東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

16.これまでありがとうございました(農:鹿股とほこ)

2023年2月 2日 (木)

 いよいよ最終回となりました。と言いましても、あと1時間で奇術部の会議が始まり、私はその間にいろいろと準備もしなくてはならないので、最後なのに一番急いで書かなくてはいけなそうです。頑張って効率よく読みやすい文章を書けるよう心がけます。この力もこの講義で身についたと信じています。では、頑張ります。

目次

1.キャベツ

2.ミックス

3.スプラウト

4.数値的なものたち

5.編集後記

1.キャベツ

 この前撮った写真が次の写真です。

1月24日(104日目)

             IMG-7727.JPG

             IMG-7728.JPG

2月2日(113日目)

こちらが現在の写真です。なんだかもさもさしていませんか!

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そして、やっと間引きを行いました。5個体から2個体にしました。大きい個体を残しました。その後の写真が下の図です。

IMG-7796.JPG

正直、あまり上の写真と変わらないようにも見えますね。この2つの個体がこの鉢の中でどれだけ大きな影響を与えていたのかということがうかがえます。

 これからも継続的に育てていこうと思います。

2.ミックス

 まず、先週撮った写真です。

1月24日(71日目)

             IMG-7729.JPG

 この後、前回の宣言通り部屋の中に入れて育ててみました。これは昨年度の先輩のブログで部屋の中に入れてみると徒長が促進されていいのではないか、ということが載っていたのを真似しました。すると、、、

2月2日(80日目)

             IMG-7795.JPG

こんなに大きくなってくれました!!こんなに一気に成長するとは驚きでした。第10回以降あまり成長が大きくなかった私の植物たちでしたが、最後の最後にかっこいいところを見せてくれました。特に右上の個体なんて見違えるほど大きくなりました。

 これからも室内で育ててみます!

3.スプラウト

 先日、スプラウトを収穫し、食べました!のコーナーです。

 やっと食べることができました。その時の写真が下の写真です。

             IMG-7622.JPG

何とも言えずひょろひょろですね。アブラナ科のキャベツとアブラナ科の植物に害虫を寄せ付けないとうわさのニンジンのサラダにしました。スプラウトは2回も失敗しているので、もう一回チャレンジしたいです。

4.数値的なものたち

 こちらは葉っぱの大きさを長さ以外で測ってみた!のコーナーです。

 最初はキャベツの葉について測ってみようと思ったのですが、形が似ていて面白くないので、ミックスの葉を測ってみたいと思います。

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この4つの葉について、長さではなく葉の面積を前回の渡辺先生のコメントに書かれていた方法で測ってみたいと思います。

円周率は3.14とし、長さ×幅×円周率で考えてみました。

1.少し縦長の葉この鉢では平均的な大きさに見えたため選択

3.2×1.6×3.14=16.0768

2.この鉢の中で最も大きく見えたため選択

5.5×3.0×3.14=51.81

3.最も大きい葉と同じ種類の葉に見えたため、2との比較のため選択

2.7×1.5×3.14=12.717

4.この鉢の中で最も細長い葉に見えたため選択

6.3×0.7×3.14=13.8474

長さの単位はすべて㎝で、面積の単位は㎠です。

面白いのは2と3ですね。大体葉の比が一緒で、2が3の長さは2倍、面積は4(2×2)倍となっています。また、3と4が形が全然違うのに同じくらいの面積なのことにも驚きました。こういった場合、3と4には同量くらいの栄養が回っているのでしょうか。葉によって同じくらいの大きさになるのに必要な栄養量は違うのでしょうか。

5.編集後記

 これで本当にラストの締めですね。高校生の時から読んでいたこの講義に参加することを夢見ていましたが、実際にやってみて想像以上にいうまくいかないこともあり、大学生になってからの自分の時間の使い方にも悩まされました。こんなにも時間に規則性がなくて、自分で空いた時間を活用しなくてはいけないことにも驚きました。

