東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

はじめましての挨拶と、栽培開始!(文:恵利一花)

2022年10月16日 (日)

 初めまして、文学部の恵利一花(エリイチカ)と申します!

 

 先日の集会で簡単に自己紹介をした通り、学友会報道部という団体に所属しており、「東北大学新聞」を発行しています。いつか皆様の部署や部活に取材に伺うことがあるかもしれません。また、川内の図書館でアルバイトをしているので、知らず知らずのうちにお会いしている人もいるかと思います。

 出身は京都府の京田辺市という田舎町で、去年までは洛南高校という学校に通っていました。俳優の佐々木蔵之介さんや、陸上の桐生祥秀さんの出身校で、東寺(教王護国寺)というお寺の境内に位置する学校です。自分で撮った写真が全く見当たらなかったのでネットから拝借しましたが、上の写真の角度が、ちょうど通学路から見える景色でした。懐かしいです。春は桜、夏は蓮、秋は紅葉、冬は雪化粧(年に数回と稀ですが)と一年中きれいですので、関西に行った際にはぜひ立ち寄ってみてください。個人的おススメは1か月弱と旬の短い夏の蓮。あとは運が良ければ、冬には池で狩りをするカワセミを見られるかもしれません。

 自己紹介はこのくらいにして、栽培記録へと移っていきたいと思います。

 自分は田舎の出身なので周りに野菜を育てている人も多くいましたし、祖父が趣味で育てたスイカやキュウリ、トウガラシなんかも日常的に食べていました。私自身も植物を栽培するのは好きで、色んなものを育てようと試みたように思います。最も記憶に新しいのは、スーパーでたまたま見かけて購入したハエトリグサとウツボカズラです(確か「食虫植物セール」のようなものをやっていました)。二株とも本当に虫を捕食するのがかわいらしく、大事に育てていたのですが、ウツボカズラの方は冬を越せずに枯れてしまいました。あとで調べたところハエトリグサが北アメリカの原産なのに対し、ウツボカズラはマレー半島などの暖かい地域で自生しているもので、寒さには弱いということでした。植物が好きな割にいつも「なんとなく」で育てようとするので、こういった失敗が多々あります。今回の授業では、そういった適当さを改善し、おいしく食べられる野菜を育てていきたいと思うので、皆様お付き合いよろしくお願いいたします。ちなみにハエトリグサは今も実家で元気にしているのですが、最近では虫を捕まえる部分よりも「普通の」葉っぱの部分が多くなり、全体的に赤色が消え緑色になって、ハエトリグサとしてのアイデンティティを失いつつあるようです。彼は虫を捕まえることをやめてしまったんでしょうか?それとも日光の浴びすぎ?こういった不思議を日々眺めることも、命を育てる醍醐味だなあと思います。

1.タネ観察

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 私が今回選んだタネは、コカブイタリアンパセリ豆苗の3種類。上の写真に写っているのは、コカブ(写真右)とパセリ(写真左)のタネである(豆苗は2~3日で急激に育ってしまうようなので、もう少し生活に落ち着きが出て、成長にいつでも対応できるようになるまで保留しておくことにした。その時に改めて、タネの比較も行おうと思う)。

 2種類のタネを観察すると、大きさはどちらも1~2㎜ほどではあるが、形状が大きく違っているので、与える印象はかなり違っている。

 コカブのタネは、黒っぽくて球に近く、目視ではそれ以上の情報は特に得られなかった。記憶の限り、小学生の時に育てたホウセンカのタネも、似たような見た目であったような気がする。それに対してパセリのタネはコカブのタネに比べると色は薄く、平らな面となだらかな曲線で構成された面があり、裂けるように縦縞が入っている。おそらく、このとがった先端が割れて根が出てくるのであろう。見ている分にはパセリのタネの方が面白い。道端に生えている雑草のタネや、インコの餌なんかで見かける「なんたらシード」など、私たちが日常で見かけるタネには、真ん丸よりは、このような緩急のある形状のものの方が多いように思う。

 

