早くも問題発生~「徒長」と「種子と光」~(理:伊東功平)
2025年10月15日 (水)

CONTENTS
1.近況報告
2.ダイコン絶好.....
3.キャベツ絶好調!
4.ホウレンソウ...!?
5.反省
1.近況報告
この頃、急に寒くなってきて大学でも長袖を着ている人が多くなった気がします。私はそもそも朝に弱く、その上寒いとますます起きられません。まだ冬本番ではないですが、すでに起きれない日が増えています。(´;ω;`) 一方でそんな朝の寒さに負けずに芽を出し、成長している植物には頭が上がりません。さて、上の写真は最近僕が釣ってきた魚です。僕は趣味で釣りをしているのですが、船で青物を釣りに行ったのは初めてでした。ヒラメやサバなどのおまけの魚もいますが、どの魚もみんなこれから寒い冬を超えるために丸々太ってさらに大きくなっていきます。野菜たちも魚に倣ってどんどん大きくなってほしいです。思った以上にいいサイズが釣れて、冷蔵庫の半分くらいが魚で埋まってしまい(至福)食べきれるか不安でしたが寿司、照り焼き、ぶりダイコン、カルパッチョ、漬け丼、から揚げなどいろんな料理にしていくうちにあっという間になくなってしましました。その中でも特に美味しかったのはブリカマの塩焼きでした。普通の塩焼きでは味わえない触感や味が楽しめるので機会があれば是非食べてみてください。(^・ω・^)b
2.ダイコン絶好.....
ダイコンは嫌光性種子のため発芽に光は必要ないそうです。そのため靴箱の中で育てました。ダイコンは5号植木鉢と3.5号植木鉢の両方に植えようと考えていたので用意した種は多めにしました。2日目の時点で17/48の種子が芽を出し3、4日目にはなんとすべての種子が芽を出していることを確認できました。ダイコンのパッケージには土に植えた場合の発芽までの日数が3~5日、発芽率が85%以上と記されていたので想像以上の発芽種子が観察できました。4日目には負の重力方向に胚軸を細長く伸ばす様子が見られました。順調かと思いきや、オガタさんのコメントを見てとても焦りました。
Day5:ダイコン![]()
そうです、もうコメントを見た時点でダイコンの根が2~3cmほど伸びてしまっていたのです。根毛も生えてきており、下のキッチンペーパーにくっついていました。![]()
それでも何とかキッチンペーパーにあまりくっついておらず、根毛も残っていそうな苗を厳選しました。
苗の配置はパッケージによると条間20~25cmと記載されていましたが、鉢が小さいため、過去のブログを参考に4か所に等間隔に植えました。植え方も根の部分を植えるだけでは茎や葉の部分を支えることができそうになかったので深植えを行いました。何とか持ち直してくれるか心配ですが、しばらくは室内で育てて照射時間を長くすること、水やりは植木鉢から水が漏れないように少なめにすること、芽に軽く触れて刺激を与えることでなるべく徒長することを防ぎたいと思います。徒長終了の判断は双葉が開いた時点にします。
そしてこれが8日目のダイコンの様子です。土に植え替えたときは深植えしたとはいえ不安定な様子でしたが少しずつ上に上に伸びていこうとしている様子がうかがえました。不安定な苗に関しては土寄せをしてあげると安定しました。正攻法かわかりませんが、これで様子を見てみます。そしてキャベツの双葉と比較して気づいたのですが、同じ8日目にしてダイコンの双葉はキャベツの双葉よりも閉じているものが多かったです。おそらく、ダイコンは発芽の時点で徒長させすぎてしまったので徒長を促進させるジベレリンやオーキシンの影響がまだ残っているのかもしれません。
3.キャベツ絶好調!
