東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

7.温度が測れるようになりました!(農:粥川颯人)

2019年12月 6日 (金)

テストとレポートがすべて終わって一息ついていたらこんな時間になってしまった粥川です。男に二言はないということで現在21:15分ですが今日中に仕上げるために爆速で記事を書き上げていきます。

パソコンの調子が悪いのと時間がないので本日のサムネは英語のプレゼン用で作ったものの使いまわしです。残念。

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【粥川からのコメント】

植物の根は二日の以上の水没でダメージがくるようなイメージです。

鉢ごと水を張ったバケツに入れて外で放置していたのですが、そのまま回収を忘れて四日間も放置してしまいました...新しく出てきた葉のほうは強度もないためかなり弱ってしまっている状態です。急いで室内に入れて看病していますが、正直どうなるかわからないですね。

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白い粉というのは、キャベツの葉のワックス成分(教授談)の可能性が高いです。

なるほど!そういうことなら安心しました。植物本体から出たような物質なら今後特にいじるようなことはしません。ワックス成分は食害や乾燥などから身を守るためにあるのかなとか考えだすとこれもまた植物を育てる楽しみになりますよね。僕は植物の原産地を考慮して植物の気持ちになりながら水やりや日当たりを考えるようにしています。

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さて、本日の記事はこちらです。

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〇キャベ男の観察④(播種から64日)

〇黒キャベツの観察(播種から64日)


〇キャベ男の観察④(播種から64日)

左が屋内のキャベツ、右が屋外のキャベツです。本日は夜の撮影なので人工光での撮影ですがご容赦ください。

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屋内・屋外ともに2株残していますが、屋内の株の本葉の枚数は8枚と9枚、屋外の本葉の枚数は6枚と7枚となっています。また、葉の大きさについては屋内よりも屋外のほうがかなり大きいです。屋内のキャベツは葉の枚数を増やして、屋外のキャベツは葉の大きさを大きくして光合成量を担保するという戦略なのでしょうか。

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また、前回記事当たりから気づいたことですが、葉はものに触れていると枯れてしまうようです。地面に触れた葉は必ず茶色になってしまいますし、鉢に触れた葉もそうでない葉と比べて明らかに黄色みが強いです。

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さて、話は変わりますが、「今日は記事を書き始めるのが遅いな。全くけしからん。」などとお思いの方もいるかもしれません。そこに関しては深くお詫び申し上げます。

ただ、これに関しては諸事情がございまして、その諸事情のうちの一つがこちらでございます。

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そうです。はい。簡易温湿度計です。こいつを買うためにダイソーまでチャリを飛ばしていたのでした。(チャリでダイソーまで行くだけでこんなに時間がかかっていたわけではありませんが)

キャベツの原種・ヤセイカンランの故郷ヨーロッパ西海岸と仙台、そして我が家の気温の違いを知りたかったので買ってきました。

まず、ヨーロッパ西海岸のイギリス、ドーバーの気温が左、仙台の気温が右となります。(いずれも12月の気温、accuweather.comより)

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仙台のほうが最低気温が2度ほど低く、最高気温が23度ほど高いといったところでしょうか。実は仙台の気温がヤセイカンランの生育気温にかなりマッチしているようです。今朝屋根に雪が積もっていたので「そろそろやばいかもな」と思っていたのですが、限界まで屋外のキャベツは屋外で放置していきたいと思います。

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一方室内の温度は約18.5度。カーテンの外に置いていても暖かすぎますね。来年度の受講生にはこの季節ならキャベツを選んで外に放置しておくことをお勧めします。

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〇黒キャベツの観察(播種から64日)

続いて、11/14の第4回記事から報告が滞っていた黒キャベツについての報告です。確かこの辺からまじめに記事更新し始めたなぁとか思い出しております。

順に11/22(播種から50日)、12/1(播種から59日)、そして12/6(播種から64日)です。

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成長するにつれて葉のしわしわが目立ってきます。また、だんだんと葉が大きくなるにつれて葉の先端が地面に向くようにカールしていきます。

以前緒方さんもおっしゃっていましたが、キャベツと比べるとかなり成長が遅いようです。研究室のほうの黒キャベツもこれくらいの大きさでしょうか?

