東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

[8日目]ミズナとブロッコリーの播種と育苗(農:八巻慶汰)

2018年10月13日 (土)

こんばんは。八巻です。
先週は暖かい日が続きましたが、今秋になってから肌寒い季節の到来を感じられ、同時に野菜が育つか心配になっているこの頃です。


今回はミズナとブロッコリーの播種から育苗の記録を報告したいと思います。
まず、田阪先輩もやっていたように、種子の発芽のタイミングを合わせるため、植物の「休眠打破」を自宅の冷蔵庫を用いて行いました。
休眠打破」とは、休眠状態にある種子・冬芽・球根などが、ある特定の刺激を受けたのちに活動状態になることです。方法としては、主に次の三つが挙げられます。
・ジベレリンなどの溶液につける。
ジベレリンとは、細胞分裂の促進や休眠打破伸長成長果実の形成の促進に関わる成長ホルモンの1つです。

・5℃~10℃に保つ(大根・レタス・シソ・タデ等)

・60度で2~3日乾燥させる。(ほうれん草・落花生など)
ミズナとブロッコリーについては、直接どの方法が適しているか調べられなかったので、ミズナとブロッコリーが大根と同様、アブラナ科であることと、先輩の方法に見習って低温に保つ方法にしました。
10/6 23:09 (22℃ 湿度55%)
シャーレにミズナ種子(12個)とブロッコリー種子(10個)をまき、その後冷蔵庫内(6.7℃、湿度10%)に入れ休眠打破を図りました。
1晩置くと、0.5㎜程膨らんでいて、薬のコーティングがはがれミズナの種子には若干白っぽくなっているものもありました。
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10/7 9:09 窓の近くにシャーレを置いて発芽を図りました。
翌日帰ったらミズナとブロッコリーが発芽しており、ミズナは根毛が1㎝程出ているものもありました。

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早急に水で濡らしておいた蜂に植えます。
1.5㎝位の穴を指で開け、円形状にミズナは7個、ブロッコリーは8個、それぞれ中央に1つずつの合計7,9個配置し軽く覆土しました。
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10/10(22.2℃ 湿度67%) ミズナは8つ土から芽を出したのに対し、ブロッコリーはすべて土の中にいました。
通常ブロッコリーはポットで育てる場合2~3日で発芽するため、少し遅めかと心配していましたが、その夜2つほど子葉がでそうなものが見受けられ、10/11 10:48(22.1℃ 湿度64%)には、6つほど芽を出してきて一安心でした。
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ミズナは長いもので2.5㎝ほどに伸びましたが、本葉が出ず、見た目がひょろひょろとしているため、徒長しているのではないかという疑念が浮かび始めました。
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10/13 10:12 (19.8℃湿度56%)には、ミズナは3㎝程、ブロッコリーは中央以外の七つ芽が出ており、2.8㎝位の高さになっていました。
見る限り、どちらも本葉が形成されておらず、菅原さん同様、徒長していると判断しました。原因については水分過多 日光不足 栄養過多が挙げられますが、ここ数日では曇りの日や雨の日が多かったため、水も過剰には与えていない事と、まだ肥料を与えていないことを考えると、やはりスタートの段階から危惧していた日光不足が原因のようです。また前回受けた渡辺先生のアドバイスの通りに6日のあたたかいうちに休眠打破をするよりすぐに鉢に植えておくべきだったのではないかとも思っております。
対策として、まずいま鉢を置いているベランダの床では手すりに日光がさえぎられてしまうため、どうにかして日光が当たる上の方に置けないか、と考えています。候補としては、物干しざおに吊るす事やなにか高いものを下に置いて手すりより高くする事、アルミホイルなどで日光を反射させることなどがあるので、自宅で実現可能なものを考慮していく方針で今後も進めていこうと思います。

レッドキャベツスプラウトについては、また次の報告で述べようと思います。また次回、よろしくお願いします。

コメント

八巻さんこんにちは

 仙台市もここにきて寒くなってきました。紅葉や落葉はまだ先の話ですが、秋の感じがします。まあ、仙台の紅葉は福島の物と比べて鮮やかでなく、そんなに綺麗ではありません。

