東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

「変身」(文:小松澤亮晴)

2020年10月31日 (土)

1.挨拶

 こんにちは、小松澤です。

 今回紹介するのはフランツ・カフカの「変身」です。一回目の記事にも出しましたが、主人公がある日突然虫に「変身」してしまうという内容です。この話の結末がまた不思議で、最終的に虫の主人公は息絶えてしまうのですが、その家族は「彼らの新しい夢とよき意図の確証」を感じるというのです。当然、様々な解釈、議論がおこるのは必然です。記事に書いたように、自分は小沼丹と関連させた解釈をしました。他にも、「これは介護者とその家族のメタファーではないか」といった意見もあります。

 ところで、つい先日川内近くの公園で4匹くらいのネコに会いました。自分も猫が好きなのですが、ついに触らせてもらうことはかないませんでした。今度リベンジしようかなと思っているところです。

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~目次~

1.挨拶

2.経過観察

3.結び


2.経過観察

 まず、カイワレダイコンから見ていきます。12日目(10月26日)がこちらになります。

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けっこう伸びてくれたものがある一方で、問題が生じてきました。


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写真は、アルミのカバーをとって光に当て始めた(夜だったので蛍光灯に当てています)ものですが、見づらいかもしれませんが、葉が黒ずんでしまっていたり、ふにゃふにゃになって折れてしまったものがみられました。伸ばそうとしすぎて、アルミのカバーを外すのが遅くなり、半ば腐ってしまったようです。水も多すぎたのでしょうか。


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上の写真は14日後のものです。ちゃんと緑化してくれましたが、けっこう枯れてしまいました。また、ティッシュのところに、これも見えづらいでしょうが、カビが生えています。

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なんとか食べれそうなものを探し出して、3本だけ、見つかりました。これだけだったのでこのまま生で食べました。ピリ辛で、今まで食べたことのあるようなフツウのカイワレダイコンだな、という印象でした。

 というわけで、一世代目は多くが犠牲になってしまいましたが、その経験を生かして第二世代を育てていきたいとおもいます。

20201031143117-f119ce9341c82ff9c04e4de809557571fc2e00f3.jpeg次に鉢の方です。こちらは間引きを行いました。が、間引き前後の様子を比較するための間引き前の写真を撮り忘れていました。参考になるかはわかりませんが、前回の記事に載せた7日目の写真を載せておきます。下の河北の写真がそれですが、これより伸びて広がっている様子を想像いただけたらと思います。仙台芭蕉菜も同じ感じだと思ってください。ちなみに、間引きをしたのは14日後(10月29日)です。

20201031143427-ea3b1989a902e2c7e3950cecae2673ede721bc44.jpegこれを各鉢4つずつくらいまで一気に減らします。

20201031143205-81b077b17f9ae30eb5b16277ef12b646fcd3223b.jpegベビーリーフはこんな感じです。この写真は11日目ですが、間引きはこれも14日後です。

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間引きをして思いましたが、特にベビーリーフの方が、自重を支えきれずに倒れているような気がします。水やりをしたときの水の重みとか、間引きの際に周りの土が減ってしまったとか、そういったことも原因と考えられます。盛り土をしてあげて修正してあげたいとおもっています。ちなみに、間引きした葉っぱは下の写真です。かなりの量になってしまいました。

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3.結び

 以上になります。この時期になって、やはりいろいろな問題が生じてきました。カイワレダイコンも、順調だったのが突然風向きが変わってけっこうな量がだめになってしまいました。今のところは盛り土をしてあげればあとは大丈夫なのかな、と思っています。しかし、鉢の方は子葉だけだった状態から本葉が出始め、ベビーリーフもそれぞれの特徴を見せ始め、まさに「変身」して私を喜ばせてくれています。月並みな表現ですが、苦労と喜びは表裏一体のようです。では、第三回の記事でした。

コメント

小松澤さんこんにちは

 さてカフカの「変身」でしょうか。難しい小説ですね。確かに解釈はいろいろあるでしょうし、何とも言えません。ただ、単なる介護のメタファーとも思えず...... これが書かれたのは第一次大戦直前で、ドイツ帝国が興盛の時期ですね。主人公の一家はかなりギリギリのゆとりがない状況ですが、国としてはそうです。もう一つ、主人公が変身したのは毒虫と訳され、形的にはなんとなくムカデかカブトムシの幼虫のようなものを連想されられます。しかし原典のドイツ語では虫を現すヴルムでもケーファーでもないのです。もっと広い、「害のあるもの」全般ですね。このことからして家族の負担やドタバタではない、社会的な意味で捨て去るべきものを意味しているような気がします。ここまでドイツ帝国を牽引してきて、哀惜はあるものの時代にそぐわなくなり捨て去るべき「ビスマルク思想」のことだとか......

 さて、仙台にはネコがわりと多いようです。東北大でも捨て猫サークルがあって、世話しているくらいです。仙台はネコにとって気候がいいのでしょうか? ネコの発祥は砂漠地帯、厚さ寒さに耐えられるものですが、やはり仙台くらいがいいのかと思えます。ネコトライは気を付けないと怪我をしますので勧められません。

 今回の報告はカイワレですね。けっこういい感じに伸長していると思っていたのですが、最後の最後、わずか一日のところでダメージを負ってしまいました。ちょっと画像の拡大ができないので確認しずらいのですが、カビなのか、溶けるような細菌性の腐敗なのか、既にエネルギーを使い果たしていたためなのか分かりません。コップの水滴を見ると途中で水が多かったのかな、とは思います。

 それでも食レポされているのは凄いです。わずか数本なのですが、まあ収穫ですね。

 さて再トライですね。この場合、「何を改善するのか」をしっかり意識しましょう。それが無いまま繰り返しをしてはいけません。理系学生の実験の場合ではこの点で厳密であり、ただ繰り返すのは時間と経費のロスにしかならず、何もしない方がマシ、ともなり得ます。まあ文系学生なら手順に慣れるという意味から繰り返しにも意味があるでしょうけれど。

 腐敗を主眼に考えるなら「コップの消毒」、水やりを主眼に考えるなら「水を減らすか増やすか」、種子のエネルギーを考えるなら「時期を早めるか」、考えて行いましょう。

 他の植物は思い切った間引きですね。普通は間引きに手心を加えすぎるもので、もっとやるようにこちらが指示するパターンがほとんどですが、この場合はそうでなくなりました。本数としてはこれでいいと思います。ベビーリーフはここから純粋な間引きではなく収穫を兼てになるでしょうか。

 間引き後はかなり徒長しているのが分かると思います。自重を支え切れていない状態ですね。間引きが遅かったために、ここまで伸びてしまいました。ご自分で書かれている通りに、改善策を打たねばなりません。このままではふらふらしているので、風で根にダメージが来てしまいます。幸いにも土を足すスペースは確保されていますので、最初にお渡しした土の余りを静かに追加しましょう。完全に胚軸部(子葉の下に伸びている茎のようなところ)が隠れるまでは至りませんが、最小限ぐらぐらしないくらいに。もう少し植物が育てば株元をしっかり下へ押し下げる土寄せをすべきでしょうが、今の状態では力が少しでも加われば折れそうです。

 次回もまた報告お待ちします。

 ラボスタッフ・オガタ

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