東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

タケノコハクサイの現状(経:阿部遥太)

2018年11月12日 (月)

こんにちは。最近はとても寒いですね。紅葉も見ごろを終えてしまいました。写真は見ごろを終える前に行った山寺からの景色です。秋らしくて気に入っています。


種まき(10月9日)から31日が立ちました。ハクサイは順調に育っています。とある本葉は10月23日(種まきから14日)時点ではタテ1.2cm、ヨコ0.7cmだったのですが、今ではタテ10㎝、ヨコ4.8㎝になっています。本用の枚数も3つの個体それぞれ7枚もあります。

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写真のように、全体が日光を浴びるため本葉同士重ならないように生えています。(ただし、7枚目の本葉はまだ小さいので重なっています。)小学、中学の理科で出題される、「なぜこのような葉の生え方をしているのか」という問題を思い出しました。懐かしいですね。


ここまで葉が大きくなってきて気づいたのですが、先に生えた本葉と最近生えた本葉はだいぶ違っているのでそれを紹介したいと思います。観察対象はある個体の4枚目の本葉(左)と1枚目の4本葉(右)です。これ以降、左側の写真は4枚目、右側の写真は1枚目の本葉の写真となります。

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まず、葉の厚さです。触ると分かるのですが視覚的には伝わらないので裏側5㎝からiphoneのライトを当てた写真を比較します。

若い葉は薄いため光をよく通しますが古い葉は厚くなっており光をあまり通しません。また、若い葉の葉脈は隅々まで見えますが古い葉はそうではありません。厚いせいか細かい葉脈は見えず、見えるのは太くて主要な葉脈だけです。

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次にトライコームに関する違いです。若い葉ではギザギザの一山当たり10本弱のトライコームが確認できますがで古い葉では5、6本ほどしか確認できません。トライコームが減ってしまっては害虫が葉の本体につきやすくなるし、水分も蒸発しやすくなってしまうと思います。大丈夫なのでしょうか。葉が厚くなって水分は多めありそうなので水分に関しては問題ないかもしれませんが、害虫の影響が心配です。ハクサイ本人は古い葉は食べられてもよいと思っているのかもしれませんが。

ハクサイの現状についての報告は以上です。


最後に、肥料についてです。種まき(10月9日)から31日が立ちました。坂谷さんの過去の記事への先生のコメントでは、元の土に含まれる肥料はだいたい1か月とのことでした。また、ミニハクサイを栽培した去の先輩のアドバイスには、「肥料を切らさないように」とあるので、そろそろ配布された肥料を使います。先ほどの坂谷さんへのコメントを参考にして、10粒ずつ、3ケ所、鉢の縁に近いところの土に少し潜る程度に与えます。

コメント

阿部さんこんにちは

 先ずは葉の出方、葉序といいますが、これは植物によって出方が決まっています。この場合2/5ずつの回転でしょうか。こうやって植物は葉が重ならないように、日光を無駄にしないようにしています。まあ、理科で出題されることですが、未だにどういうメカニズムなのかはっきりしていません。

 そして今回、葉の形態に着目していますね。厚さ、ギザ、葉脈などです。感心したのは後ろから光を透過させてみることです。こうやって比較しやすく、また見る側にもとてもいいプレゼンになっています。惜しむらくは一枚の葉の成長と共に変わってくるのか、それとも植物の成長につれて出てくる葉の形態が変わるのか、が判然としません。いくつかの葉に印をつけておいて同じように写真を撮り続ければ分かってくるものなのだろうと思います。

 トライコームにも言及されていますね。写真もとてもきれいです。この場合言いたいのは数の話なので必須ではないのですが、メジャーも欲しいところです。学術論文ではメジャーのないものはそうありません。考察で害虫のことに触れています。トライコームがどれだけ害虫を防げるのか私も具体的に知らないのですが、まあ古い葉は食べられても、というのも凄いですね。もしそうなら積極的な誘引に

なりますが、しかしそれで害虫が数を増したらひどいことになるのでは......

 さて、追肥を考えましたか。確かにそろそろ時期ですね。その要領で行って下さい。間引きもそろそろ2本にしてもいい頃だと思います。

 今回、植物が良く育っているので、栽培的なことに触れませんでした。水やりの間隔、置き場の日照、温度などの情報を載せて下さい。これから冬場、急激に環境が変わりますので。

それでは

ラボスタッフ オガタ