東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

報告0(これまでの栽培記録のグラフと考察;2449字)(文:鈴木亮祐)

2019年1月27日 (日)

Ⅰ はじめに

今回は報告14のコメントを受けて、過去に栽培したルッコラとハツカダイコンのデータをグラフ化し、その考察をしたいと思います。

また、グラフについてはペイントに張り付けて画像としてアップロードしました。この方法だと、グラフが小さくなってしまい、クリックして拡大しないと見えなくなってしまいますが、これが今の私にできる最善の方法です。申し訳ございません。

Ⅱ ルッコラのグラフについて

① ルッコラ1回目、2回目と3回目のグラフ

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② グラフの説明

このグラフでは収穫後の大きさは0にしました。また、記事に書いていない大きさについては推測しました。そのため、正確性に欠けていますが、大きさの変化が各回でどうなっているかを比較することができます。

③ 考察

2回目を除き、3日目から発芽し、最大で2cm前後になった個体があります。このことから、こたつの底の温度は、1回目のハツカダイコンを育てていた温度と似ている可能性があると考えられます。しかし、3回目のほうがその後同じ時間での伸びが大きいことを考えると、こたつの中の環境のほうが1回目の栽培環境よりも良い環境であったと推測されます。加えて、1回目と2回目では5cm以降になるとそれ以上伸びなくなるということが言えます。一方で3回目は最大で6cmまで伸びました。しかし、その後は下がっているため、13回目のコメントを参考にして、種子中の養分を使い果たして自身の体を維持できなくなったと考えます。2回目のルッコラの成長が遅いのは2つの原因が考えられます。1つは温度条件が他の2つより悪いことです。もう1つはカビによる悪影響です。しかし、自業自得ですが残念なことにどんな種類のカビであるかわからず、こたつの中の温度を測っていないため、これらを検証することはできませんでした。

また、2回目のルッコラについては、長らくクッキングペーパーの上を這っていたことと、私がだらしないこともあり、正確なデータに乏しいためより正確な、そして比較可能なデータの収集が必要です。

④ 感想

今回は上記の通り正確な、そして適切な量のデータがとれておらず、いかに自分がテキトーな観察をしていたかを思い知らされました。この失敗をこれからは繰り返さず、きちんとしたデータの収集を行います。

Ⅲ ハツカダイコンの本葉の大きさ

 ハツカダイコンの本葉のグラフ

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グラフの説明 

このグラフは、栽培開始から56日目以降のハツカダイコンの本葉の大きさをまとめたグラフです。本葉9枚目や本葉8枚目などの最初のほうの値は測ることができなかったため、最初に測ることができたときの大きさから推測しました。56日目以前のデータはあまりに少なかったため、グラフ化することができませんでした。

 考察

まず、本葉1枚目のデータから6cmを超えるとそれ以降は伸びが小さくなることがわかります。おそらくそれは本葉が成長できる限界にかなり近づいているためだと考えられます。

また、本葉67枚目のデータから、後から出た葉のほうが伸びが大きいことと、本葉4枚目や5枚目よりも大きくなることがうかがえます。この理由は、後から出た葉のほうがより日に当たりやすい場所にあるということが第一に考えられます。しかし、私は別のところにも着目してみました。それは葉の形です4枚目、5枚目の本葉は亀裂が入っておらず、葉の形も全体的に丸い形をしていました。一方、本葉67枚目は1枚目と同じで亀裂が左右に入っており、根元に近い部分には小さい葉が1つ~3つついていました。サンプルが少ないため偶然である可能性も大きいですが、もしかしたら、葉に亀裂が入っていて根元に小さい葉をもっている本葉はそうでない本葉よりも大きくなるように作られているのかもしれません。あるいは、葉の形が太陽光を取り込むうえで有利な形になっているため、大きくなったのかもしれません。

 感想

このグラフを作る時はルッコラの時と同じで、もっと早くから正確なデータをとっておくべきだったと思いました。中間発表以降になってから本葉の大きさをすべて測るようになったため、56日目以前の変化がわからず、不完全なグラフになってしまいました。

Ⅳ ハツカダイコン2回目のグラフ

グラフ

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グラフの説明

このグラフはハツカダイコン2回目の、30日目以降の本葉の大きさの変化を表しています。

このグラフでは、最初に報告があげられるまでの本葉の大きさについては0にしています。そのため、本葉1以外は最初のほうで急上昇していますが、それは実際に増えているのではなく、データがないだけです。また、前2つと同じく本葉の大きさが報告されていないものについては前後の大きさから推測しました。

