さて、最終発表の前に現段階の野菜たちの様子を報告したいと思います。

【ミニ白菜】

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白菜は一番大きいものも小さいものも葉の数は同じく10枚。そして生えてくる葉が段々と立ってきて結球の兆しが見え始めています。最終発表には間に合いませんでしたが、結球の様子も報告できたらと思います。

また、葉表面には小さな棘のようなものが大量についていました。

でもスーパーに並んでいる白菜には棘などなかったような...。鮮度の証のようなものなのでしょうか?種が別のものなのでしょうか??それとも農薬を使用せずに育てたため、捕食者に対する自己防衛として棘をはやしているのでしょうか??サークルでお世話になっている農家さんに伺ってみたいと思います。

今回は葉に関する発見が多いですね、そしてもう一つ葉に関する話題です。

12月末に観察した時には白菜の名の由来でもある葉の裏の白く太い葉脈が見られませんでしたが、葉を裏返してみると...

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立派な葉脈が見られました^^

そして葉脈を観察している途中、ふと窓の外を見てみると雪が降っているのに気が付きました。わー寒そう...と思いながら、しばらく見ているとある疑問が浮かんできました。

"冬に水道管が寒さで凍結してしまった...ということをたまに耳にしますが、同じく水分を運搬する働きを担う葉脈でも起こりえるのではないだろうか?"

さらに葉物野菜よりも白菜は葉脈が発達しています。他の葉物野菜にはなかなか起こらなくても、白菜の葉脈では起こっても不思議ではないように思えます。

そこでgoogle先生に質問したところ、以下のようなことがわかりました。

・ハクサイの葉脈はキャベツやレタスの3倍。

・葉脈の細胞の方が葉脈以外の部分の細胞よりも大きく水をたくさん含んでいる。

・普通、野菜は霜が降りたり気温が0℃以下になると細胞内の水が凍って枯れてしまう「霜枯れ」を起こしてしまう

・白菜の内部に温度計をセットし、温度を測ってみると外気が0.5℃でも内部は4℃程度に保たれる。

・白菜は葉を大量に重ねることで空気の層を作りこみ、葉脈の凍結を防いでいる。

・寒くなるにつれて白菜はでんぷんを分解し、糖を作りだす⇒糖は水を凍らしにくくする。

・結球表面は日に当たることで葉温が上昇するが、夜間は氷点下になると凍結してしまう⇒このように凍結と解凍を繰り返しことで凍結障害が起こる。

・作物の限界を超して強く凍結すると、細胞が致死し、白化したり、ぬるぬる溶けたような状態(障害を受けた細胞から細菌が侵入し、腐敗を引き起こす)になる。

【参考文献】

http://www.ntv.co.jp/megaten/library/date/01/01/0114.html

http://www.ntv.co.jp/dash/village/21_akio/2012/0226/

見事疑問解決でした。重ね着マスター野菜なんてかっこいいですね...。

私も重ね着で仙台の冬を元気に乗り越えていきたいと思います!

【ハツカダイコン】

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こちらは1カ月近く変化が見られません...。前回の投稿から、ペットボトルの側面の空気穴を最初の2倍に増やしましたが、枯れるでもなく成長もなかなか見られず、どうしたものでしょうか...。生育条件としては室温12℃前後、湿度60%前後、デスクライトでの光の補強を加えています。

【レッドキャベツスプラウト】

こちらは先日の投稿から収穫をすませ、そしていざ実食!!!!

素材の味を楽しむために、よーく洗ってからサラダにして生でいただきました。そしてしっかりと間食した後に、その料理の写真を撮り忘れたことに気が付きました...。ということで味の感想のみをお伝えします。味は名前の通りキャベツのような味がして、辛味などはほぼなく、むしろ甘く感じました。とれたてのものを食べたので、食感もシャキシャキとしてとても美味しくいただくことが出来ました!

自分で育てたというのもあり、美味しさも倍増ですね^^

他の野菜も食べるのが楽しみです。

続いて、最終発表に移りたいと思います。


(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことを説明して下さい。

植物の成長は非常に早く、一日経過しただけでもその姿を大きく変えてしまうため、少しでも気を抜いてしまうとその成長を見過ごしてしまいます。そのため毎日の観察や世話が欠かせません。しかし学校の課題やアルバイトなどもあり、その傍ら常に野菜の様子を気にかけていなければならないという点に難しさを感じました。同時に生き物を育てていく責任を強く感じ、中途半端な心持では行えないということも改めて考えさせられました。そんな私にとってまわりの受講生の投稿はかなり良い刺激となりました。自分ではなかなか気が付くことのできない特徴に着目していたり、試行錯誤をして工夫をしていたり、定期的にきちんと投稿していたり、と吸収すべきところがたくさんあり、ブログを読むたびに勉強になりました。

(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

観察する力を身につけられたことを実際に感じたのは学校の授業ではなく、塾講師としてのアルバイトでした。生徒の得意分野、苦手意識、性格等々を勉強に臨む姿勢や会話の中から観察、吸収し、それに対して自分がどのように動いて行くのかを試行錯誤していくというプロセスは植物を育てていることと非常に似ていて、(1)で述べたように僅かな成長や変化を見逃すまいと常に気にかけるなど生徒に対する意識を以前よりも高めることが出来ました。

