東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

6.観察を見直そう(農:菅野 泰樹)

2024年11月15日 (金)

はじめに

 私は書店が好きで、用がなくても頻繁に寄ってしまいます。ただ、衝動買いしてしまうので注意しないといけません。不思議なもので、衝動買いした本は積みがちになっています。これでは懐を冷やすだけ冷やして何も得ていないので、せめてしっかり読もうと思います。

 

写真をうまく撮るには

 前回ハクサイの成長過程を並べて比較しようとしましたが写真ごとに写り方が違うため、比較するにも難しかったです。これを踏まえて鉢につまようじを刺してその位置をもとに写真を撮る方向を固定しやすくしました。次に振り返るときは変化を読み取りやすくして考察できるようにしたいと思います。ホウレンソウについてもハクサイと同じく振り返ろうと思っていましたが、こちらも比較が難しいため、後にしたいと思います。

成長報告

ハクサイ

 最近過去の記事なども見ていて、自分の記事でもコメントをいただいたのですがやはり生育が遅れています。密になってきたため1110日に間引きをして2株減らしました。過去の記事で間引きをしたところ生長が促進したという旨の内容が見つかりました。現在、多い株では本葉が4枚となっています。種のパッケージには定植の時期は本葉が5枚の頃とありますので、望みをかけて思い切った間引きをしてみようかとも思いました。調べた限り、追肥を行う上で想定されているサイズには及んでいないかと思いますが、間引きをして株を絞って、距離を離して肥料を与えてみてはどうかと考えました。このままでは結球はかなり難しいと思われますので、何らかの工夫はしたいです。アルミホイルがあったので反射板は作ってみました。

11月14日 21:08 (12度)

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ホウレンソウ

 ここ1週間ほどの本葉の成長が顕著です。ただし、こちらも昨年度にホウレンソウを栽培していた方の記事を見てみると時期にしては小さいかと思います。本葉に幅が出てきてはいるのでもう少しすれば参照した記事のようになると願います。また、葉の緑が濃くなっています。葉緑体が増えたと考えられます。

 栽培して観察していると、ホウレンソウの葉は独特だなと思います。光合成の効率や、耐久性を考えるなら直感的には葉は幅があった方が良さそうですが、子葉のみの時期を振り返ると高さはあるので、光をめぐる競争は有利なのかもしれません。

11月10日 21:30 (13度)

DSC_1062.JPG

11月12日 21:30 (14度)

DSC_1068.JPG

11月14日 21:12 (12度)
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これからの観察に向けて

 ふと、葉の付き方が気になりました。「葉は2枚で対になっていることでバランスを取る上で有利にはたらいているのか」「現時点では本葉も概ね左右で対になっており、子葉に対して直行しているように見えるがこれからもその傾向が見られるのか」など、疑問があります。生物の教科書などに葉はできるだけ重ならないようにつくというような記述があった気がしますが、そこに法則はあるのか、植物に普遍的なのかなど、いろいろ考えられそうです。せっかくなのでこれからはこの栽培を実例として葉の付き方に注意して観察してみます。(来週はおそらくこれをネタにします)この記事の趣旨からは少し逸脱している気もしますが、市販されている葉物野菜の比較もできそうです。

↓ 葉の付き方を見てみると...

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おわりに

 すぐり菜大根といい、ハクサイといい、あまり栽培はうまくいってないような気もしますが、これからもできる工夫はしながら栽培を続けていきたいです。また、ささいなことも疑問に思って考える力も養いたいと思います。

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。そろそろ中間発表があるということで、大学一年生も終盤に差し掛かってきた事実に戦慄しています。なんとか記事の投稿の継続は達成したいので、来週も頑張ります。

コメント

菅野さんこんにちは

 冒頭の写真はよくタイミング取れましたね。野良猫は動いたり止まったり、なかなか思うように撮れないものです。最近は猫の写真集が数多く売られていますが、さすがにプロはプロだと感じさせられます。

 さて本題の植物ですが、おっしゃる通り生育は例年の受講生の同時期に比べて遅れています。胚軸の細さ、色の薄さから見て日照不足は明らかなのですが、他にも原因があるのでしょうか。今年の受講生は菅野さんに限らず成育が遅めで、ここまで天候が順調だったのにも関わらずこうなったのはなぜか、こちらも考えあぐねています。

 ともあれ反射板などできる工夫はすべきですね。

 写真撮影について改善点を見つけて、適切な対処をしようとするのはポイント高いと思います。

 しかしまあ、管理の上で何かこう「間違っている感」があります。それはなぜかというと、管理手順にはそれぞれ「意味」があるのですが、それが伝わっていない、あるいは間違って伝わっているからです。

 例えば間引きはあくまで「株同士の競合を減らす」という意味をもって行うことであり、結果として成長促進につながるということです。成長促進を狙ってどんどん行うものではなく、写真を見る限り間引きにはまだ早い、今行うとしてもあと一株だけだと思います。

 追肥についても、「土から失われる養分を補給する」という意味を持ち、既に始めていてもいいくらいです。事実上「植物体に変わる肥料分」などよりも「鉢土から下に流れ出る肥料分」の方がずっと多いので、植物体の大きさとは関係なく時期で与えるものです。最初の鉢土には初期の一ヵ月分の肥料だけが入っています。

 種子パッケージの説明書きはあくまで正常栽培、つまり適切な時期に畑で栽培することを念頭においたものです。今回の場合とは違いますので、要らない情報は捨て、必要な「意味」を汲み取らなくてはいけません。

 さてホウレンソウの葉の形をあれこれ考察したのは面白いですね! 確かに葉の面積、つまり受光量を増やすためには幅があった方がいいでしょう。そうなっていないのには必ず理由が存在します。「風通し=二酸化炭素供給」や、「光に対する葉の斜め角度=光量に対するブロードな対応(分かり難い話なので割愛します)」のことなどを想像しますが、菅野さんはそこに「いち早く上の位置を確保」という視点を加えています。ちょっと意外なことで、こちらも盲点を突かれたような感がありました。

 葉の付き方、いわゆる「対生」のことにも気づかれたでしょうか。これもまた植物種によって様々です。分類について、簡単に調べられると思いますので、教養がてら調べてみるのも一興ですね。

 さあ中間発表の準備をしましょう。書いてみれば分かる通り、文字数などをクリアするのはたやすいと思います。

 肝心の栽培については、めげずに気長にやっていきましょう。

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 いったい...... 何なんだろうこれは......

ラボスタッフ・オガタ