[110日目]最終発表(文:山田佳歩)
2016年1月20日 (水)

おはようございます。文学部一年の山田です。
本日は最終報告となります。2セメスターを通して、私はハツカダイコンとカイワレダイコンを栽培してきました。思い返せば、まだ夏の名残が感じられた秋の初めから、雪が降り積もった冬まで、植物たちと共に暮らして共に生きてきたのだなとしみじみ実感します。いつのまにか自分自身の生活の一部に植物が組み込まれていました。一人暮らしということもあり、植物がそばにいてくれることがとても頼もしかったです。
[10月20日撮影]ハツカダイコン(左)とカイワレダイコン(右)
本当に、今まで投稿を見てくださった方々、コメントをくださった渡辺先生、研究室のみなさま、ありがとうございました。それでは最終発表のほうに移ります。よろしくお願いいたします。
(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、以外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。
◎大変だったこと
[10月22日撮影]土寄せが必要な状態のハツカダイコン
植物の栽培を行うにあたり全体的に、「野菜を育てる」ということ...丁寧に野菜と向き合い、変化を読み取り、長期間気候や状況に気を配りながら栽培していく管理力の難しさを実感しました。特に間引き、水やり、追肥の頻度など、その場その場で記録していかないと忘れてしまうことが多々ありました。
特に大変だと感じたのは、ハツカダイコンの土寄せ作業でした。特に10月下旬から11月上旬にかけて、ハツカダイコンの根元が伸びて度々土から見えてしまうようになりました。渡辺先生からいただいたコメントや、過去の学生さんの記事を拝見し、土寄せ作業、それに伴い間引き作業を数回行いました。栽培を始める前に想像していたよりも、植物の生長速度が速く、また必要な作業の回数が多かったことが大変でした。ただ種を蒔いて、水をやるだけでは栽培にはならず、きちんとした管理と手間と愛情をかけてあげることが植物には必要なのだと学びました。当たり前のことかもしれませんが、私にとってはこの展開ゼミを通してしか学び得ることのできない大きなものだと感じました。
◎上手くいったこと
[10月9日撮影]カイワレダイコンの種を水に浸す様子
栽培を始めるにあたり、上手くいったと感じたのは、播種作業の前に下調べや下準備を行ったことでした。私は文系学部所属ということもあり、植物に関する知識に不安がありました。実際に下調べをすることで、不足している道具があることや、播種する前に種を水につけておく必要があることなどに気が付くことができました。実際にホームページ、本、今までの植物栽培をされていた学生さんの記事を見ることで、自分の植物の栽培が自身にとっても植物にとっても、より充実したものになったのではないかと思います。
(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。
植物の栽培および観察を通して、私が得たことは「文章や図を整理し、分かりやすいものにすること」と「疑問に感じたことは調べること」です。
栽培を記録し、文章にし、外に伝えるという作業が特にこの展開ゼミでは行われていましたが、同様に他科目のレポートや発表の形式に大いに役立ったのではないかと思います。
実例を挙げると、私は、今期セメスターで"郷土芸能"に関する展開ゼミを受講しています。その講義を通して、現在、宮城県仙台市にある郷土芸能やその伝承問題について学び、その実態や未来を学外に伝えるという活動を行っております。その展開ゼミでは、受講している学生たち自身で「何を、どのように伝えるか」を考案し、活動しています。その講義で各々郷土芸能を伝える企画案を持ち込み、プレゼンを行ったのですが、そのプレゼン発表にこの展開ゼミで学んだことが生かされたのではないかと考えます。伝えたい内容を明確にし、目標を立て、それを達成するためには何をすればいいか、またそれが達成された後どんなことが得られるかを、現実的に判断し言葉にしていく作業は、植物を観察し記録を文章にする作業に似ていると感じました。「伝える」という行為は、自分一人でなく、相手がいて初めて成し得るものであるということ、相手を思いやった伝え方をするこということの重要性を学びました。
・・・宣伝になりますが、その展開ゼミを通して「川前の鹿踊り」という伝統芸能を取材し、講義を通して絵本を作成することになりました。2月には発表会も行う予定です。子供、大人に関わらず、身近な絵本というツールで郷土芸能に親しんでもらえればと思います。もしお目にかかることがありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。
植物の観察を毎日観察し記録を続けたことで、変化や差異に敏感になることができたのではないかと思います。10月15日の記事で、記録していた写真を並べた時に、明らかな生長の差に気が付くことができました。また、根気のいる日々観察作業を経て、微妙な変化や以前との差異を見つけるだけではなく、どうしてその変化が生じたのか、問題が見つかった場合にはその原因と解決策を考えることにも至りました。
ひとつ、もっとこうすれば良かったかなと後悔していることがあります。それは、日々の生長記録を一定の観点から残し、最終的に生長の様子をデータ化・図化することです。せっかく毎日観察を続けていたので、長いスパンである一部の場所の長さの計測を行ったり、同じ視点から写真を撮り、最後にそれらを繋げて動画資料を制作したり、など・・・。様々な可能性があったな、と反省しております。
[10月15日投稿]カイワレダイコンの記録
また、今まで他の講義を通して、いくつかレポートを書く作業があったのですが、レポートで題材の変化や差異を読み取り、その理由や結果を論じることが多々ありました。この展開ゼミでの活動を経てからは、今までは取りこぼしていたであろう僅かな差異に気が付いたり、丁寧な比較作業を心がけたり、変化の理由の元となるデータや疑問の解決策を明らかにしたりすることができるようになったのではないかと思います。
