東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

中間報告(農:高畑朱里)

2017年11月24日 (金)

こんにちは。農学部の高畑です。天気予報で今日の最高気温は7℃と言っていて、もう秋も終わりだなと感じています。写真は、展開ゼミで華道を教わったときに使ったキンギョソウの花です。では、中間報告をしていきたいと思います。


(1) この展開ゼミを通して、植物の発芽、成長を観察し、どのようなことが一番驚くべきことであったか。

 植物の成長で驚いたのは回復能力です。植物はたっぷり水をあげればいいものだと思っていたのですが、あげすぎもよくないと知り、少し水を控えめにするように気を付けていました。しかし、逆に水を控えすぎてしまい、植物を萎びさせてしまったこともありました。このまま枯れてしまうかもしれないと不安になっていたのですが、水をあげ、次の日様子を見てみると葉はすでに萎びておらず、元の状態に戻っていました。この回復力には驚かされました。また、植物に関することではないのですが、植物によって来る虫にも驚かされました。害虫が寄ってくるのは春から秋の間で、10月も下旬になれば虫も出ないだろうと思っていましたが、アブラムシだったりと虫がついたことには驚きました。どの時期でも、害虫対策を行うことの大切さを実感しました。さらに、驚いたことではないのですが、教科書で習った植物の知識が、実際に植物を育てていく上で観察できたことには感動しました。例を挙げると、好光性種子と嫌光性種子の違いです。私が育てているミニハクサイは好光性種子、ハツカダイコンは嫌光性種子です。私が種子を発芽させようとシャーレに入れた日は曇りで、あまり日差しのない日でした。そこで、ミニハクサイのシャーレは少しでも光が当たるように南向きの窓際に置き、ハツカダイコンのシャーレは光の当たらないところに置いておきました。すると、ハツカダイコンのほうが先に発芽しました。ハツカダイコンのほうが、発芽に必要な日数が少ないというのもあるのでしょうが、私にとっては驚きでした。好光性種子、嫌光性種子というものの存在は、知識では知っていましたが、感覚的に、植物は光をたくさん浴びて発芽するもの、という意識があったからです。教科書的な知識は実際の植物に起こっていることである、ということを実感することができました。また、不思議に思っているのは食害の個体差です。ミニハクサイが食害にあって困っているのですが、下の写真左側のように食害がひどいものと写真右側のようにほとんど食害にあっていないものがあります。20171124131249-2243810dd3b21481cce437f74c6dea0a99be3e70.jpeg

高校の時、生物の授業で植物は食害に対して防御反応を示すこと、また、揮発性の物質を発して周囲の植物にも防御反応を促すことを習いました。私は、この話を聞いて植物の生態にとても驚き、「大学でも植物について学びたい!」と思った記憶があります。私が生物系の大学に進もうと思った理由でもあるので、もし、これによって食害の程度に差がでているのであれば、それを観察できたことはとても有意義であると思いました。

(2) 他の受講生の記事で誰の記事が参考になったか

 私が今回の栽培において苦労している点は、水の管理と気温の問題です。水の管理については、今年の榊原さんの記事が参考になりました。大学生協で売っているペットボトルにメモリがついていて、それで1回にあげる水の量を計るというのがとても分かりやすく参考になりました。気温の問題については、屋内で育てている人が多いのか、記事を発見できなかったので、ネットで調べてみました。(3)で記したいと思います。

(3) 渡辺先生やスタッフさんからのコメントで気づいたこと、参考になったこと

 他の方の記事を見ていても、虫の被害に遭っている、という記事はなかなか見られなかったので、それについてコメントを頂けたことはとても助かりました。乾燥していても虫がつくんですね。知りませんでした。ミニハクサイのほうの害虫に対してもアドバイスをいただきました。ただ、残念ながらあの後虫を発見できておらず、コナガかどうかの判定ができていません。葉っぱは食べられているのでどこかにはいるはずなのですが...水の管理を指摘していただけたこともありがたかったです。乾燥させすぎて枯らしてしまうところでした。また、(2)で述べた気温についてです。ハツカダイコンの収穫適期は11月までとなっていたのですが、今のところまだ収穫できそうにありません。このまま外で育てても大丈夫なのかと考えていたところ、ネットで「寒さが厳しい春採り、冬採りの場合は、トンネル掛けをして栽培します。」(参考1)という記事を見つけました。また、夜間だけなら段ボールでも保温になる、という記事も発見したので、試してみようと思っています。(参考2)