しかし、水をやると突然息を吹き返したように芽が出始めるというのは、非常に不思議な話である。特にこのコカブのタネのようにどこにも隙の無いように見えるタネの場合、水はタネの外壁(?)から浸透して内部に入っていくのだろうか。それとも、タネの外部に水分が触れた時点で、「もう発芽して大丈夫そうよ!」と内部に伝達する回路のようなものが存在しているのか。不思議なことが増えるばかりだ。

2.栽培開始~タネをシャーレに~

2種類 シャーレ1日目.jpg 10月10日夜、コカブとパセリのタネをシャーレの上に乗せ、霧吹きで水をやった。

 いきなりではあるが、迷ったのはコカブのタネの個数についてだ。タネの袋の裏に書かれていたのは、広い畑に植える場合のタネの蒔き方。ネットで調べるも、出てくるのはせいぜい長方形の大きめのプランターで育てる場合のみで、小さい円形の植木鉢で育てている前例がそもそも見つからないのである。畑やプランターに植える際には、10数センチの間隔を空けて一つずつタネをまいていくようだ。植木鉢でそれほどの間隔を空けることは不可能、それではたった一つだけを植えればいいのだろうか?しかしそれは、さすがに頼りなさすぎる気が......。

 迷った挙句、2つという半端な数のタネを発芽させることにした。今も栽培方針に迷っている最中なので、先生方にぜひ助言をいただきたい(です)。

 次に、パセリは発芽の際に光を必要とし、逆にコカブは嫌光性であるという情報を得たため、コカブの方にはアルミホイルをかぶせ、光を遮ることにした。

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 パセリの方は、直射日光には当てないものの、ライトの光やカーテン越しの光で明るい、窓辺の机の上に置いた。

この後は、シャーレの中が乾かないように気を配りながら、根が出るのを待とうと思う。

3.発根?

 芽が出ることを「発芽」というのだから、根が出ることは「発根」というのだろうかと思って調べたところ、辞書にもきちんと掲載されていた。野菜栽培のフィールドで実際に使われるかはわからないが、そのような言い方は存在するようだ。聞きなれない響きである。

カブ 芽が出た.jpg さて、タネに水をやってから2日、早くも発根したのはコカブの方であった。夜に帰宅し、タネの変化に気づいた時には、もうすでにかなり成長している状態だった。真ん丸で硬かったタネはぱっくりと割れ、白くて太い根がにょきにょきと伸びだしている。ヒヨコが孵化するときに、内側からくちばしで卵の殻をつついて破るあれみたいだな、とぼんやり思った。生まれるのも一苦労である。

 「この成長スピードだと、朝まで後回しにしたら、多分芽が出るな」という嫌な予感がしたため、慌てて植木鉢にタネを植えかえることにした。前もって植木鉢に入れていた土の表面を少しだけくぼませ、タネを置いて軽く土をかける。幸運にもまだ根毛は出きってはいなかったようで、難なくシャーレから取り出すことができた。最後に、ペットボトルにきりで穴をあけて作った原始的な自家製じょうろで水をやって、その日の世話は終了した(夜中に懐中電灯で照らしながら行ったため、写真が無い)。「水やりは暖かい時間帯に済ませた方がいい」という話も聞いたことがあるので、正しい情報かを調べつつ、今後心がけるようにしたい。

 対してイタリアンパセリの方は、なかなか根が出なかった。こちらについてはあまりに長くなるので、次の投稿の方に書くことにする。

4.総括

 初めての投稿となりましたが、なんともPC音痴で、サイトの扱い方に非常に苦心しています(私も鹿股さんたちがやっている、赤字で見出し~自己紹介~のような構成をやりたかったが、迷走した末、断念)。アイフォンで撮影した写真なのですが、これで表示されていますでしょうか。されていないのであれば、もうこの授業のためにアンドロイドに乗り換えてやろうかとさえ思っています。