 ですが、ブログを書くのはとても新鮮で、これまでしたことのない経験だったので、とても楽しかったです。また、先生のコメントもとても楽しみにしていました。さらに、自分の部屋で植物を育ててみたいという希望があるにもかかわらず踏み出せなかった私にチャンスをくださったこの講義にとても感謝しています。お部屋に緑があふれたのは、最初の方と、ブログを書くために中に戻すときだけでしたが、成長を毎日楽しみにしてワクワクしていた(もちろん今もこれかも楽しみでワクワクしています)時間がとても嬉しかったです。時には、パソコンやスマートフォンではなく、自然に目を向ける時間があると、幸せな気持ちになるのは本当なのだなと思いました。

 これからも植物を大事に育ててみたいです。まずは今育てているキャベツとミックスを継続して育ててみます。

 半年間の講義、とても楽しかったです。渡辺先生、オガタさんを始め、この講義を支えてくださった方々、この講義でオンライン上で知り合ったたくさんの方々に感謝申し上げます。オンラインでしか見れなかった方もいつか対面で合えることを期待しながら、これからも私なりに植物と向き合っていこうと思います。

コメント

農学部 鹿股さん

育種の渡辺です。1hrで文章を書いて、写真を加工して、面積を計算して、体裁を整えたのでしょうか。であれば、この講義を開講したものとしては「よかった」と思っております。渡辺も時間に追われる生活ですので、偉そうなことはいえないですが、もう少し時間に余裕を持って「課題」などに対応して下さい。キャベツ、大きくなった気がしますね。同じ葉っぱで実測があれば、より明確でしたね。また、間引きをしたのですね。間引きの効果に加えて、気温が上がってくるので、これまでより生長が見込めるかと。たまには、葉っぱの面積の積算値を計算してみるとか。ところで、間引いた個体は?どこかに移植?食した?継続して観察するようですので、忘れた頃に記事にしてみて下さい。

DSCN3453.JPGこれまでのほとんどの受講生が初めて「野菜」の栽培をしたのだと思います。栽培という経験値ももちろんですが、身の回りに緑色の植物があり、それを観察することの大事さをあわせて理解できたのは何よりです。これからも継続的な観察、文章作成を研鑽して下さい。この講義で一緒に学んだ受講生とコラボすることがあるとよいですね。隙間時間をどれだけ有効に活用するか。いろんなことをしようとすると、移動の時間、講義と講義の合間など、隙間を効率的に使うことを是非、これから覚えて下さい。

DSCN0287.JPG
わたなべしるす

PS. 昨日の理学部・山本さんの記事へのコメントの最後に、次回以降に投稿する受講生の記事に、片平の野菜の情報を掲載するとしたのですが、諸事情で収穫が追いついていません。週明けには掲載するようにします。少しお待ち下さい。

PS.のPS. この記事を書いているのは、2/8(水)の夕方。芭蕉菜をサンプリングというか、収穫したのは、前日の夕方。その前に収穫したコマツナに比べると「シャキシャキ」感が少し少ないような。。。葉の色も濃くないのと、大きく展開した葉が褐変気味。耐病性が少し弱いのと、ここ2週間ほどの寒さもあり、朝のマイナスの気温で何度萎凋したことか。。よく頑張りました。

DSCN4265.JPGDSCN4266.JPG植木ばちをそっと持ち上げると下には白い根が展開。地面をそっと掘り返す時間があれ場よかったと思うくらい。また、芭蕉菜を収穫後、栽培した植木鉢の中の土をひっくり返すと、コマツナに負けないくらい根はりをしていました。間引きをしてない分、個体の生長にかなりの差がありますが。苦みなどは少ないのではと食するのを期待ということで。。。残りは「カブ」の収穫で終了。近日中に。なお、ムラサキキャベツとブロッコリーは間引きをして、8号鉢に移植予定。

DSCN4268.JPGのサムネイル画像DSCN4269.JPG





鹿股さんこんにちは

 一時間でここまでの内容を書いたのなら、凄いスキルです! 急いで書いたような節が見受けられない、感じさせられないのが素晴らしいですね。

 さて、記事フォーマットはいつもの安心して見ていられる形です。内容、キャベツは間引き後の写真ですが、残されている2株が元気な様子が分かります。だいたい4月になると花芽を作ってスルスル上に伸ばしてきますが、その前に結球行動を起こせればいいですね。私にもどういう形になって終わるのか予測つきません。株の大きさと、温度、季節(日長)によって様態はかなり変わってきますから。