(4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。
文章を書くということは、私にとっては非常に重要なテーマでした。学部柄もありますが、なかなか自身で納得のいく文章を書けなかったり、適切な言葉が出てこなかったり、言葉を生み出すということそのものに行き詰り、どうすればいいのか悩んだりしたことが今までありました。
この講義を通して、慣れない植物の栽培で何とか自分なりに生長の様子や変化を読み取ろうと、日々継続して観察を行いました。その結果を言葉にする作業を幾度か繰り返し、非常に多くのことに気づかされました。
今までの文章の書き方や形式では、やはり自分主体のものが多かったのではないかと考えます。難しい言葉を使おうとしたり、他人に向けた文章であることを意識せず"なんとなく"という気持ちで文章を書いていたり...。具体的に言うと、分かりやすい文章にするための努力を怠ってしまう、一文に複数のセンテンスを盛り込んでしまう、などです。
この講義を通して、ブログの記事を更新することで、とにかく"伝える""伝わる"文章を書かなければ、ということを意識するようになりました。一文一文をできる限り短いものにしたり、箇条書きにしたり。また画像の配列や整理、文章とのバランスにも自分なりにこだわり、取り組めるようになったのではと思います。5W5Hをはっきりさせ、分かりやすい文章を心がけるようになったことは、私にとってとても有意義だったのではないかと思います。
(5) 以上の(1)~(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。
この展開ゼミで多くのことを学びました。植物に対して知識がなかった私ですが、自分なりに調べを進めたり、先生や研究室のみなさまから頂いたコメント、何より同じ受講生のみなさんの投稿からヒントを得たりしながら、栽培・収穫まで辿り着くことができました。知識がなくても、得意でなくても、興味関心がなかなか向かなくても、根気強く向かい合うことで新しい見解を得ることができることを学びました。植物たちとともに暮らした4ヵ月、数字にすると短く感じますが、私にとってもは非常に長いものに感じられました。日々の観察を通して、植物の生長、その生命力の強さと、植物という命あるものを育てることの責任感を感じました。同時に、普段何気なく見ていた野菜たちが、どれほどの苦労を伴って私たちの食卓に届けられているのか、野菜を育てることの難しさを痛感しました。どれもこの展開ゼミを経験しなければ、このように身をもって感じることができなかったものばかりです。そういった点からも、この展開ゼミを受講したことは私にとってかけがえのないものとなるでしょう。
また同時に、文章を書くこと、他人に伝えること、その作業における"丁寧さ"の重要性を、この展開ゼミから学ぶことができました。記事の投稿回数は少なかったですが、毎回自分なりに記録を整理し、丁寧に文章を書くことを心がけました。ともに植物に向き合う仲間たちがいたことも本当に心強く、刺激を受けました。今までも大学の講義内で幾度かレポート提出やプレゼン発表が求められましたが、これからはますます高度なレベルのものが求められるのだと思っています。その際、この展開ゼミで学びえた"わかりやすい""伝わりやすい""相手を思いやる"発表の形式に近づけられるように、努力していきたいと考えています。
そして、まだ私の部屋には収穫していないハツカダイコンが2株ほどあります。そのうち1株は土を寄せて様子を見たところ、前回収穫したものとは異なり、3cmほどではありますがきれいな球形になっていました。ぜひ、収穫まで辿り着きたいと思います。展開ゼミでの最終報告が終わっても、可能であればこのブログで報告したいです。今までと同様に、日々記録をつけていければと思います。
以上が最終発表になります。ここまでお付き合いいだたき、本当にありがとうございました!今セメスターで植物との生活が終わってしまうのも物寂しいです。機会があれば、春夏にもなにか栽培できればと思います。今度は植物たちもお部屋中心の生活ではなく、少したっぷり外の空気と触れ合うことができるのではないでしょうか...。
本当に、このように植物と触れ合う時間や、このような場で記録を発表させていただく機会を作ってくださり、ありがとうございました。
コメント
文学部・山田さん
遺伝の渡辺でございます。講義を始めて、110日になるんですね。それを数えているのもよいことですね。何より生活の一部になっているのがよいことだと思います。講義なのに生活の一部と言うことですから。あと、最終報告書の要所要所に写真があるのもniceです。丁寧に土寄せをしていましたね。それは思い出します。また、何かをするときに、調べてから始める。これは理系だけでなく、文系でも同じことだと思います。歴史は繰り返すと言いますので。活かして下さい。
郷土芸能という展開ゼミをしているのもすごいです。2つもやるわけですから。がんばっていますね。是非、発表の時期が近づいたら、このHPを使って、広報して下さい。このゼミつながりで、見に来てくれる方がいればと思いますので。観察結果から、原因を考える力、それはとてもよいことです。何かが起きたので、その事象が生じる。これも歴史で言えば、同じようなことになると思います。もちろん、文学の中の一部かも知れないですが、。。渡辺が歴史好きなのもあって。。。
伝えることの大切さをいろいろな角度から、理解してもらったのも、講義を設定した側からはありがたいことです。農作物がどうやって栽培されているのか、その大変さを理解してもらえたのも、この講義のポイントです。最後にあった、残っているハツカダイコンの発表を楽しみにしております。また、植物を育てたくなったら、研究室を訪問して下さい。少しなら、種はありますので。もちろん、自分で買いそろえるのもありですから。趣味として、楽しんでもらえれば。。。
わたなべしるす