東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第二弾!野菜栽培!!(会:宮野 はるな)

2025年5月11日 (日)

お久しぶりです。宮野はるなです。

上の写真は、長期休みのときに作ったタルトです。意外と美味しそうにできたので良かったです。お菓子作りをすることが趣味で、よく作るのですが、マカロンはいつも失敗してしまいます。(泣)上手く作れる方法があったら教えて欲しいです、、、

また、2月の下旬に学問論演習の成果発表会を聞きに東北大学に行きました。同じ講義でも様々な研究テーマがあって興味深かったです。研一くんとも写真を撮ることが出来ました!笑 いい思い出になりました!

大学見学ではオープンキャンパスで行ったことのなかった、工学部の方へ行きました。様々な分野の最先端が見れていい経験になりました。

 目次

1.はじめに

2.準備物

3.種まき

4.最後に

1.はじめに

まず2回目の栽培を始めた理由ですが、昨年度の栽培が順調ではなくパッとしない感じで終わってしまったからです。虫害にも徒長にも悩まされずちゃんとした野菜を育てたい!という思いから始めました。また、私が今までSSHなどでやってきた研究を栽培で活かしたいと思い始めました。

今回の実験は2種類あり、「酵素肥料を用いた栽培」と「ミドリムシを活用した栽培」を行います。

この実験を行おうと思ったきっかけは、どちらの素材も以前、学校の総合的な学習の時間やSSHの取り組みで扱った経験があり、関心を持っていたことです。特に酵素肥料については、環境への負荷が少ないという話を聞いたことがあり、実際にどれほどの効果があるのかを確かめたいと思い、今回の栽培に取り入れました。

一方、ミドリムシについては、昨年のSSHの活動を通してその多様な可能性を知り、農業分野にも応用できるのではないかと考え、実験的に活用してみることにしました。

実験では、どちらも「二十日大根」を栽培します。

【酵素肥料を用いた栽培】
基本的に栽培の方法は去年の二十日大根と同じで、肥料を変えようと思っています。使用するのは「有機JAS活性液 Gs酵素」で、これを1000倍に希釈し、1週間ごとに水やりの際に与えます。比較対象として、肥料自体をなにも使用しない通常の水やりのものを準備します。

【ミドリムシを用いた栽培】
こちらは水耕栽培を行おうと考えています。水耕栽培のやり方は【水耕栽培】二十日大根の育て方【室内育成】を参考にしました。通常の肥料(ハイポニカ)にミドリムシ溶液を1000倍に希釈したものを少量加えて使用します。こちらも比較対象として、ミドリムシを加えない通常のハイポニカ肥料で栽培するものを用意します。

これらの方法で、酵素肥料やミドリムシが植物の生育にどのような影響を与えるのかを比較・検証していきます。

2.準備物

【酵素栽培】

以前の栽培キット+有機JAS活性液 Gs酵素20250511_110626.jpg

【水耕栽培】

スポンジ、ハイポニカ液体肥料、水温計、種、容器20250511_111054.jpg

3.種まき

【酵素栽培】

以前(自分のPart1)と同じようにやりました。種は両方とも同じ数(13粒)まきました。(気温は22度)

 20250511_113700.jpg

【水耕栽培】

まず、容器に1cmほど水を入れ、スポンジに水を含ませました。(水温22度)

⚠下がピンクと青色なのは下のスポンジの色です

 20250511_111946.jpg20250511_111931.jpg

その後、種を上に乗せました。この際、参考動画のようにまきました。

 20250511_112854.jpg

上にティッシュを被せ、水を霧吹きでかけました。

 20250511_113647.jpg

4.最後に

結果が思い通りになるかわかりませんが、どのようにになるのか、違いが出るのかが楽しみです。去年の栽培では虫害にあってしまいあまり良い結果にならなかったので今度こそは成功させたいです!!

記事の頻度は不定期になってしまったり、内容が雑になってしまったりするかもしれませんがすみません。よろしくお願いします。

コメント

宮野さんこんにちは

 これは驚きました!

 今まで、この時期まで投稿のあった受講生はなく、しかも新たに栽培を始めているとは! もう記録的偉業ですね。大いに褒めてあげたいと思います。

 さて、「まるで売り物」のような美しい、しかもゴージャスなタルトの話から始まり、そしてうちの大学の訪問ですか......

 いやあ、高校生の内から大学訪問するのはいいことです。なんといっても視野が広がり、自分の適性を見極めやすくなりますから。そして行けば、世の中にはたくさんの最先端分野があり、大学の研究室はなるほどそれぞれ熱心に研究を行っていることに気付かされるでしょう。一つ注意事項があるとすれば、最先端分野を行っているのは、まともに機能している理系大学なら当然のことです。しかし最先端といっても、世の中のいわゆる「主流」というか、ガチバトルが必要な最先端研究もあれば、傍流のゆるい最先端もあります。そういったところまで見極めるのはなかなか難しいことではありますが、世の中にどう役立つのか、イメージを膨らませれば端緒にはなるでしょう。

 まあ手前ごとですが、もしも自分が高校時代に戻って、研究分野を一から選ぶとすれば、例えば「超高強度コンクリート」とか、「ナトリウムイオン電池」とか、やってみたかったですね。やってみて適性があったかは別問題ですが......

