東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

[159日目]現在のブロッコリーの様子とミズナの実食レポート(農:八巻慶汰)

2019年3月14日 (木)

お久ぶりです。農学部1年の八巻です。1月後半に最終発表を終えたこの展開ゼミですが、その後も、ブロッコリーとミズナの栽培を継続してきました。ブロッコリーはまだまだ収穫には至らない様子ですが、ミズナは収穫に十分なほどに成長したと思われたので、この度3月14日にミズナの収穫をし、実際に食べてみたのでその感想などについて今回は報告したいと思います。

3月の上旬に帰省する際、この二つの野菜を両方とも実家に持ち帰り、いままでより日の光がよくあたる場所に置いています。

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ブロッコリーについて【2019年3月14日】

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前日の風速がとても強かったこともありブロッコリーは2株程体制が崩れております。土からの高さは15㎝程で、1月に記録したときより5㎝程成長しています。本葉の数は約6枚に増えており、葉の大きさは変わらず6㎝でした。種を植えてから半年ほどになりますが、やはり日光の少なさが原因か花蕾を付ける様子はまだ感じられません。倒れた二つの株は間引きをする予定です。晩出のものは8月に播種したものの収穫が2月~3月になるものもあるようなので、できればこの個体も収穫までいけたらなと思います。

ミズナについて【2019年3月14日】

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ミズナは1月の頃のものよりだいぶ葉の数が増え、茂っているように感じられます。今回はこの鉢のなかでも一番育っている二株を収穫しました。また、市販のものと比べてみるため当日にスーパーで宮城県涌谷町産のミズナ茨城県行方市産のミズナを購入し、見た目や味の違いを検証してみました。(向かった二つのスーパーにアカミズナや紫ミズナは残念ながら販売されていなかったため、一般的なミズナとの比較になります。)

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収穫したものが右の画像です。根を含めると全長は22㎝ほどになりました。1月より9㎝程伸びています。葉は他のものよりも濃い緑色をしていて、葉の厚みがあるように感じられました。また、茎の部分は紅法師特有の紫色になっていました。

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次に市販のミズナとの比較です。

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左:茨城県産 中央:宮城県産 右:私産

まず色は市販のものは淡い黄緑色をしているのに対して、収穫したものは濃い緑色をしているのが印象的です。また葉のハリも市販のものより良く感じられました。これに関しては、写真は収穫して水洗いののちすぐに撮影したものなので主に鮮度の良さが理由ではないかと思われます。

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次に大きさについてです。(左:茨城県産 右:宮城県産)いずれも40㎝前後で、私が育てたものより20㎝程大きいという結果でした。ここで大きく生育環境の差、特に日照条件の差が表れているのではないでしょうか。


最後に味や食感についてです。

茨城県産・・・苦みや青臭さが少なく食べやすいが、食感は若干しんなりしている。

宮城県産・・・ミズナ、野菜の苦みやえぐみが比較的強い。茨城県産のものよりハリがある

今回収穫したもの・・・シャッキリとした歯ごたえ・ハリがある。苦みはあるが良い風味がある。

予想よりそれぞれがはっきり違う味をしていましたが、収穫したものが一番みずみずしさがあり、おいしく感じました。やはり新鮮さという要素が一番味において重要であると感じました。比較後は、シンプルにサラダにして頂きました。三種のミズナのシーザーサラダです。おいしくいただけました。

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播種から収穫まで経験してきましたが、レッドキャベツスプラウトと違って、ミズナはしおれるスピードが速かったり、ブロッコリーは成長が遅かったりなど、野菜を育てるうえでただ単に水を上げるだけではうまくいかないことも何点かありました。これが農家のように大規模な栽培をすると生き物の害や天候によるどうしようもない被害などが関係してくると考えると、野菜を育てるのはひとえに容易ではないということが身をもって体験できました。これからも、普段何気なく食べている野菜を支えている農家や研究者の方への感謝を忘れずに農学に向き合って行こうと思います。

コメント

八巻さんこんにちは

 こうして最終報告後も教えて頂けるのは感謝ですね。

 今回、ミズナとブロッコリーのその後が分かって安心です。

 ブロッコリーについて株としてはいかにもミニなんですが、ゆっくりとここまで成長してきたことは凄いですね。ブロッコリーの花蕾と葉の大きさはだいたい比例するものなので花蕾も小さいかな、とは思うのですが収穫が楽しめそうです。無理に花蕾を見ようとしなくていいのですが、ごく小さくできてきている頃だと思います。株の大きさとあまり関係なくこの季節には栄養成長から生殖成長へ転じて、花をつけるものです。

