東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ハツカダイコン、リベンジ‼(会:宮野 はるな)

2025年6月 8日 (日)

お久しぶりです。

この一か月間、記事を書こうと何度も思ってはいたのですが、なかなかパソコンに向かう気が起きないでいるうちに六月になっていました、、。遅くなってしまいすみません。先月は、私事ではありますが、誕生日がありました!その時のケーキが上の写真になります。(著作権が怖かったのでモザイクにしましたがかの有名な猫のキャラクターです!!)人生で初めてオーダーケーキを頼みました。かわいくて食べるのがもったいなかったです。

目次

1.酵素肥料vsノーマル

 ・成長の記録

 ・虫の登場!?

 ・間引き

2.水耕栽培withミドリムシ

3.まとめ

1.酵素肥料vsノーマル ~成長の記録~

播種2日目 気温27度

酵素なし1749381301681.jpg酵素あり
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両者とも発芽した。

【酵素あり】

発芽数:5つ

【酵素なし】

発芽数:4つ

酵素ありと酵素なしで分けているが、発芽してからじゃないと酵素肥料をあげてはいけないという記事を見たため、あげていない。発芽数についてはあまり大きな差がないので比較実験をしてよいと判断した。

播種5日目 気温30度 

右 酵素なし   左 酵素なし


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【酵素あり】

芽の数:13つ

【酵素なし】

芽の数:12つ

葉の面積には大きな違いがみられなかった。

播種五日目(今回)から酵素肥料を使用始めた。一週間に一回普段の水やりを酵素肥料に変えることとした。

また、雨風が強かった日が多かったため、風よけと虫対策として下記のような道具を利用した。ちなみに、この道具はプラスチック製であり、上部に直径1㎝ほどの穴が6個開いていた。懸念点として地面の熱により植物の生育環境の気温が外気温より高くなることが挙げられるが、平年の五月よりも低い気温がつづいていたため、生育環境の気温が植物にとって暑すぎる環境になることはないと考えて使用した。

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~虫の登場!?~

播種13日目 気温24度

右 酵素なし   左 酵素なし

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酵素なしのハツカダイコンで穴開いている葉が見受けられた。ここ数日低い気温が続いてしまっていたので寒さにやられてしまったという可能性も否定できないが、以前、虫にやられたので虫害という可能性が大きいように思える。

ここで注目したいことが、「酵素なし」では2か所の穴が見受けられたのに対し、「酵素あり」では穴が見受けられなかったことだ。同じ場所に置いているため「酵素なし」のほうが虫に出会う可能性が高いということは賛同しがたい。そのため、「酵素肥料を週に一回与えている効果が出てきた」という説が有効だと考えられる。

~間引き~

播種28日目 気温25度

右 酵素なし   左 酵素なし

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葉の数が多くなったので間引きをした。少しタイミングが遅くなってしまったような気がする。二株ずつ抜いた。

間引き後

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2.水耕栽培withミドリムシ

では第二弾です!ラボスタッフさんのコメントにあった、ミドリムシをどのようにして使うのか、についてですが、今回の実験では、私は「生きたミドリムシをそのまま使う、つまりハツカダイコンとの生物的作用を使う」ことを行おうと考えています。

播種2日目 室温25℃

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芽が出てきた。

肥料を加えるときにミドリムシも混ぜるので、この時点ではミドリムシは加えていないが、区別をつけるために手前を「ミドリムシあり」、奥を「ミドリムシなし」とする。

【ミドリムシあり】

芽の数:18つ

芽の数:17つ

二つともほぼすべての芽が発芽した。

播種4日目 室温23℃

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カイワレ大根を育てていた時と同じような成長のスピードの速さを感じた。長いもので両者とも5㎝ほどのものがあった。ティッシュが邪魔をしているよう気がしたので、取り払ってみた。その様子が下記の画像である。

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取るときに、ティッシュにくっついていたものが多々あった。そのためか今までの勢いがとまってしまい、か弱いハツカダイコンになってしまった。まだ、ミドリムシを加えていないのにもかかわらず、これから成長がうまくいくか不安な状態であったため、もう一回育てなおすことにした。

一応、ここから元気を取り直す可能性も捨てきれないため、このハツカダイコンたちは取っておいた。

播種13日目 室温24度

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大きい容器がなかったため、小さい容器で実験することにした。播種10日目に前回と同じように種をまいた。

前回失敗した理由はティッシュだと考えたため、ティッシュを外して育てた。まっすぐに育った。平均5㎝ほどであった。

播種16日目 室温24℃

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状況が悪化した。まっすぐに伸びていた茎が斜めになってしまった。その後観察を続けていたが、しおれてしまい、うまくいかなかった。