 ミックスベビーリーフについて、ここ最近の目覚ましい成長は見かけのものです。つまり、強光下で光合成を続け、ある程度の光合成産物(糖など)が貯まっているところで、温度を上げたので急激に成長できたというわけです。いうなれば今まで細胞の分裂・伸長をしてこなかった分を取り返したということです。株は元気そうに見えますので、まだ成長を続けると見込めます。ベビーリーフとして収穫に持ち込めれば成功です! ただし、室内の弱光でいつまでも元気よく成長できるわけではありません。いわば食べ物を与えずに強心剤を使ってるような状態ですから。本当に室内環境が成育にとっていいのなら、最初から室内のみで生育させればいいということになってしまいます。あくまで植物にとって光合成こそが、動物にとって食べ物、自動車にとって燃料のようなものです。

 ただし、非常に有用な知見が得られました。早くから低温にさらされたため成長できなかった株を途中から高温環境に変えて、「ブースト」する実験をしたということになります。そして面白い結果を得られたわけです。これは次年度の受講生の参考になるでしょう。

 スプラウトの実食、というか写真ではサラダがどーんと立派ですね! 一人前でしょうか...... 

アブラナ科の植物に害虫を寄せ付けないとうわさのニンジン

 サラダにどうつながるのか...... しかし書かれていることは農業的に有用なことです。長いこと農業では単一の植物を栽培してきました。ナス畑ならナス、レタス畑ならレタス、という具合です。もちろん土壌の連作障害がありますから、輪作することが必要な場合もありますが、基本的には単一植物栽培です。いや、むしろ害虫の中間宿主問題から(こういったことは農学部で学年が上がると習うかもしれません)単一にしてきました。

 しかし近年、「コンパニオンプランツ」という概念が普及してきました。今までも植物を複数近接して栽培した方が成育がいい場合があることは農家の知恵として伝わっていたのですが、ここで「コンパニオンプランツ」というカッコいいネーミングでもって注目されたというわけです(何でも名前を付けたら勝ちですね)。

 鹿股さんがここで例を挙げたのがキャベツとニンジンの関係で、害虫忌避の点でコンパニオンプランツたりえるということですね。このような例は他にもいくつもあります。むろん害虫を呼び込む逆パターンもあります。そして......害虫という点ではなく、土壌栄養や土壌菌類という点でコンパニオンプランツになる場合もあります。面白いですね。

 今後、遺伝子解析技術や、ライブイメージング技術が進めば、色々な植物同士の直接的な「相互関係」あるいは「コミュニケーション」まで分かってくると見込め、非常に楽しい分野になるでしょう。

 ちなみにですが...... これは決して明るい将来というわけではないのですが、リン肥料原料の枯渇問題、あるいは窒素肥料製造エネルギー問題(ハーバー・ボッシュ法は莫大なエネルギーを使います)が待ち構えています。そこで土壌細菌による窒素固定、また固着リン遊離がますます注目を集め、先ほどのコンパニオンプランツに絡めて研究が始まるところです。未来の農業は今までとちょっと考え方が変わるかもしれませんね! ちょうどCTの登場によって、医療が質的に一気に変わったように。

 次に葉の面積測定です。

 葉の形を楕円形と見て、そして近似的に面積を出したのですね。このやり方は賢く、有用な知見をもたらしてくれました。つまり「葉の形は違えど面積が似ている」といった考察ができたわけです。こういう、「見方をプラスすることで新しい情報を浮かび上がらせる」という操作は重要です。この近似式は論文にするにはどうかというものですが、それでもやってみせたのは鹿股さんが初かもしれません。

 栄養の供給と併せた考察については、正直分かりません。葉の厚み、構造、かなり違うものですから......

 さあ、編集後記ではこちらにとって嬉しいことが書いてありますね! 毎年のこの展開ゼミ、受講生の記事を楽しみに読んでいる人がけっこういます。もちろん、関わる当研究室のメンバーもそうです。受講生が栽培につまづき、考察し、工夫を加え、収穫まで持ち込むのは見ていて楽しいものです。植物ばかりでなく受講生本人もブログの知識を身に付け、スピーディーに見やすい記事を上げられるようになり、更に科学的物の見方をするようになることは嬉しいことです。

 本当に受講生にはお疲れ様と言いたいですね。

DSC_0389.JPG 大糖領って......

ラボスタッフ・オガタ