東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

15*三月の更新(帰省と収穫)(農:岡田和花)

2018年3月27日 (火)


 毎週更新だったのが何となく毎月更新になっています。というわけで、前回更新からのその後をご報告いたします。冒頭の写真の説明も後程...。



支柱を立てた話

 前回更新で茎ブロッコリーが倒れ気味で困っていると報告した際、「支柱が必要ならば設定して下さい。常にぐらつくようでは植物に大変ストレスがかかるものです。3号鉢でも、株の横に思いっきり割り箸を刺して構いません。根を多少切ってしまっても気にしないで下さい。」というコメントをいただきました。

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 ので、3月1日に支柱(割りばし)を立てて、ビニールひもで固定しました。
 固定したのですが、渡辺教授のコメントにあった「茎に近い真ん中に立てて、お菓子の袋などをしばっている中に針金が入ったもので、数ヶ所、固定すれば、指示棒と植物体を。」という部分を完全に無視していることにやった後で気が付きました。割と鉢の縁に近いところに割りばしを立ててしまいました...。あと針金のやつ、家になくてビニールひもにしてしまいました...。

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 3月1日 14:30ごろ 外気温13℃ 温室内16℃(±5)晴天

 支柱を立てたついでに観察してみると、下の方の茎の色がかなり赤っぽくなっていて、太いなぁということに気が付きました。そしてなぜ、いつの間にこんなに倒れていたんだろう...。ほぼ横向きに生えちゃっていますね。折れてはないんですけど...。


花蕾が見えた話

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 3月11日 10:20ごろ 外気温6℃ 晴天(温室内温度は記録を忘れました...。)

 この日、葉の真ん中の方をかき分けてみてみると奥にちいさいブロッコリーができているのを発見しました。写真はピンボケですが、赤丸内に花蕾が見えます。
 かき分けながらなので手が足らず写真がとても取りにくかったです。この時、ブロッコリーの大きさはおよそ1cm強でした。

 そこで一つ問題が起こります。というのも、私が帰省を予定していたのが3/14からだったので、このまま茎ブロッコリーを置いて帰省すると、確実に私が仙台にいない間に茎ブロッコリーがいい感じに食べごろになってしまいます。花ができていく時期にこまめな肥料管理ができなくなるのも問題だし...。

 と、いうことで。植物にストレスになるのはわかっているのですが、茎ブロッコリーだけは愛知県に持っていくことにしました。
 ミニニンジンは前回いただいたコメントを参考に腰水をして留守番にしましたが...。


帰省準備の話

 帰省にあたり、どうやってブロッコリーたちを持ち運ぶかということ。交通手段は新幹線なのでおよそ4時間の旅です。

 目標を
 ・鉢が割れないようにすること
 ・ブロッコリーの葉や茎を折れないようにすること
 ・移動に際して、周りの迷惑にならないこと
 ・ある程度楽な持ち運び方であること
 として運び方を考えました。


 まず、茎ブロッコリー三株が収まるサイズの段ボールを探します。ある程度の負荷にも耐えられるように丈夫なものを選び、みかんの入っていた段ボールを使用しました。

 次に、鉢底の湿気と段ボールがちょくせつあたらないほうがいいかなぁと考え、段ボールの底に新聞紙を敷きました。

 その上に茎ブロッコリーの鉢を、茎ブロッコリー同士の葉があまりぶつからないように並べたのですが...やらかしました。冒頭の写真にあるように、鉢を持ち上げるときに時に手を滑らせて1つ割りました。

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 家に3.5号鉢サイズの替えになるような鉢はなかったのですが、応急処置として、家にあった3.5号より少し大きいプラスチックの鉢に茎ブロッコリーを入れておきました。(写真は家に無事についたときに撮った写真です。)
 通気性や、土の流出防止などを全く考えていない入れ方になってしまったので、実家についたらまた植え替えをしないといけないです。

 並べた鉢と鉢の間を緩衝材(売られている果物の周りに巻いてあるようなネット状の柔らかいやつ)を詰めたり、

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 図のように段ボールにビニールひもを通したりして鉢を固定しました。

 あとは、ブロッコリーがむき出しのままもしゃもしゃして持ち運びたくなかったので、段ボールの上をゆるーく不織布で覆い、ブロッコリーがはいった段ボールを組み立て式の台車?(下の写真のようなもの)

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に乗せて運びました。ブロッコリーを愛知に持っていく気はもともとなかったので、急いで持ち運びの準備をしたらその時の写真がまっっったくないです。すみません...。



