7.いろんな疑問(農:菅野 泰樹)
2024年11月24日 (日)
はじめに
必修の授業として第二外国語があります。英語プラスもう一つの言語について学ぼうという授業で、私は中国語を選択しました。高校の漢文が好きだったから選択したのですが、選択してから漢文は中国語でも、古典的なものであることに気づきました。とはいえ、今のところそれなりに楽しく講義を受けています。中国語の外来語は読みを漢字に落とし込んだ当て字であることが多く、おもしろいです。例えば、チョコレートの中国語は「巧克力」になります。チョコレートのイメージにしては厳めしい字面な気がしますが、かっこいいです。
成長観察
追肥の意義を勘違いしていて遅くなってしまいましたが、追肥を行いました。植物の管理を漫然と行っていたことを反省して、管理の意味を考えながら育てていきたいと思います。追肥はコメントを参考に、10粒程度の肥料を鉢の縁に近い3、4か所にまとめてまきました。これからは10日ごとに追肥を行っていきます。
ハクサイ、ホウレンソウともに子葉がしおれてきました。どの植物もある程度生育すると子葉は枯れることと思いますが、子葉が枯れるメカニズムなどあるのでしょうか?
ハクサイ
密になってきたので間引きをして一株減らし、三株となりました。追肥の効果については今のところ顕著には見られません。肥料の効果は後で記事にまとめようと思います。
ホウレンソウ
こちらも追肥の効果今のところはっきりとは分かりません。ハクサイにも言えることなのですが、本葉が増えるにつれてもとあった葉は垂れていくのが写真から観察できます。このことからも、植物のシルエットは下が広い三角形型が多い気がします。必然的に上の方についている葉ほど光を受けやすくなると考えられますが、光合成の能力としては低い位置についているよく成長した葉と、上の方についている新しい葉で違いがあるのでしょうか?葉は光合成をさかんに行う器官ですが、葉の面積と光合成量は比例するのでしょうか?
葉の対生について
先日の記事に頂いたコメントで、茎の節に対して、二枚の葉が向き合って付くことを対生ということを知りました。葉がどのようにつくかを差す言葉は葉序ということも調べて知りました。ハクサイを上から撮った写真を下に載せます。前の記事では葉がほとんど180度になっていると思っていましたが、今見てみると少しずつずれています。後日分度器を買って実際の角度を求めようと思いますが、調べてみるとハクサイの属するアブラナ科の葉序は2/5葉序とされていて、連続する葉の角度がおよそ144度となるようです。たしかに写真を見てもその傾向はありそうです。この葉の付き方なら葉が重なりにくく、光の受容に有効に思えます。
180度で葉がついているわけではない(写真暗くてすみません)
私はハクサイを結球させることを目標に栽培しています。(なかなか厳しそうですが...)葉の付き方、光合成について考えていたところ、結球には何か意味があるのか気になりました。おそらく光合成には向かない形状ですが、その意義は考えたことはなかったです。これも記事にまとめたいと思います。
おわりに
今週はいろいろなことを言い訳に記事の投稿を先延ばしにしていました。規則的な記事の投稿を心掛けたいと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございます。次の記事は中間発表となります。優雅に12月を迎えるためにも余裕をもって記事を書きたいです。
コメント
菅野さんこんにちは
冒頭の写真はよく見ますと「嫌気性菌培養装置」だったんですね! 昔はこういう方法だったのか...... 今では「嫌気性菌用チャンバー」に二酸化炭素を満たして簡単に操作したり培養したりできるのですが、昔の人は凄いですね。ガラス器具がまるで悪役の博士の実験室のような雰囲気です。ちなみに真に偉いのは、赤痢菌などが「嫌気性菌」であると看破したことでしょうね。これには発想の転換が必要ですから。
フランス人が尊敬する科学者に「ルイ・パスツール」がいます。ある時、パスツールは病原体を見つけようと実験をしていたのですが、「細菌を通さないミクロフィルターでろ過をしている」にも関わらず、病気にかかる現象を見つけました。普通なら「実験操作が間違っている」からひたすら繰り返す、あるいは「病原体のない病気だ」とでも思ってしまうところです。しかしパスツールは「これはろ過性病原体である」と言い切り、後のウィルス発見につながります。発想の転換は凄いですねえ。
さあ雑談ついでに第二外国語が中国語ですか!! あんなに難しい言語にトライするのは、なかなかチャレンジャーですね。単にピンインが難しいだけでなく、話者人口が多いために、勉強してもあまり向こうの人に感激してもらえなさそうで...... いや逆に使う頻度が高く、習得の甲斐があるとも言えますが。
昔は理系学生といえばドイツ語選択が当たり前でしたね。まあ体系的なところが理系っぽいし、実際医学現場ではまだまだドイツ語由来のものが多く残っています。シャーレ(ペトリ皿)、ウィルス(バイラス)、アレルギー(アラジー)、コラーゲン(カラジン)などなど...... ちなみにですが、よく勉強している理系学生でさえ、ナトリウム(ソディウム)、カリウム(ポタシウム)なんかは間違えやすいので、国際学会では気をつけましょう。
まあドイツ語中国語も難しいといえばそうなんですが、フランス語はさらに厳しそうですね。もちろんリエゾンも難しいですが、何と言っても母音の種類が多い!(英語もそうですが)これは他の言語にあり得ない多さです。アラビア語では母音が三つ、アブハジア語に至っては母音が二つなのに!
