東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

11.寒さと乾燥(農:鹿股とほこ)

2022年12月16日 (金)

 渡辺先生、オガタさんコメントありがとうございます。

 昨日は上のような本を読みました。なんだか全然ジャンルが異なるため自分でも何の本が好きなのかわからなくなっていますが、今はいろいろと読んでみて視野を広げられたらと思います。(いつも思っているのですが、縦型の写真はどうしたら縦型になるんですか。。。)

 最近は気温も低くなり、氷点下となる日もありました。さらに雪まで降ってきました。自転車通学にはつらいことです。植物にとっても難しい時期になります。また、オガタさんが書いてくださった通り宮城は乾燥します。そして渡辺先生のブログに書かれていましたが、実家規制という恐ろしいイベントもあります。私がいない間にどうなってしまうのでしょうか。

目次

1.観察した時の状況

2.キャベツ

3.ミックス

4.スプラウト

5.編集後記

1.観察した時の状況

12月16日(金)20時

室内 温度16℃、湿度24%

室外 温度0.6℃、湿度64%

個人的に自分の部屋の乾燥具合に驚きました。そして、外の気温はほとんど0℃です。これからどうしていくか植物の様子を見ながら考えていきたいと思います。

2.キャベツ

12月16日(65日目)

今現在のキャベツの姿です。

IMG-7224.JPG

下の写真がちょうど一週間前に土寄せをしたのちに最後に撮った写真なので、かなり派の面積が大きくなっていることがわかります。

            IMG-7187.JPG

子葉を取ってしまったので、本葉ばかりですが、何か面白い発見があるのではないかと思い観察してみました。すると、新しい葉は茎に対して直角についていること(下の写真)、

IMG-7225.JPG

若い本葉の方がギザギザ度合いが高いこと(下の写真)を発見しました。

IMG-7226.JPG

直角になるのは、元々茎であった部分が葉になると考えれば自然なことのようにも思えます。一方、若い葉の方がギザギザしているということに関しては、小さいからギザギザが目立つだけかもしれませんし、外敵からより身を守るべき、かつ、外敵から好まれやすいからかもしれません。そもそもどのような仕組みで本葉はギザギザになっているのでしょうか。こちらのサイト(閲覧:2022/12/16)を見てみると、面白いことが書いてありました。ギザギザが作られるにはEPFL(正式名称:EPIDERMAL PATTERNING FACTOR-LIKE)2という物質とオーキシンという植物ホルモンが関係しあっており、EPFL2が無いとギザギザは作られないそうです。
 また、恒例の身体測定です。いつもと同じで下のように上から時計回りでABCDEとしました。

IMG-7224 (1).jpg

A 93mm(103mm)

B 115mm(111mm)

C 97mm(91mm)

D 95mm(96mm)

E 116mm(116mm)

<注:()内の数字は7日前の値>

身長に関しては伸び悩んでいるようにも見受けられます。一番上の写真から横には伸びているようなのでこれから経過を見守りたいと思います。

3.ミックス

12月16日(32日目)

なんだか先週とあまり変わり映えしません。

IMG-7227.JPG

ミックスの面白いところは4種類もか言っているところなので、今日は前回よりもその差がわかりやすいかと思ってみてみたのですが、前回同様何が違うのかわかりません。しいて言うなら、、、というポイントが2つあったので紹介します。まず一点目は葉の周りが紫色の植物が出てきたことです。下の写真の一番下の植物なのですが、ふちが紫色に見えます。これは他の植物では見られなかった特徴です。

IMG-7228.JPG

二点目は、本葉の形です。下のほにょうは丸っぽい形をしています。IMG-7229.JPG

比較して下の写真は細長く見えます。もしかしたら成長段階が異なるために違うだけかもしれません。早くその違いがはっきりと分かるようになるのが楽しみです。

IMG-7230.JPG

横から見るとこのように見えます。

IMG-7231.JPG

IMG-7232.JPG

背丈は全然ありません。先週とあまり変わらないようにも見えます。

IMG-7233.JPG

4.スプラウト

12月16日(32日目)

すみません。こんなことになってしまいました。

IMG-7234.JPG

ひょろひょろです。理由は水のあげすぎを恐れて水をあげなかったことです。そして最近急に乾燥が進んでいることに気付かず放置したことです。まず水をあげて様子を見ることにします。

5.編集後記

 今までこのブログでサイトを使うことはほとんどなかったのですが、調べてみてとても楽しかったですし、新たな知見も得られたのでこれからも調べてみたいと思います。

 お正月は一応帰ります。もちろん植物は置いていきますが、できるだけ様子は見てあげられそうな日程にしているのでおそらくいつも通り、もしかしたらそれ以上に見れると思います。

コメント

農学部・鹿股さん

育種の渡辺です。本のことを気にしているようですが、いろんな本を読んでみるのはよいことかと思います。年末年始の期間、植物にどのように向き合うのか、これまでの受講生も悩んでいます。先人の記録を見て、天気予報を気にしながら、どうするか決めて下さい。

細かな観察するのはよいことです。葉っぱのキザギザが増えてきたことに気がついたのはよいことです。では、どのように増えているのか、それを数値化できないか。特定の葉っぱでギザギザの増加を見るのでもよいでしょう。あるいは別の葉っぱである大きさの時点でのギザギザの数を数える。他にもやり方はたくさんあると思います。鹿股さんの感性でなくて、数値として見える化することが大事です。また、葉っぱが90oで出てきているということはどこのどの様な形態を示しているのか、マーカーするとよいのではないでしょうか。ミックスの生長を前の週と比較するので生長が見えないのではないでしょうか。どれくらい前の写真にもどると生長がわかるのか、そんなことを考えてみてはいかがでしょうか。それ以外については、ラボスタッフ・オガタさんが月曜日にコメント予定です。それまでお待ち下さい。


