東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第4回 収穫と別れ(理:山本実永)

2022年11月 3日 (木)

第4回(10月29日~11月3日)

こんにちは。吾輩は山本である。上の写真は、寒さ対策として私が考えていることである。植物にビニール袋をかぶせることで保温できるのではないかと考えるが、どうだろうか。それはさておき、今回のあらすじは大きく分けて以下の3つである。一つ目はマッペとは涙の別れをしたということ。二つ目は浅漬けの収穫をしたこと。三つめは朝霧は順調に生長しているということである。さて、先日、ラボスタッフさんから他の受講者の投稿とコメントも読んでみるといいという指摘があり、身につまされる思いであった。これから他の人の観察日誌とコメントにも目を通して、自分の栽培に活かしていきたいと思った。

前回のコメントに対する返答
まず、浅漬けに関して、鉢はコンクリートに直置きしている。鉢受けが必要であるようなので、これから準備しようと思う。プラスチック容器で代用が可能であるということであったので、近々魚でも買って、その包装容器を使うことにする。次に、液体肥料のN・P・K濃度についてだが、「0.1・0.2・0.1」と包装に書いてある。1回の使用量は5ml以下である。


経過観察日誌

マッペ

3回目の収穫以降生長が見られなくなっていた。種を水につけてから20日目の10月30日、根が茶色に変色し葉が黒ずんでいることに気づいた。さらに悪いことには、水に浸かっているところにカビが生えていることを確認した。

IMG_20221030_100457.jpgその翌31日には数株残っていたものがしおれ始め、

IMG_20221031_101505.jpg更にその次の日の11月1日には根元にカビが広がっていることに気が付いた。

IMG_20221101_223213.jpgIMG_20221101_223306.jpgこれ以上悪化する前に食べられるものを食べてしまおうということで、翌11月2日の内に食べられそうなものを取った。下の写真はマッペの最期の姿である。

IMG_20221102_212516.jpgその次の日、すっかり茶色に変色した様子を見て、食べることを断念し、悲しいが廃棄処分とした。さようならマッペ。キミは私の血となり肉となり私をこれからも支えてくれることだろう。


朝霧

既に芽が出た株はすごく生長した。一方で、種の朝霧は播いてから11日が経過した11月3日時点でまだ芽が出ていない。水を切らさないようにしているが、もしや寒いから発芽適温に達していないという可能性がある。下の写真は、いずれも11月3日時点での朝霧の様子である。

IMG_20221103_205429.jpgIMG_20221103_205413.jpg今回の観察は既に発芽しているものがメインとなる。さて、朝霧の背丈を毎日測定しているが、毎日上がったり下がったりしている。これは、植物は形が変わり、測定した時の形によって背丈が変わるということであろう。今週は本葉が大きく生長した。播種から21日目となる10月31日に、第3第4の本葉が出てきたことに気づいた。横からの写真では、2枚の本葉と双葉の間に小さい葉が見えている。

IMG_20221031_102013.jpgIMG_20221031_102046.jpgこれらは順調に生長している。その翌日11月1日には、それらの本葉がはっきりと見えるようになった。

IMG_20221101_224233.jpgIMG_20221101_224310.jpgそして翌11月2日には、面白い変化があった。その日の朝までは本葉が斜めだったが、夜に見たときには本葉が空を向くように株が寝てきたという変化が観察された。この過程で双葉は土についてしまったようだ。日光を求めて生長する植物の自然の摂理なのか、それともこの株に限って偶然起こった現象なのか。比較する対象があればよかったが、他に朝霧の株がないため比較できないことが残念である。下に示す写真が2日朝の時点の様子である。

IMG_20221102_064558.jpgIMG_20221102_064658.jpgそして、これが2日夜には下の写真のようになっていた。

IMG_20221102_213224.jpgIMG_20221102_213251.jpgそして播種から24日目の11月3日には、最初に出てきた本葉たちの硬さが変化していることに気づいた。前日まではコピー用紙のようなしなやかさだったが、3日には画用紙のような硬さになっていた。比喩ではあるが、手触りはコピー用紙と画用紙のような感じであった。

IMG_20221103_205429.jpgIMG_20221103_205413.jpg

これからも本葉が生長する様子を見守りたいと思う。


浅漬けミックス

播種から19日が経過した10月29日時点で、かなり茂っており収穫しないといけなければと思っていた。

IMG_20221029_100144.jpgしかし、実際に収穫したのはそれから4日後の11月2日夜ということになってしまった。下の写真は収穫直前の様子と収穫した浅漬けミックスたちである。収穫から一晩、常温で保存してしまったため、しおれてしまった。

IMG_20221102_213407.jpgIMG_20221103_090335.jpgもっと生長するのではないかという期待を抱いて観察していて気づいたことは、生長はある程度で止まってしまうということだ。植物が栄養を吸収する根が限られた空間にしか張れていないため、生長も限られるということだろうか。かなりわさわさと茂ったまま放置したため、遅れて芽を出した株たちが日光を浴びられず徒長していないか少し心配である。収穫後確認したところ、遅れて芽を出したもしくは生長が比較的ゆっくりの株たちが徒長していないことを確認した。私の杞憂で終わってよかった。下の写真は収穫後の浅漬けミックスの写真である。

