東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

勝敗、常識、序曲(12/23)

2018年12月23日 (日)

 平成最後の天皇誕生日による休日。朝のニュースを見ていて、陛下の言葉で「言葉に詰まる」というか、「声を震わせて」いたのが、印象的であった。改めて全文を拝見すると、昭和、平成を生きてこられた思いというような簡単な言葉では言い表せないものを見たように思った。そんな「平成」の大半の期間、タイトルホルダーであった羽生竜王が失冠し、27年ぶりに無冠となった。その間、七冠全制覇した時の感動も忘れられないが、こうして羽生九段という「無冠」になったのは、ある意味、信じがたい。同世代を真正面からの激闘、渾身の一手で凌駕してきたが、若い世代がAIなどを駆使してきたところで、難しさがあったのだろうか。もちろん、こうした世代間のトップが拮抗している状態からどうやって、勝ち抜くのか、そこには、大山十五世名人という先達の歴史から学ぶところはあるのだろう。また、故米長会長の言葉に、「大切なのは負けた後」という言葉も。。。と、将棋の話であるが、自分自身に翻って考えたとき、27年前、渡辺が日向研の助手になった年。渡辺が教育研究をしている間、羽生九段は、ずっと将棋界のtopにいたわけである。自分はどうであろうか。力不足で苦難の時代もあったし、少しずつかもしれないが、植物科学に貢献できた時代もあったのかも知れない。羽生九段のような七冠全制覇というような凄みはないが、植物科学の神髄を究めることの達成が重要なのであろう。

20181223133121-8dc6328e10912d9d200f87b172c80f36c7def285.jpg 将棋には「定石」という常識がある。研究でも、ここではこんなことをするという「決まり事」は存在する。ただ、意外と常識の本質というか、なるほどという「からくり」というか、そんなことを知らないことも多い。そんなポイントを突いた「テレビ」もある。なるほどと思う反面、意外なことで、「へーーー」と思うことも。もちろん、将棋の定跡もAIなどとのコラボによって、これまで検討されなかったことが検討され、伝家の宝刀では通用しないことも起きつつある。研究でも同じように「異分野融合」で、AIなどとのコラボが重要なのであろう。ただ、常識は常識として、対応しないと、とんでもないことが起きることもある。一端傾きかけたものを元に戻すことは容易ではない。子供時代、今治・桜井海岸の白砂青松を維持するために、薬剤散布があったり、ということを考えると、少しでもはやい対応を期待したい。

20181223133156-dc4682a2e4eba02d3a9173c25111b741220af21f.JPG こうした27年間とは異なるfieldであるが、25年間のスポーツを振り返った記事も見つけた。何を持って「進化」とするのか。。確かにtopクラスを維持するための研鑽は大変なものがある。また、スポーツ界であれば、目指せ、2020というか、東京オリンピックのようなものがある。翻って、渡辺そんなものがあるのか。。。あるとしたら、残り12年と言うことかもしれない。残りの12年で、師匠である日向先生の系譜を継承し、乾坤一擲の奥義を究めることが大事なのであろう。なにより、師匠を超えるのは、弟子の務めだから。。。この思いをこれからの序曲とすることが大事なのだろう。そんなことを考えた平成最後の天皇誕生日であった。

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 わたなべしする

 PS. 今日の仙台では、沿岸部の歴史のこと、トラブルのことなど。。。沿岸部に色々とあったようですが、回復を祈るばかりです。。。



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