さて本題の植物ですが...... かなり遅いながらも枯死することなく生育しているようです。光環境が良くなければ遅くなるのは必然なのですが...... 更にここから本格的な寒波到来! 心配なところではあります...... 長い目で見ていきましょう。
追肥の効果はまだ見てとれませんが、これは管理的に必要なことであり、無意味に終わることはありません。また効果発現には若干のタイムラグがあるものです。ちなみに農家で迅速に肥料をコントロールしたい時は、土から根が肥料を吸収するのを待っていられず、直接葉に薄い液体肥料を散布することまで行っています。
そして「葉が垂れていくこと」に着目しましたか。これはなかなかいい着眼点です。もちろん、ただ用済み(つまり日が当たり難くなれば、結果的に光合成し難いので不要となるだろう)なので萎れてくる...... ということではありません! 植物は積極的に古い葉を分解し(むろん細胞内レベルで自己消化)、そのリソースを上の葉に送り込む(転流という)ことをしています。よく落葉樹木が秋に葉を落すのは、冬期間には低温のため葉が光合成できないので、不要になった葉をわざわざ自己分解し、幹にいったんリソースを蓄えます。なんとなく葉が低温で耐えられなくて落ちるのではなく、積極的な意味で切り離しているのです。
これは投稿記事中の「上の葉の方が光合成しやすいのか」という問題にもつながります。まさにその通り、上の葉の方がきっちり下の葉からのリソースを受け取り、しっかりと光合成できる態勢を整えていますから、上の葉の方が光合成の効率がいいのです。ちなみにリソースと一口にいいましたが農学系で学年が上がってくると「移動させやすいリソース、ショ糖や窒素やカリウム成分」と、「移動させにくい成分、カルシウムや鉄」のことも勉強するでしょう。これは植物の実際の栽培における生育不順の見分けに重要なことです。
さて、「葉序」についても調べましたか。その通り、ハクサイなどは2/5葉序ですね。5枚の葉が出ると2回転します。これで下葉まで光を送りやすくなります。
厳密には、葉は「緑色」であり、もちろん光合成で「赤色光」と「青色光」を吸収するため、残りの緑色光だけが透過できるわけです。しかし緑色光が光合成に全く使えないというわけではなく、つまり上葉で使った光の残りである緑色光を下葉が若干利用できますので、完全に重ならない葉序である必要はありません。
最後に結球のことです。確かに、結球は植物の生存に役に立たなそうですね。しかし、植物にとって重要なポイントである「成長点」をカバーするには良さそうです。動物による食害、あるいは冬期間の凍害から守ることは大事で、成長点が傷つけられても植物は立ち直りますが、大きなダメージになるものなので。
そもそも、「結球する性質」が全然最初から存在しなければ、いくら品種改良しても付与することは、少なくとも最近の遺伝子導入などの存在しない時代には不可能です。あくまで元々の性質を増やすか減らすか、それが品種改良の王道ですから。
ともあれ結球させると「青臭さが減る」「繊維分が柔らかくなる」「グルタミン酸などのうま味成分が蓄えられる(ハクサイはトマト並みにうま味成分が多く、更には肉魚のうま味成分イノシン酸と相乗効果を得られるので、だから鍋物に向く)」ために、人間が品種改良して立派に結球するようになったのでしょう。
さて中間報告も頑張って下さい。文字数は案外簡単にクリアできるものです。
これはかの羽生弓弦氏が参拝したことで有名になった秋保の神社です。このようなのぼりを立てると勝負事に勝てるそうです。どんだけの数の人が勝負に賭けているんや!
ラボスタッフ・オガタ