東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

3.いざ収穫!と思っていたら・・・(農:菅野 泰樹)

2024年10月24日 (木)

1.はじめに

 気づいたら半袖では肌寒いくらいの気温になっていましたし、気づいたら長袖に上着を羽織ろうか迷うようになっていました。「秋ってこんな感じだったっけ?」と考えるくらいには秋の実感がありません。もう10月も下旬で、暦の上では117日から冬だそうです。私の秋は体感2週間ちょっとでした。

 

2.すぐり菜大根の収穫

 この前の記事ですぐり菜大根の葉に黒い斑点が見られると述べました。生育自体は長さもそこそこで良好かなと思っていました。そろそろ光に当てて緑化させようと思っていたのですが、斑点が多くなってきて、茎もしおれてきたので今回は緑化させずにこの段階で収穫することとします。

↓収穫前

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 カップをひっくり返して根を見てみると黒くなっていました。過去の記事を当たってみましたが、根が腐っていると考えられました。匂いも青臭さではない異臭がありました。茎が密集しておりカップの底が見えにくかったせいか、育てている間は気が付きませんでした。15cm程度は生育させることができたため、ある程度育ってから根が腐り始めたと推測できます。種を蒔いてから今回根を確認するまでは13日でした。成長が緩やかになってきたと思われるのは種を蒔いてから10日くらいからだったと思います。おそらくそのころから根が腐り始めたのだと思います。黒い斑点については根が腐ったことと関係があるかは判断できなかったです。なぜ根が腐ったのか、腐らせないためにどうすればよかったのかを考えたいと思います。

↓根が下のように....

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水を過度に与えてしまった

 根が腐った以上、これが原因としてはもっとも大きいかと思います。基本的には霧吹きで水やりをしていました。ほとんど毎日水やりをしていました。霧吹きとはいえ一度に与える水が多く、頻度も多かったのではないかと考えられます。また、水を交換することもなかったです。キッチンペーパーに種を蒔いていたため、水の交換は難しいと考え、行っていませんでした。ある程度根が張ってからは一時的にカップから取り出すことはできそうなため、次にカイワレダイコンを育てる際には時折カップから取り出して水をあげすぎていないか確認、調整したいと思います。

 また、下に敷く物を変えることで水の調節がしやすくならないかなとも思いました。こちらも過去の栽培の記事も参考にしながら考えたいと思います。

 

経時的観察を怠っていた

 前回の記事でコメントも頂きましたが、観察が不定期で、回数も不十分であったことも失敗の原因であると思います。生育期間が短い点でも、もっと観察を増やして成長の経過を見るべきでした。

 ハクサイ、ホウレンソウに関しても同様だと思いますので、頻繁に観察して細かな変化に気づけるようにしたいです

 

 これらの反省を次にカイワレダイコンを育てるときに生かして、次こそおいしく食べたいと思います。

 

3.さいごに

 今回のすぐり菜大根の栽培は残念な結果となりました。まだ記事は3本目ですがすでに反省点がいっぱいなのでこれからの栽培ではこの失敗を繰り返さないようにして、収穫にこぎつけたいです。ハクサイ、ホウレンソウについては本葉が出かけているので間引きに備えたいと思います。

 今回は少し短いですが、ここまでとしたいと思います。来週にはハクサイ、ホウレンソウの本葉が増えていればいいなあと願っています。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

今回参考にさせていただいた記事はこちらです。

https://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/as-vegetable2020/2020/11/06222428.php

コメント

菅野さんこんにちは

 仙台が、というよりも今年は秋が短いですね。更に今後、急速に冬へ向かう予報が出ています。植物栽培においても、自分の体についても早めに考える(冬服を出すとか)必要になりそうです。

 今回の投稿で素晴らしいのはテーマを絞っていることです。

 スプラウトの栽培のみで記事を構成していると、読者にとって非常に見やすくなります。そして考察の方もより深めていけますね。

 すぐり菜大根のスプラウトは記事にある通りやや残念な結果になりました。といっても、勉強という意味では、さらりと成功するよりもよっぽどよかったと思います。仮説的にいくつか考えが及んでいますし、もちろん対処も考えているようで何よりです。

 例年一定数の受講生はスプラウトを腐らせるものです。生産現場と違い、徹底した衛生管理はそもそもできず、滅菌状態ではありません。下敷きや種子にある程度の菌がいます。

 何よりも温度や湿度の管理が厳密にできません。例年ならば「低温」のせいで伸長が遅くなり、結果的に「長期間(三週間とか)」置くことになり、腐らせるものです。ただこの場合は逆かもしれません。例年より気温が高かったため、植物の伸長よりも菌の増殖が速かった可能性があります。

 しかし仰る通り原因の最大要素は水やりなのでしょうか。種子が半分以上水没していると腐りやすくなります。そこは観察しながら与えるしかありませんね。そしてキッチンペーパーの下敷きの厚さも重要でしょうか。種子が水没せず、しかも乾燥させず、おまけに無駄に水を停留させないには最適解がありそうです。

 水の交換について、もちろんやった方がいいのですが、遮光との兼ね合いがあります(短時間でも光に当たれば遮光にならない)し、例年の受講生では水の交換無しにうまくいった例も多くあります。ケースバイケースでしょうか。

 今回伸長自体は15㎝まで達したものがあるということで一応充分かと思います。スプラウトの栽培の上で、緑化過程が一番面白い(変化が速い)のですが、それを行う時間はないまま収穫ですが...... もちろん全く腐っていない上部の部分だけ食用にできます。しかし、怪しいなら食べないで下さい。食中毒になったら大変です。

 ちなみにスプラウト関係(市販のモヤシなども)は腐りやすいものです。なぜなら、種子は発芽の時に周囲へ有機物を撒き散らします。その生理的意義は分かっていません。もしかして、植物にとって有用な菌を育てようとするためなのか......分かりませんね。

 さて、次の記事はハクサイ等についてでしょうか、お待ちします。尚、他受講生のものを見ると生育が早いため間引きが追い付かない例を散見します。どのみち最終的に鉢に残す数は限られていますので、しっかり間引きしましょう。

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 いやあ、山形にある本屋スゲー!! その厳密な営業時間は何なんだ......

ラボスタッフ・オガタ