 ここから本題に入ります。

 先ずは栽培全体について、もう昨年とは違い、「手慣れた」感じがします。まさにそれは進歩です。野菜というか植物栽培スキルとして充分ではないでしょうか。

 そして気温の表示を見ても分かる通り、この時期は植物栽培に適した頃合いでもあります。ただし虫害もまた多くなってしまうんですよね。昨年の初冬栽培で、珍しいほど虫害が出た過去もありますし、かなり注意が必要そうです。何か虫よけがあればいいのでしょうが......ビニールなどを使っての覆いは、温度の上昇を招くので難しいですね。やはり早めの薬剤が良さそうです。葉に異常があれば直ぐに撒くのがいいでしょう。

 それはさておき、何とハツカダイコンの「水耕栽培」にもチャレンジとは! 普通根菜類を水耕にはしないものですが、それだけに参考にしたウェブ記事はインパクトがありますね。根というか胚軸が成長するハツカダイコンならではかもしれません。

 水耕栽培のスタートアップは、そのウェブ記事通りにきちんとしています。ティッシュや霧吹きもいい感じです。ただし、見てほしいのはスポンジの吸水状態です。たいがいのスポンジは水を吸って、むしろ過湿のようになってしまうものですが、稀にはスポンジに撥水加工がされている場合があります。台所用スポンジなんかではカビ防止にそういった加工スポンジが多いですね。まあ見れば分かるものなので、種子にどれくらい水が接するか、注意すればいいでしょう。

 またこの水耕栽培のスタイルは園芸学的に言えば「パッシブ水耕栽培」に該当します。根に対する酸素供給装置を特に設けないタイプですね。植物工場などの大規模栽培ではエアレーションやフローなどを使って根に酸素を送るタイプのものがむしろ多いものです。さてこのパッシブ水耕栽培が悪いことは全然なくて、それでいいのですが、根が成長するにつれてスポンジに含まれる水の量をコントロールしていかなくてはいけません。これは小学校時代のヒヤシンスやクロッカスの水栽培と一緒です。まあご存じとは思ったのですが、老婆心までに。

 あ、それと種子の播き方で、非常に近接して播かれているものがありますね。スポンジだとたぶん後で間引きが厄介そうなので、早めに間引くといいかと思います。もう一つ、ただの水ではなく養分を含んだ水を使うので、藻などが発生する可能性があります。それ自体が害になることは少ないのですが、必要な肥料分のバランス崩す可能性もありますので、心配な時にはお知らせ下さい。

 そしてそして、今回栽培のメインテーマは「酵素肥料」と「ミドリムシ利用」でしょうか。どちらも予想ができない、非常に興味深いテーマです。

 昔、植物栄養学では「植物に必要な無機元素、いわゆる窒素・リン・カリウム、及びマンガンマグネシウムホウ素などなど......」が真っ先に研究されました。それが植物栽培の基礎になったものです。今でもそれが最重要項目で、肥料の配分を決めるものです。

 ところが次に、例えば同じ窒素肥料でもアンモニア態と硝酸態で吸収や利用が違うことが分かります。引き続き、何と「有機物質」である糖やアミノ酸を植物が吸収し、役立てることが判明してきます。

 そして現在...... 学問の進歩は早いもので、特に「根圏微生物」について分かり始めたところです。驚いたことに微生物は根の近傍に存在するだけではなく、根の表皮内部まで入り込み、いろんな作用をしているようなのです。根の方でも盛んに栄養分を撒き散らして微生物をいわば養っているんですね。

 もう一つ、根の回りの物質を、植物は単純に利用するだけではなさそうです。一種の「情報交換」、周りの植物や虫の様相を情報として利用する可能性がありそうです。

 というわけで、ひと昔前なら酵素肥料などあまり学問的ではないとされてきましたが、トピックとなりえる可能性があります。

 ミドリムシもその可能性の一つではないでしょうか。投稿記事ではミドリムシの「培養液、つまりミドリムシの代謝産物を使う」のか、あるいは「ミドリムシを破砕して細胞内容を使う」のか、はたまた「生きたミドリムシをそのまま使う、つまりハツカダイコンとの生物的作用を使う」のか、判然をしないのですが、ともかく面白そうです。

 学問の世界ではえてして「とりあえず試してみる」というのを軽視して、「メカニズムをしっかり探求する」のが学問的、と見られる傾向があります。しかしそれはもう古く、これだけ学問の広がりがいっていまうと、とりあえず試すという実験はいわゆる「スクリーニング」という言葉で表現され、重要性が格段に増してきています。それは遺伝学などの農学分野、製薬などの医療分野、それどころか合金や触媒などの工学分野に至るまで概念が浸透してきました。

 さあこの実験がどうなるか、こちらも大変楽しみです。

 高校時代最後の初夏あるいは盛夏で、やっておくべきこと、楽しむべきことが大いにあると思うのですが、こういった栽培実験をしていくのも一興です。ありがたいことですね!

 ではまた......

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ラボスタッフ・オガタ