IMG_20221103_205625.jpgIMG_20221103_205531.jpg今週の最大の出来事は、第1回の浅漬けの収穫である。まだこの記録を付けた時点では食べていないが、明日にでも食べようと思う。次の報告で必ず書く。そしてその収穫の後、液体肥料を5mlほどやった。前回やった日から11日が経過しており、説明書に書いてある通りにやった。だが、元肥を入れている場合はいらないのか、それとも元肥をやったことを前提として液体肥料をやるように勧めているのか。種が入っていた袋を見るとはっきりとは書いていないが、元肥をやるという内容の説明がない。つまり、元肥をやっているなら、液体肥料はいらないということかもしれない。既に2回もやってしまった...これからは控えるようにしよう。

以上が第4回の報告である。

コメント

理学部 山本さん

育種の渡辺です。細かなコメントは週明けにラボスタッフのオガタさんからあると思いますので、そちらをお待ち下さい。渡辺から気がついたことを記しておきます。

まずは他の受講生をリードするような定期的な投稿は評価できます。また、ラボスタッフからのコメントに真摯に対応しているのもよいことです。寒さに備えた対応は、是非、先輩方の記事を参考にして下さい。かなりの力作がたくさんあると思います。

マッペの顛末が書かれていましたが、比較する上で使えるのは、市販の豆苗、カイワレダイコンなどで唱歌。収穫した後、豆苗はうまくやれば、葉っぱの脇から腋芽が出てきて、数回の収穫が可能です。実際に先輩たちもやっています。カイワレダイコンは1回のみです。これは腋芽がないからです。植物の形などを含めて書籍を記したので、参考にしてみて下さい(URLとlink)。

週明けにラボスタッフが書くコメントを踏まえて、全体へのコメントをしたいと思います。寒さ対応をしつつ、観察と分かりやすい記事に努めて下さい。


わたなべしるす



山本さんこんにちは

 こちらのコメントに対して、きちんと対応してくれていること、ポイント高いですね! 安心できます。これからも対応よろしくお願いします。

 鉢受けは水をいったん受けられるものなら何でもいいです。スーパーの夕方遅くの安売り魚のトレーでもいいですよ。ただし大きさは鉢を置いて充分安定するくらいのものにして下さい。

 それと、液体肥料の組成について、鉢花用のものでしょうか。もちろんそれを使われて構いません。元肥がまだ残っていても、成長促進の足しになるかと思います。寒くなると先ず根の機能が衰えますから...... 液体肥料は当たり前ですが水溶性ですから、基本的に未利用分は鉢から出ていきます。ちなみにその液体肥料が鉢花用と思ったのはリン分が窒素やカリウムより多いからです。むろんリン分は植物体全体に必要(核酸の成分ですし)なのですが、特に花や実といった次世代に関与する場合に多量に必要です。例えば観葉植物用液体肥料ならまた違った組成になっているかと思います。

 さて、記事の初めはブラックマッペの臨終です。まあ20日も過ぎてしまえば腐敗することもあるでしょう。市販のモヤシでも封を開けるとわずか2、3日しか保たないと思います。その理由として種子は発芽する時に周囲へ糖分などの栄養を結構ばらまいています。これでは腐敗しますね。実はそのばらまく理由は分かっていません。何がしかの生存戦略的意義があるだろうとは思うのですが......

 ブラックマッペの種子はこれで使い切ったのでしょうか。もしも余っていればまたトライするのもいいかもしれません。

 次はホウレンソウについてです。おっしゃる通り、温度不足で発芽が極端に遅くなっているかと思います。ホウレンソウは耐寒力の強い植物なんですが発芽の適温は割合高いところにあります。まあ、これは気長に見ましょう。これから追加で播くには......なかなか厳しいですね。

 一本のホウレンソウでも観察すると色々なことに気付くものです。本葉や子葉の「立ち角度」について面白い観察をしました。子葉は役目を終えかけると下に下がるものですが、この時期はまだ早いですね。温度が低下したので、地面に近い所に寄せてきたのかもしれません。これはホウレンソウなどの冬越し植物における「ロゼッタ化」の一環でしょうか。

 本葉の硬さの比喩も面白いですね。いや、とても分かりやすかったです。さて、順当に葉の枚数が増えていますが、このまま増やすには...... 冒頭の防寒袋は楽しい工夫です。植物は動物と違って自ら熱を保つことはできません。ですので夜には外気温と同じところまで温度は下がります。しかし、昼間は日照で袋の中が温まり、肝心の光合成反応を充分にさせることができます。ただ、余りにも昼の温度と夜の温度が違い過ぎてもいけませんので、袋は完全密封ではなく、かすかな換気口を確保して下さい。それはまた極端な高湿度も防ぎます。高湿度は葉の蒸散を妨げ、水と共に移動する養分の供給を止めてしまいます。

 あ、重要なことを忘れていました。仙台の強風で袋を飛ばされないように、また鉢ごと倒されないようにできているでしょうか。

 浅漬けミックスは収穫できました! 素晴らしいです。

 後で出てきた株も徒長しておらず、良かったですね。日照条件が良かったのでしょう。さて、「ある程度成長して止まった」ことについて根の張る限界に思い及んでいるのも素晴らしいです。植物はそういう性質があります。盆栽なんかも「根の伸びるのを制限」することで幹や葉の成長を抑えています。ただし......どういうメカニズムで制御がなされているかは未だ分かっていません。

 まあ、この浅漬けミックスの場合は温度が下がったから、あるいはそういう生育フェイズだったからという可能性もありますね。とにかく次年度以降の受講生にとって参考になるものでした。

 その他の注意事項は、他受講生の記事やコメントを見てみて下さい。

 次回報告は食レポですね。これもまた楽しみにお待ちします。

DSC_0010.JPG これは冬に生命科学研究科の玄関口にあった雪ダルマ(?)です。なんて高度なものを作るんだ......

ラボスタッフ・オガタ