 PC操作のほかにも、懸念点は挙げきれないほどたくさんあります。例えば一つに、仙台1年目のため、この地での冬の寒さが計り知れないこと。過去の気温データやこの10月までの経験をもとにすれば、私にはとても耐えきれないほど寒いことは一目瞭然ではあるのですが、京都の蒸し殺されるかのような暑さを仙台の人にはとても説明しがたいように、仙台の寒さにも、実際に体感しなければわからない独特の「味」があるのではないかと思います。その寒さが野菜にどう影響するのかは分かりませんが、私には耐えられない寒さでも、カブたちは生きのびて行けることを信じるばかりです。

 そしてもう一つ、大きな心配事は、この授業の柱でもある「継続できるかどうか」です。この文章を書いているのも、こんな時間(早朝5時)になっていますし、7時になればまた大学へ向かいます。明日は報道部として美術館に取材に行かせてもらうことになっており、それ以降は〆切までに記事の執筆、校正作業、そのあわただしさも終わらないまま来週には学祭が開催されます。後期の授業もすべて面白くてたまらないので、授業に出て課題をにらみながら、仏検とTOEFLに向けて勉強する日々。慣れない土地で、慣れない生活を送る中で、どうやって慣れない野菜作り、そして記事の投稿をこなしていくか。この授業が、自分の中での一つの「試練」となっていくような気がしています。乗り越えたら、一段階レベルアップできるかも......⁉ そんな希望と覚悟を抱いて頑張っていきたいと思っておりますので、半年間ぜひよろしくお願いいたします。

 今回は私の「ご所感」ばかりになってしまいましたが、次週からはカブちゃんたちの成長を中心に、きちんと記していきたいと思います。

コメント

恵利さんこんにちは

 ようこそ仙台にいらっしゃいました。この大学はもちろん全国のあちこちから学生が来ますが、案外と関西人は少ないものです。その中でも京都人は希少ですね。是非京言葉を広めて下さい。意識していないかもしれませんが、大阪言葉とはまるで違います。京では「きいひん」(来ない)ですが大阪では「きてへん」、神戸では「こーへん」だったりします。

 そして報道部......図書館でバイト......かなりアクティブですね! まあ忙し過ぎない範囲で楽しんで下さい。個人的には学生時代というものはダラダラするだけで意味があると思うのですが、様々なことにチャレンジするのもまた良いことなのでしょう。そして、せっかくですから東北各地を観光してみるのもいいですね。関西とはまた違う景色、文化を感じ取れると思います。というのも私は逆にこっちから大阪大へ行った人間ですが、残念なことにほとんど関西の観光をせず学生時代を終えてしまいました。京都にも二回くらいしか行ってません。今から思えば、貴船神社とか渡月橋とか行ってみればよかったのに......もう行けないだろうなあ......

 あ、注意事項がありますが、この記事に載せる写真はフリー素材かそうでなければ自分で撮ったものに限定して下さい。著作権がありますから。そして自分で撮った写真はメタ属性(撮影位置など)を消去した方がいいですね。

 さて、遠方から来た学生さんに言わなければならないのは、「仙台は冬が長い」ということです。天気は決して悪くありません。風が強いとか乾燥してるとか言われますが、めちゃくちゃひどいことはありません。第一、一番寒い時でも外に出られないということはなく、普通に活動できますから助かります。ただし、早めに寒くなり、それがずーっと四月まで続いていきます。そしてこのことは植物栽培において重要です。今、この時期のスタートダッシュに遅れれば取り返しがつきませんので、確実に進めていきましょう。

 それと正月の帰省時の対応も大事ですので、年末に差し掛かる際には植物をどう維持するか考えましょう。まだ先ではありますが......

