東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第5回:やり直し カイワレ / 成長と収穫(医:佐々木円花)

2019年12月 1日 (日)

大変ご無沙汰しておりました。医学部1年の佐々木円花です。

前回の投稿から随分と長い間を空けてしまい、誠に申し訳ございません。

スプラウト(カイワレ)について、前回の投稿で種子の密度を上げるべきというアドバイスをいただきましたので、植え直してみました。

その成長の様子についてご報告いたします。

ちなみに、上の画像は夜の西公園(ジョギングコースにて)です。最近は足を痛めてあまり走れていないので、早く治してまたランニングを再開したいと思います。


11/7(火)6:43

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気温:7℃

湿度:76%

天気:曇り

写真の通り、前回より密度を上げて播種してみました。

ただし、種子どうしが重ならないように注意しました。

今回は、用いる綿も綿100%のものに変更しました。用いた製品が違い、前回は一個あたりの分量が一定でないものを用いたので一概には比較できませんが、前回よりも綿の量も増やしてみたつもりです。


11/12(火)

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ご覧の通り、ほとんど全ての種子が無事に発芽し、5cmほどまで成長しました。

置いた場所は前回と全く変えていないので、やはり、綿に含まれている成分に問題があったのだろうと思います。

成分表示にはコットン、ポリエチレン、ポリプロピレンと書いており、ポリエチレン、ポリプロピレンは取り外した外装の成分のはずなのですが、加工する過程で混入していたとすると、植物の発育を阻害する原因物質となっていたことは十分に考えられます。

というのも、英国で発表された論文によると、土壌中にプラスチックが含まれていると、そこに生息する植物および生物の成長を阻害するという結果が出ているようなのです。

(Effects of Microplastics in Soil Ecosystems: Above and Below Ground, Boots et al. 2019

リンク先:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.9b03304)

この論文はマイクロプラスチック(直径5mm以下の微細なプラスチック)に関するものであり、前回用いた製品の外装とはまた違ったものではありますが、マイクロプラスチックに化学物質が付着して有害なものに変化する場合もあるそうです。

やはり、今回使用する綿を変更したことは正解だったと思いました。


11/20(水)

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気温:9℃

湿度:65%

天気:晴れ

写真のように、長いものでは15cmを超えるほどまでに成長しました。

12日は発芽していなかったものも発芽し、全体的に元気な様子です(垂れ下がっているものは自身の上部の重みによるものではないかと考えています)。

収穫まであともう少しです。


11/23(土)

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気温:11℃

湿度:91%

天気:雨時々曇り

このように非常によく成長しましたので、やっと収穫することにしました。

今回は栽培が上手くいき、大変安堵しました。


実食

ということで、実食です。

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正確に測るのを忘れてしまって、この写真しか残っていないことに後で気づいたのですが(申し訳ありません)、分量は結構多いという印象でした。

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カレー味の炒め物にして食べました。

自分で栽培したものを食べるのは小学校以来なので非常に新鮮でした。

イタリアンパセリ、ちょい辛ミックスの収穫も楽しみです。

(佐々木円花)

コメント

佐々木さんこんにちは

 ジョギングとは...... なんだか凄い頑張りを感じます

 公園の写真ですが、とても上手ですね。止まった風景でありながら非常に濃密なものを感じます。たくさんの時間軸で人が動いて、そして去って行った終幕の後のように見えました。

 カイワレの栽培記録、これにはぶっとびました。いやあ、なかなか考えても考え付かないものです。過去、これほど分厚い植え床の人がいたでしょうか(いや、ない)。

 植え床を厚くするともちろん根が下に伸びます。それは良いことなんですが、同時に酸素が行き渡りにくい部分に根が行ってしまうということと表裏一体です。むしろ浅い方が過去の例では失敗が少ないのですが。

 この場合はきれいに成功しました!

 いろいろ考えることがありますが、先ず16日間をかけているのが意外でした。もちろん9℃というカイワレ栽培にしてはかなり低い気温のせいですが、種子のエネルギーをそこまで持たせられたんですね。伸びているせいでコップから花束状態になっているのもご愛敬です。というかこれは最初の段階で予期されることですね。最後の緑化はしていないようですが、まあ栄養的なことや風味は違ってくるでしょうが良しあしです。

 植え床についての考察で今回はポリエチレン・ポリプロピレンに言及しています。ポリエチレン・ポリプロピレンはあまり繊維としての利用はしないですね。おっしゃる通り外装品なのでしょう。

 それ自体が阻害物質とは考えられません。引用されたマイクロプラスチックについては、何かの吸着物質のせいなのでしょうか。昔から公害物質の影響というものは様々な側面から実験されるもので、それもその一つなのでしょう。

 阻害物質の可能性ならむしろ同じ植物成分が疑わしいのですが、別報告では、ワタにはそのような性質はない、とのことでした。まあ、非常に一般的なことで言えば、例えばたいがいの木の樹皮に含まれるクマリンなどの高分子はかなり広範囲の植物に阻害作用として働きます。アレロパシーとしての目的で生合成されるものではないのでアレロパシー物質とは呼ばないのですが。

 全く関係ないですが、繊維のプラスチックはナイロン(アミド結合の高分子です。受験でヘキサメチレンジアミンとアジピン酸を習いましたね! ちなみにもう一つの合成法であるカプロラクタムの開環反応は日本開発です)、ポリエステル(エステル結合です。ちなみに炭素鎖に芳香環が入っているものが使われ、あのPETボトルと同じ化学構造です)、アクリル(アミン付きの長鎖)、この3つが主要なものです。

 それぞれの性質については言及しませんが、私がいいたいことは手触りです! 一般的に、吸水性がなく静電気を帯びやすいポリエステルはそれほど手触りがよくないと言われています。しかし、手芸店などで触ってみると、それはもうポリエステル最高! 私は断然ポリエステル派です。アクリルはフツー、天然繊維のウールでもアルパカでもアンゴラでも、ポリエステルには敵わないと思います。いや、案外ウールでも硬いものがあります。何か繊維物を買う際には、成分表を見て、比べてみたら面白いですよ!

 食レポも独特の感性を感じます。取っ手が非対称の鍋も面白いですね。カレー味の炒め物も珍しく、その豪勢な盛り付けも楽しいですね。

 次の収穫も楽しみなものです。

ではまた、報告お待ちします。

ラボスタッフ・オガタ