考察

このグラフから、本葉が3cmに近づくか超えるかすると、成長速度が遅くなることが読み取れます。理由はわかりませんが、経過日数が違うハツカダイコンが1つの鉢に同居していることが何か影響を与えているのかもしれません。1回目のハツカダイコンはすでに葉を広範囲に展開し根も広く張っていることが予想されます。そのため多くの養分を吸収し、2回目のハツカダイコンにはなかなか養分などがいきわたらない可能性が考えられます。

また、本葉5が乱高下していますがこれはデータの正確性があまり高くないため、実際にこのような変化が起きているのか自信が持てません。というのも、果たして測った本葉の大きさが本当に同じ本葉のものであったのかが怪しいからです。他の本葉に関してはちゃんと同じものを測っているため大丈夫ですが、本葉5だけはその確信がなく、もしかしたら同じ個体の違う本葉のデータが紛れ込んでいる可能性があります。

感想

今回のグラフ作成の過程で、本葉の大きさを測り始めるのが遅いこと、またどの本葉の大きさを測ったのかきちんと書いていないことに気が付きました。もし今後、いくつかの同じものについてデータをとることがあったら、ちゃんと番号を割り振るなどして識別しやすいようにしようと思います

今回の文字数2449文字。

コメント

鈴木さんこんにちは

 最終報告が終わっても、こうして記事を載せて頂けるのを嬉しく思います。いや本当にそうです。

 人間、最中には関心があっても、終わってしまうと何の関心も持たなくなることが多いものです。何についても当てはまりますね。

 それと少し関係するのですが、大学のたいていの研究室は雑然としていて、わけの分からないものが置かれていることが多いのです。これは卒業していく人たちが自分の私物(研究物、試薬、本、雑誌、カップ、ネームプレートなど)を片付けていかないせいですね。それが何年も溜まっていくと多くなります。もう卒業就職で、それまでの研究に関心が無くなってしまうとそうなりがちです。そこをしっかりするのが良いことです。

 私の持論ではありますが、利害関係が無くなってからが本当の勝負です。店で物を買ったなら、後のアフターフォローがその店の真価ですし、クラスの友達なら卒業してからの関係がその真価、ですね。

 さて、植物の成長を順次計測されていましたが、ここでグラフ化して総括にかかっているのですね。さっそくグラフと考察を拝見します。ルッコラのスプラウトのグラフからけっこう色々なことを考えているようです。コタツ内での温度、カビ、栄養枯渇、などです。考える決定打はなくとも、そういう姿勢が大事ですね。もしも繰り返し実験なら一つ一つ可能性を潰していけば真実に辿り着きます。私にもなんとも結論は出ませんが、来年以降の受講生へのコメントをする上で参考になることは確かです。

 ハツカダイコン一回目実験の葉のグラフはきれいですね。ここから、ご自分では一枚の葉の成長の限界、および葉の形と最大長さの関連を読み取られました。

 それはその通りですね。事実、葉はみな一定の長さに近くなると、それ以上の伸長を停止しています。葉の形態もその伸長限界点も遺伝子的にコードされているため、何らかのリンクがあってもおかしくはないですね。それと別に伸長の速さは、その葉の日当たりの他に、他の葉から栄養が送られて成長を助ける(これを「転流」と呼ぶのですが)ことの影響がありそうです。この実験ではそこまで結論は出ないのですが、一つ確実に言えることは結果が非常に綺麗だということです。葉の最終長さも揃っていますし、葉の伸長のカーブも綺麗な形です。

 ハツカダイコン二回目実験も良いものですね。条件を変えず(自分で変えられる条件は同一、栽培温度などは変わらざるをえませんが)繰り返し実験をした場合は、最初の実験と結果が揃っていること(つまり再現性)が最も大事なのですが、この場合はだいたい同じになりました。

 考察では追加して、株の間での競争も考慮していますね。

 そして再度実験するなら、という反省もあります。文学部でこのような自然科学的な物の見方ができることは貴重で、褒めてあげたいですね。逆に私などは文学部的な研究は想像もできず、自分ができるとは欠片も思えません。例えば作家の黎明期から円熟期にかけて作風の変化、と問われても「書きたいから書いたんじゃないの」と言ってしまいそうで、それだと留年必至なんでしょうね。

 そしてどうでもいいことですが、下の写真は街角で撮ったものです。さっと見ると「安く買う」としか見えません。

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それでは

ラボスタッフ オガタ