東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

粘り強く、3ヶ月め(教:井上千晴)

2017年12月 8日 (金)

こんにちは。井上です。

里芋(吉植さん産@図書館)で、芋煮と煮っ転がしを作りました。甘じょっぱく味付けし、美味しかったのですが、母のそれには何かが足りない気がします。刺さるような寒さと相まって、何だか寂しいこの頃です。

20171206212633-5d8f7f3e5ca22cc8a4f205dc3cdc9c828acc9c2f.jpg20171206212645-cbb886845ec246b0cc885ca9ffd99af1cb4d0c84.jpg

里芋は、親芋(別名は種芋。最上の写真:下段の真ん中がそれです)と子芋では、大きさはもちろん、食感が異なります。粘りの中にもシャキシャキした食感のある親芋はスーパーではあまり多く見かけない、レアものです。このネバネバは、ムチンやガラクタンという粘頭多糖質によるもので、やはり健康効果は高いようです。しかし、渋みやえぐみの成分でもありながら、熱伝導率の低下、味の浸透も進まないといった欠点もあるようです。それでも、あの粘りがたまらない。汁がぐっと美味しくなります!

つまり、「粘りが大事」とまとめましょう。今回も「根気強く」、ミニハクサイとコマツナについてお伝えします。


12月6日(水)5℃ コマツナ

20171207132400-0acdb5b0f70e40d08696102206c65046c7873e91.jpg前回の投稿から、一度追肥を行いました。葉の大きさは6cm、丈は約8cmあります。葉の緑は健康的であり、大きな問題はありません。茎元もしっかりしてますし、よく見る「コマツナ」に近づいてきました。葉の数は多いのですが、重なる様子はありません。横から見てみます。

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前回の投稿で渡辺先生から、葉の角度についてのコメントをいただきました。外側の葉(先に出た)と、内側の葉(後に出た)では、地面に対する角度が異なります。中央の葉ほど「立って」いるのが分かります。新しい葉はほぼ垂直に出てくるのですね。スーパーで売られているコマツナはほぼ真っ直ぐで葉の大きさは揃えられています。外側の葉は、太陽の光を受けることができるように大きく角度をつけているように見えます。これからは生長に伴ってこの角度がどのようになっていくかを特に注意していきます。

野菜などの花茎が伸びて硬くなり、食用に適する時期を過ぎてしまうことを「薹(トウ)が経つ」と言うそうです。収穫時期を逃すと、葉が硬くなってしまいます。まだ先ですが、「旬」の時期にいただきたいものです。


こちらはミニハクサイです。

20171207140206-6f8e7e518b66af1f4fbd0aa269b9ca575a16d35b.jpg葉の枚数は10枚を超えました。円状に葉が伸びている点が、コマツナとの大きな違いです。この直径9cmのスナック菓子の容器をはみ出るほどに葉を展開しており、葉の輪郭が波をうっていることも観察できます。しかし、一般のものと比べると生育は遅れているようです。ビニールトンネルなどで、結球を促すべきかもしれません。

20171207140304-1f03e267158b8e6554ca0f7b4c90bbb6ff2b497c.jpg中央には、また新しい葉が顔を出しています。中心の葉ほど地面に対する角度が大きく、葉の左右両端が内側に巻いています。こちらも横から見てます。

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ミニハクサイは上にというよりは、水平に広がり、角度もぐっと大きく開いています。この展開の仕方は、コマツナよりも全ての葉が日光を受けにくくなるリスクを秘めていると思います。


こちらは、ミニハクサイの水耕栽培から。

前回、寒すぎる原因により生長が見られないとしましたが、その後外には出さず、できるだけ日の当たりやすい窓際に置くようにしました。周りを取り囲んだ段ボールに、光を反射しやすいアルミホイルをとりつけました。皆さんのものを参考にさせていただきました。

すると、株の生長が確認でき、葉の色も濃い緑に変化しました。

20171207140743-b5060c95a1bf5fab26f0f1288411db427c5e2f41.jpgまた、根の張りも良くなりました。根が扇形に開いています。オガタさんにご指摘いただきました通り、水の量を減らしました。20171207141248-0d80e1151ae8e8509e6ec247e30aea504198f484.jpgしかし、2つの水耕栽培に差が表れ始めました。