3.まとめ

まず、vs酵素肥料については予想以上にうまくいっていると考えます。光の強さなど肥料以外の外的要因は少なからずあるとは思いますが、酵素肥料ありだけ虫害がなかったという結果に関して、酵素肥料が何らかの効果をもたらしたことは否定できないと考えます。

しかし、水耕栽培はあまり良い結果ではありませんでした。ミドリムシの有無での成長率を比較したかったのですが、それ以前に最初の段階でてこずってしまい、ミドリムシの比較をするところまでたどり着くことができませんでした。たしかに、ハツカダイコンを水耕栽培するということはあまり聞かない話なので、栽培初心者である私には無謀な挑戦であったと考えます。

これからは酵素肥料に絞って栽培をしていきたいと考えています。また、今回、定規と写真を撮るのを忘れてしまいました。すみません。

コメント

宮野さんこんにちは

 オーダーケーキとは、ゴージャス(死語)ですね! リボンやキャンドルがいい感じに雰囲気を出してます。自分で作ると、キャラクターの絵が微妙に残念になりがちですが、オーダーケーキのプロであれば綺麗に描けていたのでしょう。

 さて今回投稿の内容ですが、水耕栽培は残念な結果になりました。根がうまくスポンジに固定されないうちに胚軸が伸び、まっすぐにならなかったようです。か弱さや萎れについても何がしかうまくいかない要因があったようです。しかしながら、自分でしっかり考えて、改善点を見い出し、再トライしたことは非常に高く評価できます!

 生物実験は一回の実験に日数がかかってしまうことが多く、期間内にあまり数多く実験できないことが多いものです。だからこそ、できるだけ改善点を見つけ、即座に修正することが求められます。実際の大学での研究でももちろんそうです。実験系の確立に幾度もトライが必要になります。いったん確立すれば逆に「条件を変えない」ようにして反復実験をするものです。その切り換えが重要ですね。今回の例に戻りますが、ティッシュの途中除去の弊害を考え、改善を図ったのは本当にいいことです。

 もう一つの酵素肥料実験はうまくいってますね!

 先ずはしっかりと発芽させています。この時に酵素肥料を与えていないのは、資料を調べた成果、良い判断です。実は発芽時に与える影響と成長時に与える影響とではファクターが大幅に異なります。発芽というのは植物にとって特殊な瞬間であり、外部からの化学物質の影響を良かれ悪しかれ受けやすいものですから。

 そして発芽後、酵素肥料の比較実験の始まりです。被せたプラスチックは、畑に苗かなにかを植えた後に使うタイプのものでしょうか。上部に穴があるのは温度の上がり過ぎ(日照のエネルギーによる)や、湿度の上がり過ぎを防ぐもので、さすがに製品であるからには考慮されています。5月に使うには問題ありません。5月は多くの夏野菜の定植時期でもあり、こういったプラスチックキャップで防風と保温を行ったりします。

 さて酵素肥料の効果は...... 虫害への効果を最初に考えたのでしょうか。もちろん二か所とゼロとでは、効果と言い切るには尚早なのでしょうが、そういった変化を見出したことは素晴らしいですね。未知の実験を始める際には観察眼が最も重要です。

 ここから更にいろんなことが考えられます。「飛んでくる虫を忌避させて産卵させない効果」なのか、「卵の孵化や幼虫の生育を阻害する効果」なのか、あるいは「植物の防御作用を増強して虫害を抑え込む効果」なのか、ですね。まあ今のところは考えても仕方ないといえばそうですが、こういった「想像力」もまた重要ですし、何より実験してみて面白い部分でもあります! 例えればスイカの中心の美味しいところですね。

 そして最後の写真は間引き後のものです。ここで左右の鉢を比べると...... やや生育に差があるように見えます。計測しなくとも写真で見れば分かる差です。こういうものは実際に見るよりも写真の静止画の方が分かりやすいものです。本来の実験目的は生育への効果ですから面白いことになりそうです。

 さて当方にはまた一つ貴重なデータが手に入りました。「春栽培の実際」という観点ではほとんどデータがなく、今回思いがけず春栽培の様相が見られたので、その意味からも良い投稿でした! ふむふむ、ハツカダイコンの5月栽培では播種28日目でこんな感じなんですね......有難いことです。

 さあ結果の投稿は特に急ぐこともなく、高校生活を充分楽しんでその合い間にでもお願いします。

 期待してまた投稿チェックしています!

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ラボスタッフ・オガタ