祖父の話

 帰省するときに、もろもろの事情で自分の家に帰る途中に祖父の家に寄ることになり、ついでに祖父に茎ブロッコリーを見てもらいました。
 祖父は自分たちで食べる野菜をまかなうための畑をやっており、その中でブロッコリーも育てているので、私のブロッコリーを見てもらい、何かアドバイスがあれば教えてもらおう!と考えました。

 見てもらった結果、

 ・葉っぱが元気なので良い。
 ・日当たりは大事。夕日より朝日を当てるべきなので気を付けて。

 とのこと。葉の状態を見てもらっても病気だとは言われなかったので、前回報告した葉の枯れはやはり病気ではないのかなと思います。狭い温室に入れていたことが一番の原因のような...。



帰着と植え替えの話

 祖父の家を後にし、ついに愛知の実家につきました。

 鉢が割れた株を新しい鉢に植え替える予定でしたが、こっちの家にもいい感じの大きさの鉢がなく、結局家庭菜園の畑に植え替えることにしました。鉢で管理する!という講義の趣旨からは外れるのですが、まだあと二株は鉢で育てていくので、一株分くらいは脱線してもいいかなぁと...。


 植え替えるときに根の様子を観察してみると...

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 3月14日 19:00ごろ (気温の記録をし忘れました...。)

 きれいに根がびっしりと張っていました!水管理がうまくいったのかなぁと思うとうれしいです。
 夜になってしまいましたが、植え替えて、水を少し撒いて、他の鉢も家庭菜園の場所に置いておきました。もう暖かいので温室はいらないし、外で放置の予定です。

 この辺りにも野良猫はいるのですが、私の母と険悪な関係なので、おそらく家庭菜園コーナーには侵入してこないかと。問題は鳥ですが...。今のところ鳥がこちらをエサ場と認識してないので、しばらくは大丈夫...多分。



初収穫の話

 3月23日、茎ブロッコリー三株のうち二株にできていた花蕾が大きくなってきたので、ついに収穫しました!

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 3月23日 11;00ごろ 外気温13℃
 ハサミで切ったのですが、葉が茂っていてハサミがすごく入れにくかったです。
 大きくなったといっても、本来のブロッコリーよりは圧倒的に小さく、直径2~3cmほどなのですが、茎ブロッコリーの場合はこれくらいが収穫時だそうです。(参考リンク

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 ノーマルにゆでて食べました。ちゃんとブロッコリーの味がしました。

 茎ブロッコリーが茎ブロッコリーらしく、長い茎のある花蕾ができるのは側芽の部分なので、今はまだ「茎ブロッコリーを収穫してやったぞ!」という感慨はあまりないです。今は側芽の成長待ちです。わくわく。


 今回の更新は内容が濃いですね...。一か月更新しないとこうなるのか。こうして記事にすると植物の成長のスピードや意外と自分が気温や天気の記録を忘れていることに気が付きますね。

 15回目の更新はこのくらいで...。

コメント

農学部・岡田さん

 遺伝の渡辺でございます。早めにコメントと思いながら、色々な案件があり、コメントが遅くなり、失礼しております。ラボスタッフのオガタくんと渡辺のコンセプトが一致しておらず、迷わせましたね。その当たりは、大丈夫です。記事の後半にあったように、根っこはぐるぐると巻いています。なので、少し切れても。ほとんど影響がないと思いますので。とりあえず、あるもので工夫をできるというのがよいと思います。茎が横向きになっていることを気にされていますが、自重が大きくなると、それを支えられないので、このようになることは多いですね。特に、ブロッコリーは頭でっかちというか、上の花蕾の重さと茎の重さが半端なくなってくることと、なにゆえなのか、不明ですが、茎は根元が細くなっています。そんなので、このような形態になりがちです。もう少し早めに茎を支える支柱を立てていれば、followできたかも知れないですが、植物は可塑性がありますので。大丈夫です。あと、ストレスがかかると、アントシアニンなどの合成が多くなると言われますが、横向きになったからストレスで赤くなったということはないと思います。他の個体と比べてみて下さい。同じように根本が赤くなっていると思います。品種特性かと。。。

 茎ブロッコリー、大移動計画。この3月のこの時期の暑さがここまでになるのは、こちらも想定外でした。ニンジンさん、大丈夫でしょうか。そちらが心配です。そんな大移動計画を立案して、実行する過程にはいろいろありますね。植物がかなり重たくなっているので、また、この写真から見ると、暗い時間でしょうか。段ボールに入れて運ぶ、それもキャリアで。これもなかなかのideaですね。かなり時間が切迫した状態で、持ち帰る決断、準備をしたので、色々なものを記してないと思いますが、絵を描いてあるだけでも、感動ものです。相互にぶつかるとか、色々なことを想定して、やっているのが、感動ものです。昔、共同研究をしていた奈良まで、植木ばちを運びましたが、その時も大変でした。8号鉢でしたので。もっと大きかったですし。。。