20171207141538-d5d64b502329d959df6c851a1929d8c739402fff.jpg葉の角度です。右の水耕栽培の方が、土での栽培の「ミニハクサイ」の育ち方になっています。つまり、横に広がってきているという訳ですが、これには、まず第一に成長率が関係しているものと思われます。左の葉の大きさは3.5cm、右は2cmと差が広がっています。また、装置にも原因があるかと思います。右の方は、紙の穴に株を指している状態なので、葉本が広がりにくいのかもしれません。粉末状の肥料は、5Lを一気に作りました。肥料1g:水1Lの割合なのですが、5g入りのスティックを5等分する方法がなく、水の量で調整しました。こちらも期間を開けて水の交換をしていきたいと思います。


年末年始、コマツナとミニハクサイをどうするか、先輩方のを参考に考えたいと思います。

オガタさん、スキーに行ったときに過去一度だけスーツ姿の男性を見たことがあります笑。きっと意地でも転びたくないですよね...

それでは、また。失礼します。

コメント

井上さんこんにちは。

 スキーで私以外にそんな人が実在するんですか。自分が言うのもなんですが奇特ですね。

 さて、料理は上手にできてますね。農学部の人間からすれば里芋の親芋子芋兼用品種、子芋専用品種とか余計なことを考えます。そうではなく味の違いをレポして頂いたのが新鮮に思います。話は「粘り」でうまく繋げてまとめているのもポイント高いです。

 料理はシンプルに作るのがいいものです。材料の数を増やすのは誰でもできます。さて、その基本の作り方を憶え、しっかりその味を確認してからどう変えていくかですね。物足りない、ということでは、みりんを倍にも増やす、あるいは塩こうじなど新しいダシを加える、あるいは思いっきり豊かな発想でヨーグルト入れてみるとか・・・  案外と砂糖を増やすだけでもだいぶ雰囲気変わるものですよ。私もつい最近分かったのですが、小麦粉を溶いてただ薄く焼けばお好み焼きの皮、しかしこれにわずかでも牛乳や砂糖を加えるとあら不思議、クレープになってしまいます。ベーキングパウダーなど必要ありません。

 植物はとても綺麗に育っていますね。コマツナも元気よく、下葉が枯れたりしていません。もうじきで収穫です。花がつくのはまだまだ先の話ですが、一番いいときに食べるのがいいですね。葉の立ち方、また報告して下さい。これにはいろいろな要因が絡むものです。来年の受講生への参考になるでしょう。

 ハクサイも元気そうです。そうですね、結球は寒い方がいいのですが、その前提条件として葉を大きく、数を増やしておかなくてはなりません。ビニール使用もいいでしょうね。

 水耕栽培は水面高さが丁度いいと思います。詳しく言うと、根の表面の見えるか見えないかの細かい根毛は、わずか数日~数週間で剥がれ落ちます。つまり、根が成長を続け、しかもその先端に近いところにしか有効な根毛はないということです。その根毛が水や養分を吸収するわけですから、根全体を浸す必要は無いのです。植物栽培で根痛みというのはよくあることなのですが、根が充分な量あるのに植物が水を吸えないということは珍しくありません。根は成長してその先端が元気良くないと意味がないのです。

 肥料は考えて上手に使っていますね。この季節は肥料分のある水でも腐らないとは思いますが念のため、寒い所そして真っ暗な所に保存して下さい。もしも水が妙に濁りが増したり、緑色になったりしたら使わないようにしましょう。

 2つの容器の生育の違いは何でしょうか。まだよくわかりません。溶液の量が直接影響するような大きさでもありません。個体差の範囲内とも思えるので経過をみましょう。

 さて年末年始、他の受講生にも言えることですが植物を帰省時に置いておく場合の事、実は何日になるのか、置き場の条件はどうなのかによって対処は変わってきます。といっても季節柄対処は比較的容易ですので、また詳しく決まればお教え下さい。そしてクリスマス、冬休みを楽しんで下さい。私は今年、初めてケーキ無しで一人のクリスマスになります。去年はアイスケーキを欲しいと言った娘のためにサーティーワンを駆けずり回ったものでした。

 ではまたアップをお待ちいたします。

 ラボスタッフ・オガタ