黒キャベツに関しては成長の遅さから毎回の記事にするというのは困難ですので、ちょくちょく細かいデータをとって遊んでみようかと思います。

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今朝は雪もうっすらとつもり、暖房も本格的に稼働し始める季節になってしまいました。暖房フル稼働につき室内の乾燥がかなり進んでいるため、いつもよりも多めに水やりをしていこうと思います。何度も言いますが、キャベ男たちの生育環境は本気で死にかけない限り今のままでいきます。次回記事更新は12/10です。(だいたい1830字)

コメント

粥川さんこんにちは

 冒頭のイラストが楽しいですね! いつも感心しています。

 農学部的に言うと、先ずは下の葉ほど大きいのがおかしいのです。中間の葉が一番大きいものです。それと、双子葉植物はひげ根ではありません。主根と側根があります。イラストでは単子葉植物の根です。

 根を水没させた鉢ですが、まあ様子を見ましょう。萎れてくるようなら根が傷んでいます。水や養分を吸収するのは根の先の根毛部分であり、そこが傷むといくら根が存在しても水を吸えません。そして、もしも萎れてきたら、思い切って鉢から抜き、鉢土を落とし、そして根の2/3を切り取ってしまい、新しい鉢土に植え替えます。そうすれば新根が出やすくなります。この季節は幸い葉からの蒸散は多くないので根が全部腐らない限り枯れないでしょう。

 さてキャベツは面白い現象が起きていますね。要するに、環境適応が葉と茎で異なっているようです。室内栽培だと茎が伸びて(キャベツはあまり茎を伸ばさないので見た目にそうではないかもしれませんが、葉の原基は多く作られます)葉が多くなり、室外栽培だと光合成をしっかりできるように一枚一枚の葉が大きくなるというイメージでしょうか。それを合わせてみると、なるほどおっしゃるような戦略に見えます。

 葉が何かに触れると茶色くなる、これも面白いですね。もともと元気がなくなると葉が垂れて触れやすくなることもあるでしょうが、写真で見ると確かに鉢に触れている部分が茶色いです。接触で傷ができるのか、それへのアポトーシスで枯れるのか、それとも刺激だけで引き起こされるのかは分かりません。最近、植物の刺激によるシグナリング応答の研究が進んでいますが、現象としてはそう見えるのですね。

 ダイソーでそういう温湿度計が売っているんですね。もちろんそういうタイプは「バイメタル」式ですので誤差が出ますが、充分役に立ちます。

 それのみならずヨーロッパとの気温比較が面白いです。なぜドーバーを選んだのかは不明です。キャベツの原産地はヨーロッパと考えられていますが、自生地は広く大西洋岸から地中海に面しています。そしてドーバーの冬はなるほど仙台とあまり違わないんですね。関係ないですが、世界各地の大体の気温を知っておくと、なんかの役に立つかもしれません。

 日本の各地の気温も知ると面白いですよ。おまけに降水量も面白いです。仙台市は夏と冬の気温の差が全国でもトップクラスに小さくて、その意味では住みやすいのでしょう。降水量も内陸県並みに少なく、夏も冬もまんべんなく晴れています。私は気温よりも雨風が嫌なので(外に出にくい)助かります。逆にいうと冷房も暖房も必要という意味では微妙でしょうか。三陸より北では冷房が要らなさそうで、一度住んでみたいですね。

 さて結論ではキャベツは室外に放置しましょう。霜で多少弱りますが枯れはしません。

 

 黒キャベツの生育、当研究室のものも似たようなものです。普通のキャベツよりも遅いですね。

ではまた、報告お待ちします。

ラボスタッフ・オガタ