 ついでですが、食虫植物の話は面白いですね。ハエトリグサは触り過ぎて枯らす人が多いのですが、よく育てました。普通の葉が多いのは虫から栄養を取る必要がないほど順調ということでしょうか。

 ようやく記事内容に移ります。

 種子の観察は素晴らしいですね。定規を当てるのも、ただ単に大きさを分かりやすくするという意味ではなく、科学で重要な「客観表示」に関わることです。

 種子の「丸さ」について、考えが及んでいます。ならば、なぜ「丸い」のでしょうか? 想像ですが丸い種子は転がるので範囲を広げられるのではないでしょうか。そして尖った種子は地面、あるいは動物にくっつきやすいのではないでしょうか。つまり形態の持つ「意義」ですね。進化の果てに獲得した形には意味があるのかもしれません。

 種皮と発芽センサーの話ですが、これは宗形さんの記事にも似たようなことが書かれていました。まだ完全に判明したことではないのかと思います。

 さて栽培開始、画像は二枚目か三枚目かのように、なるべく「垂直」か「水平」方向で撮影をお願いします。

 ペトリ皿に入れた水の量はだいたい適切でしょう。種子が水没すれば「酸素」を得られなくなってしまいます。

 ネット情報を調べるのも素晴らしいですね。ただし今回のように、自分の場合に適合するかは別の話です。そして注意したいのですが、ネット情報は「列挙」が多く、何が重要なのか、どういう優先順位なのかが分かり難いのです。例えば「咳がでる」で検索すれば「風邪」から「肺癌」まで出てきますので、あまり役に立ちません。

 個数について、結論から言えば少な過ぎになります。植物栽培は通常生育途中で「間引き」を繰り返すものなので、最初に個数が少ないとそれができず、優良個体かどうか賭けになります。それに、植物はある程度の大きさになるまで仲間が近くにいた方が育ちがいいものです。もう一つ言えば、今回の植物はコカブもパセリも葉を利用できるので、途中の間引き株を楽しむことができます。

 ただしもう鉢に植え替えているので、それはそれで育てましょう。そして今すぐ種子を5個ほど播いて追加すればいいですね。

 嫌光性、好光性種子の区別をよく調べました。その通りです。では、それぞれはどういう意義があるのでしょうか? 想像すれば、光が無い=地面に充分深く入っているということではないでしょうか。有利な気がしますね。では好光性は? これは、光がある=他の植物に覆われたり邪魔されていない、という状態を見極めた意味にもとれますね。つまり、植物は自分の育つ環境に応じて進化し、正反対とも思われるスイッチを獲得し、有利にことを運んだ、のです。

 さて、発根した種子は鉢に移したのですね。例年、油断して移動が遅過ぎる学生が多いので、とてもいい判断でした。イタリアンパセリはまだでしょうか。

 これも意味を考えると「早く発芽する」のは、水のある環境をいち早く察知してスタートを切ることにつながりますし、「遅い」のは、わずかな雨で誤解して発芽し、後の乾燥で枯れるのを防ぐ、という意義を持つのかもしれません。

 次記事では鉢に移した様子を提示して下さい。充分子葉が出ていれば定規も添えて下さい。何より、その鉢の置かれた条件(日照が直射日光なのか、一日何時間なのか、温度はどうなのか、等々)を教えて下さい。それと播種から何日目なのかも真っ先に提示すべき情報です。

 例年、水のやり過ぎや日照不足で徒長することが多いものです。ある程度はリカバーできるのですが、酷いと取り返しがつきませんので......

 記事の長さは、今のうちは短くて構いません。このゼミが負担になるのは本意ではありませんので。疑問点・問題点をタイムリー示して下さい。完全な形で収穫まで持って行くのはとても難しいのですが、こちらもなるべく学生さんには収穫してもらいたいと願っています。

 このゼミのためにアンドロイドに乗り換えまでしなくていいと思うのですが(写真は見えています)...... むしろ途中でバックアップする癖を身に付けた方がいいですね。理由は言わずもがなです。

 とにかく、気楽に、記事を上げていけば慣れてきます。そしてこれは大いに言いたいのですがゼミは無駄になりません。今の世の中、「ネットにないものは存在しないのと同じ」、といっても過言ではありません。情報をアップするスキルは会社員生活でも起業でも絶対に役に立ちます。

 さあ仏検などのツッコミどころは次記事に回します。

 

DSC_1554.JPG リア充でなければどうなるんだ......

 ではまた

ラボスタッフ・オガタ