(4) 残りの展開ゼミを続けていくにあたって、どのようなことに注意し、何を目標として、何を学びたいか

 今後この展開ゼミを続けていくにあたって、植物の成長の観察結果だけだはなく、そこから自分が感じたことも書いていきたいなと思いました。(1)でも記したように、植物を育て、観察していく上で、今まで「生物」として習ってきたことが実際に起こっていることを目にすることができたりと、育てていく中で、面白いなと感じたことも書いていきたいと考えています。また、小学校や中学校の授業で植物を育てたときは暖かく成長が速い時期に育てたのですが、今回は冬ということで、成長が遅かったり、寒さに注意しなければいけなかったりと、大変なことが多いと感じています。そこで、冬に植物を育てる利点や大変さも学べればと思っています。

参考

1.https://ymmfarm.com/cultivation/veg/radish#season

2.https://ohana-note.com/shade-family-garden/

コメント

農学部・高畑さん

 こんばんは、遺伝の渡辺でございます。展開ゼミで「華道」ですか。。植物という共通性はありますが。。キンギョソウが今どき、あるというのも、なんというか、今の花屋さんだなと。。キンギョソウは春から夏の花だったような。水をあげていれば、育つというのは、そうですね。イネくらいでしょうか。渡辺の師匠の日向先生は、大学院の頃にイネの研究をしていて、助手で東北大に来て、研究材料をアブラナに変更しました。その時に大変だったのが、水やりの加減だったと。そんなことを話されていました。多くの植物は基本、乾燥したところで生育しているので、水加減は難しいですね。乾燥地で生育している「サボテン」の場合、ほぼ、水がなくても育ちますし、逆に水をあげる方が、よくないというイメージですね。植物種で、発芽するときに、光を必要とするのは、渡辺も昔習った覚えがあるのですが、その代表は「レタス」だったような。不思議なのは、ハクサイ、ダイコンともにアブラナ科です。同じ科に分類され、科の下で族より上の「連」という分類群があり、どちらも「アブラナ連」になります。とても近い植物種です。それが、光に対して、違う性質を示すというも感動でした。これは、ラボスタッフのオガタくんとも議論になったくらいでしたので。

 食害の個体間差、これは難しいですね。もっと、暖かい時期であれば、もっと大きな食害になって、全体がやられていたと思います。今の気温だったので、こんな風になったかと。あと、食べ方のパターンから、マスコさん書いてあったように「コナガ」だと思いますが、寒さの関係でいなくなったのかと。あるいは、水やりをして、乾燥から解放されたのもよかったのかも知れないです。植物の防御反応として、揮発性物質があるということを習ったりするのですね。たぶん、最近、分かった事象で。おもしろいのは、Aという害虫がかじるとAの天敵を呼ぶための揮発性物質Aを出します。Bという害虫であれば、Bに対する天敵に応じたものを。最近、この手の論文をfollowしてないので、その最新情報は分からないですが。。。いずれ、おもしろいことです。植物と害虫の共進化というか。

 観察の記事を書いているわけですが、観察の結果を書くことに加えて、それがなぜなのか、それに対して考えたことを書く、つまり、考察をすることは、大事なことですね。高校生の直江さんが、毎回、記事の最後に感想を書いていますね。大学生らしく、考察というのを記事の中に入れてみてはどうでしょうか。後半戦も記事のuploadを楽しみにしておりますので。


 わたなべしるす