 そういえば東北大のシンボルは蜂のマークと萩ですね。萩はもう咲き終わっている頃です。派手な花ではありませんから、来年でも意識して探してみたらいいでしょう。

 さて今回の報告の内容ですが、昨年のことを参考にして休眠打破ですか。これは高度なことにチャレンジしています。その意気や良し、褒めてあげたいですね。結論から言えば、お渡しした種子は休眠中のものはなく、発芽します。また揃いについても大面積の畑を使うわけではなく、最終的にわずか数株しか残りませんので、あまり問題にはなりません。しかしながらチャレンジ精神がいいですね。本当に休眠打破するなら結構な長さが必要になります。植物は低温だから、ではなく冬を検知するわけですから長さも必要なんですね。

 ちなみに種子発芽でも休眠打破という言葉を使いますが、花をつけさせる(栄養成長から生殖成長への転換)という意味にも休眠打破(どちらかというと春化処理という方が多い)といいます。ややこしいようですが、もしもこの低温処理がもう少し長ければ、幼植物で花が咲く方向に転換したかもしれません。

 農学部生なのでもう少し付け加えると、花芽をつける休眠打破ではイチゴの促成栽培の例が一番多いでしょうか。発芽の休眠打破では、ジャガイモを春作秋作の二回栽培する時に秋作の発芽が問題となります。園芸的には、例えばアイス・チューリップといって季節外れでチューリップを咲かせる時に休眠打破を行ないます。

 本当にややこしいのですが日長に応じて花芽形成することについて、休眠打破という言葉は使いません。

 発芽の様子は綺麗ですね。鉢に植えるタイミングもちょうどいいようです。欲を言えば長さの計測で、いくつか取り出しメジャーをしっかり平行に当てた状態の画像があればよかったですね。

 鉢の様子、土の量はちょうどいいようです。発芽の早い遅いは気にしないで下さい。それより気になるのは鉢受けの水です。たまたまなのかもしれません。しかし、報告の写真は普段の栽培の様子を撮って頂ければ、こちらの考えの参考になります。鉢受けに水が溜まっているのは良くないことで、早急に捨てて下さい。鉢に水分過剰になると根毛の発達が悪くなり、また酸素不足で腐ったりします。水はあくまで鉢土の表面がうっすら乾いてから(たぶん3,4日に一度)、大量に与え(鉢底から水がでるまで)、鉢受けの水が無い状態にしておくのが基本です。数日以上家を空けるなどいう場合に限り鉢受けに水を溜めておく程度です。

 ここで重力水などの話をすると長くなりますから、自分で調べるか土壌の教授に聞いて下さい。

 本当にちなみにですが、園芸植物の鉢受けで底面吸水鉢といって鉢受けが水やり装置を兼ねている場合があります。それを使うのは例えばシクラメンで、普通に鉢に水をやったら軟腐病や灰色カビ病が発生してしまうからで、全部の植物が底面吸水鉢に適しているわけではありません。むしろ夏場では鉢土からの水分蒸発が多く、肥料の塩分が鉢土表面に堆積して非常な問題となります。

 鉢の置き場を光の量で考えているのは良いことです。例年受講生の半分以上は徒長してしまいます。本来畑で育てる野菜を題材にしていますから。ただし、生物で習ったと思いますが、光飽和点以上の光量は光呼吸になって無駄です。また、数時間以上連続で当たっても、葉の水不足で気孔が閉じて二酸化炭素不足になり光合成の効率は上がりません。つまり、全く完全に常に光に当たらなくても大丈夫です。土寄せや添え木といった対症療法でコントロールできる程度の徒長で抑えられる場合が大半です。ですが、置き場所で工夫できるのであれば是非お願いします。ただし、風で鉢が転がったり吊り下げいて落ちたりしたらまずいですので考えましょう。

 ではまた、お待ちします。

ラボスタッフ オガタ