わたなべしるす






鹿股さんこんにちは

 何の本でも、どんな分野でも、本当に無駄ということはないのでしょうね。もしも一生使わない知識しかなかったとしても最低限脳の活性化には役に立ったというのは事実ですし。

 筋トレだって重要で、年齢が上がった時の「フレイル」対策としても、あるいは鬱の予防としても使えます。

 写真の縦横変換は私にも分かりません。無理やりやるとすれば、ウィンドウズアクセサリのペイントで読み込み、90度回転させるとか? しかしめんどくさそうです。

 その次の話にあります「年越し」について、これは毎年のハードルです。詳しくは過去記事にあるでしょう。大まかに言って、

・実家に持ち帰る

・友人に世話を頼む

・1週間以内なら「鉢受けを使って腰水をする」しかし量の加減を厳守

・1週間を超えるなら市販のペットボトル給水セットなどの水やり器具を使う

 いずれにせよ、安全を考えるなら年越しの10日前から追肥を断ち、乾燥に備えるのがいいでしょう。

 さてここから記事本文内容に移ります。

 部屋の乾燥は予想通りです。というか、これは中学科学で習った通り、空気中の水分量が変わらないのに温度が上がればこうなります。湿度は飽和水蒸気量の相対湿度で表されますから。

 ちなみにですが、エアコンでなくファンヒーターを使えば湿度はそこそこ保たれますが、二酸化炭素濃度が危険なほど上がります。少なくとも800PPM程度になると脳の効率が低下し、勉強しにくくなります。こんな濃度くらい実に簡単に上がります。なんとなればファンヒーターがなくとも人間の呼吸だけで部屋の二酸化炭素濃度はそうなります。計器で測ると恐ろしいくらいですよ。

 もう一つ余談を言えば、水が100℃で沸騰、この言い方は微妙ですね。科学的に正しくは水の蒸気圧が100℃で一気圧に達するのです。どっちでも同じではないか...... いえいえ、例えば圧力釜で1.7気圧などと謳われているとあたかも圧力が重要のように感じさせられます。実際は圧力なんかどうでもよく、温度が100℃からわずかでも上がることが調理上重要なのです。2気圧ならば121℃、3気圧ならば132℃に達することができます。(ちなみに医療用滅菌機は132℃5分くらいに設定しますね。これで料理を作れば凄いのができるはずなのに......)

 話を戻して、キャベツの葉の付いているのが90度とは? 水平的にということでしょうか...... そしてギザについてはよく観察して頂いた通りです。たいがいは葉の若い時によりギザが目立ちますね。

 ギザを作るメカニズムについて、EPFLのコントロールによる、その通りですね。こういった研究は近年大いに進んでいます。何といっても、遺伝子の発現を理解したり特定遺伝子をターゲットとして壊したり組み換えたり、そういった研究手法の発展の賜物です。

 ただし、なぜギザが必要なのか、生存戦略上どういった意味があるのかは未だ不明です。また、その一連の関与遺伝子がどこの時点で生じ、どういった地域伝搬をしていったのかも不明です。このような研究は地味な調査が必要であり、なかなか進まないものです。

 いつもの成長観察ですが、数字化しているのが素晴らしいですね。

 これを最終的にグラフ化すれば面白いと思いますし、それもリニアか、あるいは対数表示にすればマニアックになります。本当なら葉の面積も絡めれば凄いのでしょうが、それは家で計測できない類いなのが残念です。

 そしてこの混み具合ならばもう一段の間引きの時期かもしれません。CやDは押しやられているように見えます。

 ミックスベビーリーフは確かに変化が大きくないですね。低温だから仕方ないのでしょうが、逆に低温だから徒長が防がれているとも言えます。地味に世話を続けましょう。

 スプラウトは...... よく分からない状況になっています。これは胚軸が乾燥しきったのでしょうか。いわゆる不可逆的原形質分離というような恰好で。あまり展開ゼミでは見られないパターンです。

 1日経って回復してこないならば素直に諦めるべきでしょう。

 一つ気になったのですが、今年の受講生はスプラウトに使う下敷きの厚さをどう決めているのでしょうか。市販のカイワレなどを見ると大体のイメージが掴めるはずで、そんなに薄いものではないと思います。

 さて全然関係ないですが先日世界人口が80億人になりました。70億人からたったの11年です。そこだけ見ると、まさに人口爆発ですね。

 ただし人口予測では125億人に達すればあとは微増にしかならない...... いいえ、最近の予測では110億人をピークとして下降に転じるそうです。最も厳しい予測では100億人にも到達しないものもあります。世界最大人口になるであろうインドでさえ、今は人口増への対処に苦労していますが、何とあと10年で合計特殊出生率2.1を割り込んで、少子化社会の到来を迎えます。というか今現在特殊出生率が2.1以上なのはアジアではフィリピンなどごくわずか、主にはアフリカ・中近東しかありません。

 とはいえ、人口的に頭打ちになっても食糧危機が無くなるわけではありません。正直、肉食をやめれば直ぐにでも100億人を養えるわけですが、逆に言えば肉食化が進めば恐ろしいことになります。代用肉や昆虫食の研究の意義はそこにあります。

 更に、農地の減少、砂漠化...... そして最も恐ろしいのは肥料となるリン鉱石の枯渇です。要するに言いたいのは農業研究の重要さです。農業生産の向上に向け、品種改良、栽培改革、農地開拓、その他生産物保存、病害虫など様々な面で研究が必要です。鹿股さんもせっかく農学部なので、自分の好みの分野で楽しく研究し、大きなことをいえば世界貢献できればいいですね!

 ではまた、記事お待ちします。

DSC_0004.JPGラボスタッフ・オガタ