また、観察する力に加えて予測する力もつけることが出来たように感じられます。それを特に感じることが出来る科目が「自然科学総合実験」です。この授業では教科書にかかれた実験原理などを読んだうえで実験に取り組みます。原理や踏まえたうえでこの操作を行うとどのような結果になるのか、ということを今まで以上に深く考えるようになりました。

(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

日々観察を続けていく中で僅かな成長を発見できた時の喜びも大きく、次の段階へと成長させるための工夫や改善策などを考えることに楽しみも同時に感じることができました。

発芽直後の徒長が最初の関門で、先輩方の過去ブログや同じく授業をとっている仲間たちの助けを借りつつ、見事その関門を突破し、その過程を通じて育てている野菜に対する愛着も更に増していきました。

(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

このブログはこの授業の受講者や先生方以外に一般の方も見ることが出来ます。そのため、もし高校生や中学生だったら...保護者の人だったら...と外部からこのブログを読んでいる人の立場に立つということを強く意識して記事を書くようにしていました。

例えば、あまり文がかたくなり過ぎないようにすること、情報は簡潔に伝えること、また文章以外にも記事の最初にくる写真にはその回の投稿内容がわかるような挿絵にすること、写真は見やすい角度から撮ったものを選ぶこと等々投稿を楽しんで読んでもらえるような工夫を自分なりに考えました。このように対象者はどのような人なのかを考え、客観的な立場から自分の投稿を修正していくことが出来るようになったと感じています。

(5) 以上の(1)~(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

観察力や予測力、客観的に物事をみる力を駆使することで、自身の意見や立場を明確にすることが出来たり、物事に対して最適な判断を下すことが出来るようになります。このことは社会に出ていくうえで必要な人間力であると考えます。正直野菜を育てるだけで、このような人間力を養うことができるとはゼミ開始前は思っていませんでした。

また、収穫していない白菜とハツカダイコンについては無事収穫を終えるまで栽培し続けたいと考えています。白菜は葉の数もゆっくりではありますが、確実に増えてさらに結球の兆しも見え始めています。上手く結球させられるかがポイントになると思うので引き続き観察を続けていきたいと思います。ハツカダイコンについては空気穴を増やすだけでは何も状況は変わらなかった為、土や気温、湿度などに問題があるのでしょうか。一度見直してみたいと思います。

(6)自分で掲げた目標の評価について

また、第一回の投稿で私は以下の目標を三つ掲げました。

・育てる野菜全種類とも収穫し、味わいの感想を述べる

(⇒最後までやり遂げる責任感、生き物を大切にする心、を養う)

・野菜の特徴や育成状況を調査・分析し、それに合わせ栽培方法も工夫する

(⇒調査力、分析力、観察力、考える力、を養う)

・ブログを読んでいる人の立場に立ち、わかりやすく伝える

(⇒主観だけでなく、客観を意識できるようになる)

一つ目の目標に関しては最終発表段階ではレッドキャベツスプラウトのみ達成という形となってしまいましたが、このまま栽培を引き続き行い、必ず達成したいと思います!二つ目の目標に関してはハツカダイコンの現状も見ていてわかるように、原因追求やその改善策を出し切れていない段階である為、達成度は50~60%程度に感じます。三つ目の目標に関しては、客観の意識はかなり強く持てたと思うのですが、表現力や文章力に満足を得られていない為、達成度は80%程度だと思います。これからの報告やその他の科目で訓練を重ねて、もっと磨きあげていきたいと思います。

コメント

農学部・小澤さん

 遺伝の渡辺でございます。少しハクサイらしくなってきたでしょうか。葉の表面にとげのようなものがあるのは、たぶん、トライコームというものです。1つの細胞からできていて、このような形になると言われています。防虫など、外敵からの防御反応の1つだと考えられています。スーパーのハクサイはこの緑の部分の真ん中に結球します。その部分を収穫しています。外側の10枚くらいの結球してない葉っぱは、畑に置き去りになります。なかの部分は柔らかいので、そうしたとげの構造を持たない方が、食感としてよいので、そうしたものが選抜されてきて、今のハクサイがあるのだと思います。今回、ハクサイのことを記事にしたり、調べたようなことをこれまでの講義の中でも投稿してもらいたかったですね。投稿回数は基本は講義のある数くらいと言うことでしたが、デコヒコはあるにしても、そんな風に考える素材にしてみて下さい。

 生き物を飼うと言うことは、大変なことです。その分、喜びもあるわけですが。。。農学部と言うことで、これからの講義、実習、実験等で、観察眼、継続することなどがいかされると思います。また、まずは誰かのものを参考にしてやってみるというのは、大切なことです。それができると言うことは、次の次元として、自分でも書いて、他の方々に見てもらう、それをよりたくさんやることをぜひ、心がけてみて下さい。記事の最初の手書きの挿絵は、なかなかのものだったと思います。とっかかりとしては、よいideaだと思います。ぜひ、他の場面でも活かして下さい。

 どれくらいできたのかと言うことを自分で設定していますが、なるほどと拝見しました。ぜひ、他の講義でもこうしたことを考えて見るのがよいのではと、そんなことを感じた次第です。ということで、また、どこかでお目にかかれることを楽しみにしておりますので。。。


 わたなべしるす