 この後、株は実家へ置いておくのでしょうか。それなら家人に収穫してもらえばいいですね。もしも手間でなければ収穫後、肥料と水をやっておけば側枝にも花蕾を生じて二番収穫ができるかもしれません。春休みですから実家に帰られたので、そこに置いて仙台に戻るのでしょう。それともどこかもう旅行かもしれませんね。うちの娘も春休みは関西旅行で、京都でニセ舞妓などやって楽しんでいるようです。

 もう一つのミズナは収穫、食べるところまで行けて本当に嬉しく思います。小振りではありますが葉の枚数はかなりありますね。しかも、紅法師らしいアントシアニンの定着がしっかり見えます。

 市販のミズナと比較したのは良いことです。しかも、他に二つと比べていますね。そうやって比較対象物を増やして初めて「AはBより大きい」ではなく「Aは大きいほうだ」などという結論を導けます。これは小さなことのようですが、主張としては違うものになります。全然違います。科学論文ではそういった「裏付けのある主張」をきっちり積み上げないといけません。

 ちなみになんですが、普遍的に「Aは大きいほうだ」と言うにはどれくらい他と比較すればいいでしょう。2つ?3つ?5つ?10つ?、これも考えて下さい。なんとなく5くらいあればいいかな、というのでは根拠薄弱で論文になりません。多ければ多い程良いのは当たり前ですが、多い程実験は手間が増え、現実的でなくなってただの無駄です。そこで「世の中の作付け面積過半になる品種群」とでも根拠をつければ誰もを納得させられるでしょう。理屈を繋げることが大事なのです。

 さて話は戻って、比較の画像を見ても、栽培したものと市販品では葉の厚さ、葉脈の太さがだいぶ違いますね。鮮度の違い(収穫して店頭に来るまで最低一日はかかるし、店頭でどれくらい置かれていかのかも不明)もあるでしょうが、栽培環境と品種の違いが主だと想像します。葉のギザもだいぶ違うようで興味深いところです。

 市販品の茨城県産と宮城県産との比較では違いはあまりはっきりしません。これも一つの驚きです。気温・土壌......が違っても、ここまで均一の作物が作れるのです。これはきっちり農家がマニュアルに沿いながらも、自分の畑でアジャストしているということを意味します。また同時に種苗会社が、イメージした作物を広範囲に収穫できるよう、苦労して育種したということでもあります。つまり幾重にも誰かの努力が積み重ねられているんですね。

 結論の文章でもそのことに触れられているようですが、細かく考えると必要な技術がどんどん考えられるでしょう。肥料にしろ、不織布にしろ、いろんな技術があります。八巻さんは農学部ですのでこれから学ぶべきものがどれほどあるか想像して下さい。その上で、自分が何が好きか、土壌、園芸、育種など考えたらいいですね。東北大には残念ながら農業工学はないのですが......

 関係ないですが、私もたまたま今日、耕運機が運転されているのを人生で初めて見ました。いやあ、こういうものだったのかーっと分かりました(ちなみに運転してたのはここの教授)。初めてということではこの展開ゼミに書いて頂いた、タキイ種苗のコメント、さすがに唸りました。例えば種子の吸水力がメガパスカル表示で、初めてそういうことを知りました。

 この報告での食べログも面白いものです。栽培したミズナを食べて、風味がいいとしてくれたのは感謝です。実は当研究室のミズナは窒素肥料過多のせいかエグかったので余計にそう思います。このゼミを開講し、また受講して頂いた甲斐があったというものです。そして植物栽培にも慣れ、また興味を深め、科学的観察が身につきましたでしょうか。

 確かに家庭菜園は鮮度がよくていいものですが、他にも自分の好きな品種・珍しい品種を植えられる、無農薬などアレンジができる、といった利点もあります。まあ面白いものですよ。

 ちなみにですが、私は家にネコがいる関係上、屋内に植物を置けない(一瞬で破壊される)のですが庭には花(主にチューリップ)・野菜(主にホウレンソウ)などを植えています。先週はジャガイモの植え付けをしました。木は一本だけ、娘の弘前記念でリンゴの木(なぜか品種はシナノスウィート)を植えていますがこれは枯れそうです。よく人には「人間年取ると土に還る準備するんだ」などと言われていますが、ひょっとしてほんとか、と思います。

 どうでもいいことですが、今吉野家で超特盛やってます。意外に大した量でもありませんでした。次はすき家のメガ盛りに挑戦しようかと思ってます。

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ではまた

ラボスタッフ オガタ