東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

のほほほんとした野菜日記-9(医:酒井 桜奈)

2024年12月24日 (火)

こんにちは!

 写真は仙台のクリスマスマーケットに行った時の写真です。友達と美味しいものをたくさん食べられてとても幸せな時間でした。すごく寒かったですが、そのお陰であったかい食べ物がより一層美味かったです!

 

 さて、今回は小松菜の収穫の様子と食レポをお届けします!!

収穫間近の小松菜IMG_0251.JPG

 収穫した小松菜は合計3株で、内鉢2株、外鉢1株です。

 最初に外鉢の株を根から収穫しようとしたのですが、鉢全体に根が張っており、綺麗に出すのは困難だと感じたため、急遽、地面から出ている部分をハサミで切る方法に変更しました。また内鉢の小松菜も隣の白菜の根を傷つけるわけにはいかないため同じ方法で収穫しました。

 ちなみに根から抜けた小松菜の様子がこちらです。IMG_0252.jpg

内鉢①

12月21日 内鉢①全体IMG_0260.JPG

 茎の付け根から葉の先までの全長は29cmでした。

12月21日 内鉢①葉IMG_0268.JPG

 葉の大きさは12.4cmでした。

内鉢②

12月21日 内鉢②全体IMG_0269.jpg

 茎の付け根から葉の先までの全長は28.5cmでした。

12月21日 内鉢②葉FullSizeRender.JPG

 葉の大きさは13.5cmでした。

外鉢

12月21日 外鉢 全体IMG_0254.JPG

 茎の付け根から葉の先までの全長は16.5cmでしたが、写真を見ると下の基準が少しずれているように感じます。撮るときに写真を確認しなかったことを反省しました。ズレているのが約2cmくらいだと考えられるので、18.5cmはあると考えられます。

12月21日 外鉢 葉IMG_0257.jpg

 外鉢の葉の大きさは大きいもので11cmでした。

 このことから室内と屋外では約10cmもの全長差があることがわかりました。この差は非常に大きな差だと感じました。この差の1番の原因と考えられるのは気温の違いです。室内は暖房をつけていない時間を考慮しても10度前後はあります。それに対して屋外は最高気温が10度を下回ることが多くなり、夜は0度前後まで冷え込みます。つまり時間によっては10度以上の差があるということです。寒さによって屋外の成長が止まってしまったのだと考えました。

 また他の理由として考えられるのは水をやるタイミングです。栽培環境を変えて以降、室内鉢の土の渇き具合を基準に屋外も同時に水をやるということが増えました。やはり乾き具合は室内と屋外で差が生じると考えられるため、屋外の水やりのペースが悪かったのではないかと考えました。

 他の気づきとしては室内の2つの株がほぼ同じ大きさであったということです。このことからは室内の株は根痛みなどが少なく、本来の成長ができたのではないかと考えました。

 

食レポ

 収穫した小松菜はお浸しにして食べてみました。味の違いを知りたかったため、分けてお浸しにしました。

左が内鉢、右が外鉢IMG_0560.jpg

 見た目に大きな違いはありませんでした。室内の方の小松菜はえぐみや繊維がなくとても美味しかったです。一方で屋外の方は繊維質ではありませんでしたが、少しえぐみを感じました。今回は親と試食し、同じような感想を抱いたため、えぐみは確実にあったと思います。

 正直栽培環境が違うことで味にまで違いが出ると考えていなかったため驚きました。しかしどちらも美味しかったです!

 今回はこれで以上になります。

 場所がいくつか空いたということでミックスの栽培を始めたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

コメント

酒井さんこんにちは

 今回の記事はコマツナの収穫ですね!

 先ずはおめでとうございます。素晴らしい結果となりました。この時期に、とても立派なコマツナです。もう市販品といっても差し支えないですね。

 収穫方法について、地際から切り取るようにして構いません。普通は鉢をひっくり返して鉢土ごとスッポリ抜くのですが、切り取る方が土が散らなくていいかもしれませんね。ただ、根の張りが思った以上に行き渡っていることを確認できればオッケーです。

 さて肝心の地上部について、気付くべきポイントをしっかり見ていますね。一つは内鉢の株の「揃いが良い」ことです。同じような環境なのだから同じ結果になる、ということはなく、種子の遺伝的要因も絡んできます。ここで揃いが良いというのは種子が遺伝的に均一であること、つまり商品生産に適しているところまで、育種が高度に行われているということを意味します。もちろん良いことです。まあ、自然界においては遺伝的に均一であることは生存しにくい(風水害や病虫害に対して一気に全滅する可能性がある)こと、ご存じだと思います。

 次に内鉢と外鉢の比較です。これは意外なことに内鉢の勝利に終わりました。しかも大差です。内鉢の環境が非常にコマツナに対して適していたんでしょうか。全長29㎝とはもう本当に市販品ですね! 後年の受講生への貴重な示唆になります。室内日照やコマツナの特性などいろんな要因があるのだと思いますが、成功した例が少なくともここに存在すると言えるわけです。

 その要因について、もちろん温度が最大の影響を及ぼしたわけです。ただ、これは後年の受講生に誤ったメッセージになる可能性があります。昼間の温度は当然高い方が有利です。光合成を促進しますから。しかし夜間については...... よほど昼間にしっかり光合成を行い、充分な栄養を得られている場合に限って夜間温度が高い方が有利です。成長させる生合成反応が夜間も進むわけです。しかしこれはあくまで光合成が充分な場合に限ります。そうでなければ夜間の温度が高い方がかえって不利になるでしょう。

 最後に実食、これまた意外でした。繊維質のことは内鉢の方が少ないだろうと予測付きます。しかしエグ味まで少なかったとは...... もちろん内鉢よりも外鉢の方が、寒さのためにしっかり「物質を集積」するのでエグ味成分もまた集積されている可能性があります(コマツナにシュウ酸塩は多くはないが、含まれていないことはない。また硝酸塩は普通に含まれている)。しかし、たいがいの場合寒さで集積され、味として感じるのは糖類の方なので、それによってエグ味が隠されるのですが...... まあ結果として面白いものでした。

 年内収穫というのは歴代受講生の中でも早いほうです。そしてその後......ミックス栽培でしょうか。余力がもしあればトライしてみてください。酒井さんの室内環境ならば、ミックス室内栽培もきっとうまくいくと思います。

 ではまた、投稿お待ちしています!

DSC_0060.JPG

 もはやおにぎりの範疇なのか......

ラボスタッフ・オガタ