 帰る途中で、おじいさんのところで、しっかりアドバイスをもらっているのもGoodですね。葉っぱが元気とあるのは、水管理を含めた、肥培管理がしっかりしているからだと思います。日当たりは、そうですね。植物にとって、赤い光よりはそうでない光の方が、光合成能が高かったような気がします。何となくですが。それを経験値で知っているというも。すごいです。おうちでもネコとは。。。大変なのですね。。食べられてないことを祈っています。収穫もおいしそうですね。これが普通のブロッコリーでなくて、茎ブロッコリーというのは、茎も比較的柔らかくて、食べることができるというタイプです。ブロッコリーとカイランというのを交雑して、できたのではないかと思っています。次回は、もう少し茎の部分を長くして、収穫してみて下さい。何より、ニンジンが無事であることを祈りつつ。


 わたなべしるす

 PS. 植物の生長が温度に依存しているというのが、よくわかると思います。仙台も来週にはサクラが開花しそうですから。愛知県は満開でないでしょうか。。。


ー 追記 ー

 いきなり暑くなりました。私も昨日(3/28)、娘の引っ越しのために弘前にいたのですが、暑いし全く雪も無い状況でした。

 やはり暑い寒いなどの季節感は植物の観察で見るのが習い性になっています。弘前ではクロッカスの普通種が開花一歩手前でした。スノードロップが開花最盛期、チューリップはまだ蕾も見えません。フキノトウも最盛でしたね。全体、仙台よりも10日ほど遅い感じです。

 話は本当にどうでもいいことですが、地域によって物価水準もだいぶ違います。仙台で、皆さんのお部屋価格はいかほどでしょうか。仙台ならば4万円~4万5千円くらいでしょうかね。弘前ではだいたい3万円前後が一番多い物件です。うちの娘は今回立派なメゾネットタイプにして、ほぼトップランクの値段ですけれどそれでも4万4千円でした。

 ちなみに、私が一人で住んだことのある地域で言うと、札幌で3万1千円、大阪で3万8千円(関西で「文化住宅」と呼ばれる独特の安アパート)、新潟で3万4千円でした。大学を選ぶ際には地方国立大の良さをこういうところでもアピールしたらいいですね。電化製品などは都会の方が安いかもしれません。しかし、家賃含め生活費は地方都市の方がだいぶ安く済みます。

 さて、話は本題に戻ります。

 謎の葉の枯れですが、調べたところ、もしも病気であるとしたら黒腐病の病斑に近いですね。しかし、この病気で枯死することはないらしいので、葉そのものを食べないブロッコリーであれば特に対策は必要なさそうです。

 最初に支柱のことです。まあ、茎がぐらつかなければ何の方法でも構いません。株の横でないとしても、どこに支柱を立ててもいいです。ただ、写真を見る限りでは横方向にまだぐらつきそうな気がします。

 もしまだふらふらするなら、支柱の数はいくら増やしてもよいですので、追加するのも手です。むしろ鉢が浅くて支柱そのものがぐらつく場合、植物栽培では2,3本の支柱を使い上で束ねて強化するものです。必要があればそうして下さい。

 茎の紫色は品種特性でしょう。この季節、細菌性の導管病変はあまりありません。

 帰省での鉢の移動、お疲れ様でした。

 正直ここまでやっていただけるとは思いませんでした。その根性に頭が下がります。いや、とても通常には考えられない気合いです。どこの業者の人かと思われるくらいです。

 レイアウトのイラスト、各種工夫が感じられます。一鉢割ってしまうのもありがちなことです。愛知県に植えてきたということですが親もそれを見るたびに思い出すことでしょうね。ネコの反応はわかりません。

 ちなみにうちのネコ、こないだ私と闘いまして、私も手に十か所以上の傷を負いました。名前をドウブツに戻しました。

 祖父様のコメントもいいですね。確かに朝の照射の方がいいのです。特に夏場は夜に水を吸って、朝が一番元気で、光合成をします。午後になると葉が熱くなり、水を失い、蒸散を制限するために気孔を閉じてしまいます。それでは光があっても二酸化炭素が不足して光合成ができません。あまり西日はいいことないですね。

 さあ、ブロッコリーの収穫おめでとうございます。味も良かったようで何よりです。これから側枝が伸びて次々収穫できるでしょうから、待ち遠しいですね。

 当研究室の植物たちも収穫してその様子をアップします。どうぞご覧下さい。

 ではまた・・

 ラボスタッフ・オガタ