東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

5.これまでのハクサイ(農:菅野 泰樹)

2024年11月 8日 (金)

はじめに

 夏休みに実習があり、その一環として山でキノコを採集しました。スギ林と広葉樹林それぞれで見つかるキノコの比較が目的だったのですが、私はそこで冬虫夏草を発見しました。冬虫夏草は虫から生えるキノコで見つけたのはカメムシから生えているものでした。いつか見つけてみたいと思っていたので本当にうれしかったです。せっかくなので持って帰ってきました。樹脂標本にしてみました。今更ながら夏休みのハイライトでした。

 

虫害について

 蛾の幼虫と思しき虫がハクサイの葉を食べていることが見つかって以来、毎日こまめにハクサイを見て幼虫が葉についていないか確認していました。あれから葉は食べられていなければ、幼虫も見当たりません。研究室に伺ってオルトランという農薬をいただき、散布しました。自分でもお酢のスプレーを買って使ってみました。これらの効果もあったのかと思いますが、気温が下がったことも大きいと思います。ともあれ被害がこれより大きくならなくてよかったです。今のところですが葉を食べられた株も元気です。ほとんど食べられていない株もあるので間引きで残す候補となりそうです。

 栽培の状況については、本葉が育ってきて密になってきているのでそろそろ二回目の間引きを行いたいと思っています。

 

光環境について

 正直自分でもベランダにどれほどの光が入っているのかが分かっていないですが日当たりがあまり良くないことは確かです。ふと思い返すと部屋に日が差していた記憶がありません。Google Mapで自宅の窓の方角を確認してみると、ほとんど西向きに窓が付いていることが分かりました。ベランダには塀があるため、陽が遮られないように鉢は箱で高さを取ってそこに置いています。光をさらに取り入れるにはどうすればよいかは検討したいと思います。

 

栽培のこれまで ~ハクサイ編~

 正直今週は取り立てて記述するような変化がなく、ネタに困り気味でした。そこで、これまで撮ってきた写真を並べて全体的な変化を見ることにしようと思います。

 写真をそこそこ載せることとなるため今回はハクサイに限定したいと思います。ホウレンソウについても同様の振り返りを行いたく思っています。

 

107日 種まき

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1014日 (7日目)

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1022日 (15日目)

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1029日 (22日目) 虫害を受けた日 13(18:44)

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117日 (31日目) 現在 11(21:30)

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 およそ一週間ごとに一枚写真を載せました。今更ですが気温の情報は時間を添えるべきだったなと思いました。もっと早く気温を計っていれば推移を見ることができて面白そうだったのでそこも悔やまれます。

 写真を並べて思うのは本葉が出て以来、茎の伸びがゆるやかになっていると感じます。徒長の兼ね合いもありそうですが、本葉が出てきた頃から茎の伸長が緩やかになったと推察しました。本葉が出てきてからは高さは伸びず、本葉が大きくなっているという印象です。写真の撮り方にばらつきがあったり、鉢の角度を変えていたりして比較がしにくかったです。せっかく継続して観察しているため後で比べることを見越した記録を心掛けたいと思います。

おわりに

 写真を並べてみると観察の方法を統一すべき理由が分かった気がします。10月22日は定規を当て忘れているなど、不備があると比較も難しくなってしまうことを実感しました。最近ためている写真は撮り方を統一しているのでこれは継続します。栽培一か月の振り返りでしたが、収穫の前にもこのような振り返りをしてみると面白そうなのでまたやろうと思います。

コメント

菅野さんこんにちは

 冒頭の写真、うっかり見過ごしてしまいそうですが、冬虫夏草の標本!? いきなり凄い!! よくまあ見つけられましたね! カメムシから発生というのも面白いですが、それではけっこう小さいものなのでしょうか。それをよく見つけて...... よほどそういう目をもって森林をみていたんですね......

 さて、本題の植物ですが、虫の食害がひとまず治まってきているようで何よりです。酷くなったらわずか数日で食べつくされることもありますので......

 治まった原因として、気温、お酢、も関係するのでしょうが、やはりオルトランを使ったのでしたらその効果でしょうか。適切な量を使うと、一気に虫を退治してくれます。

 この時期珍しく、虫の食害に遭ったことで、面白い経験になりました。虫の恐ろしさ、そして農薬の有効性が分かりました。世間一般では「無農薬」や「有機」がもてはやされていますが、別の側面もあるので。

 付け加えて言うなら、農学部の役割は生物の仕組みそのものの探求というより、あくまで食糧につながることです。それは「低コストで大量の食糧を生産」し、「人々の生活を豊かに、また飢餓が無いように」することです。そのために農学部でも色々な学問があります(直接的な栽培技術、品種改良の育種、食品の保存方法、輸送や配布の経済学、土や肥料や虫について、などなど多数)。それらがみな人類の将来に役立っていくものです。逆に、ひたすら手間暇をかけ、大量のエネルギーを投入し、金持ちだけが手にできる高価な逸品を作ることではない、と思っています(あくまで個人的考えなんですが)。

 虫害についても日本ではあまり聞かなくなっていますが、世界的に言えば物凄く大きな問題であり、終息に向かうどころか年々被害が増している有様です。解析は進んでいても、決定的な対抗策がなかなか見つからず......

 話を本題に戻します。

 こうやって植物の成長を一気に並べて比べれば分かりやすいですね。発芽から本葉まで来ました。

 まあ、本当を言えばかなり成長が遅いのですが、それは光環境がどうしてもうまくとれないせいでしょうか。工夫できる範囲内でできるだけやってみましょう。本年の受講生の中でもいろいろ工夫している例がありますから参考にしたらいいと思います。

 管理では他に水やり間隔(どの日も鉢土が湿っているので、過湿が疑われる)、そして追肥のことも課題です。これらも他受講生の記事を参照して下さい。せっかく同一時期にスタートしているのですから最も参考になるはずです。

 ではまた投稿お待ちします。正直植物栽培は冬虫夏草を見つけるよりずっと簡単だと思います......


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 いやなんというか、分かってはいたのだが...... 何と「8分」も置くということは...... 正直味がどうこういう以前にぬるくなりました......

ラボスタッフ・オガタ