キャベツは好光性種子のため光を当てて発芽させました。5号鉢に新たに買ってきた培養土を入れ、育てることとしました。こちらもコメントをいただいた時にはすでに発芽していたのでドキッとしましたが、幸いにも根は1cmに満たないくらいでほとんどがキッチンペーパーに干渉していませんでした。
これが苗の様子です。
苗の配置は狭すぎず広すぎない3cm間隔で植えましたがキャベツは特に大きくなりそうなので間引きをして最終的には1つの苗を残したいと考えています。
そしてこれが8日目のキャベツの様子です。土に入れ替えた5日目よりも約2.5cmほど伸びていました。ダイコンよりも成長が早くどの苗も順調に育っています。キャベツに用いた培養土は最初にいただいた土よりも吸水しにくいが、水分保持しやすい特徴があるので水を与えすぎないように注意したいと思います。また、写真からもわかる通り苗がみな同じ方向に傾いています。これはキャベツを育てている場所が朝しか日が入らないためその朝日の方向に向かって伸びているものです。地形上仕方ないことなので一日おきに鉢の向きを180度回転させてまっすぐ育つように調整したいと思います。
4.ホウレンソウ...!?
ホウレンソウなのですが、好光性種子だと思いこんでいたため光にあてて育てていました。しかし「ホウレンソウの育て方」のホームページによる発芽日数の5日を経ても一向に変化はなく、心配になって調べてみるとほとんどの記事でホウレンソウは嫌光性種子であるとされていました。しかし中には好光性でも嫌光性でもないとする記事もありました。いろいろな記事にを読んでみましたが嫌光性種子であるとする説が有効そうです。とりあえず身をもってホウレンソウは嫌光性種子だとわかったのでダイコンと同様に靴箱の中で発芽させることにしました。
これが靴箱に入れてから4日目(Day8)の様子です。3日目の時点では14/26個の種子が発芽していましたが4日目には22/26個の種子が発芽しました。発芽率は約85%で、パッケージに記載されていた発芽率も80%以上とされていたので順調です。すでに二つだけ根が伸長していたのでキッチンペーパーに干渉しないようによけておきました。
Day9:ホウレンソウ
そしてダイコンやキャベツの教訓から根が少し出たくらいで鉢に植え替えました。苗の配置は過去のブログを参考にして条播きしました。この上に培養土を1cmほどかけて発芽を待ちたいと思います。
5.反省
まずダイコンについては発芽してから植え替えを行うことにしていましたが、根が出た時点で植え替えを行うべきでした。これを機に、根毛が下地に張り付いてしまうことは致命的であることを学べました。またホウレンソウについてはちゃんと種子の性質を調べるべきでした。
今回は出来事が多く、少し長文になってしまいましたが、もう少しコンパクトな記事を書けるようにしたいです。
(参考記事です)
コメント
伊東さんこんにちは
先ずは驚きが多かったですね今回の投稿!
釣りが趣味! 若い人ではちょっと珍しいというのが一つ。そして仙台近辺でも船で行くとこんなに丸々とした魚が釣れるのか! というのが一つ。そもそも仙台で釣り船が出てるんですね! そして釣った魚を自分で食べていること、しかも料理の工夫までしていることが驚きです。
そういえば仙台ではハゼ釣り(岸壁や河口で)のシーズンなのですが...... これがあんまり釣れないんですよ...... というか年々釣れなくなっているような気がします。七ヶ浜や塩釜まで行っても......エサのアオイソメが無駄になります。きちんと潮見をして、スポットも探せばいいのでしょうけど......
はてさて、本題の植物栽培なのですが、これははっきり言うと失敗しています。きちんと「好光性種子」「嫌光性種子」を調べて、対応しているのはさすが理学部と褒めるべきなのですが......
ダイコンについて、鉢に移すのが遅いのは投稿中にある通りです。まあ、根毛の損傷はリカバリーできる範囲内でしょう。ただ暗所でここまで胚軸が伸びてしまっていては、エネルギーの損耗が激しく、リカバリーが大変です。本当なら播種をやり直した方が早そうな気もするのですが、最近になって気温が急激に下がってきたことからやり直しもタイムロスのリスクがあり......このまま続けるのがベターでしょうか。
市販のスプラウト食品(カイワレでもブロッコリースプラウトでもシソスプラウトでも)は、種子の持つエネルギーをちょうどうまく使い切る長さまで成長させています(そうしなければ分量がとれない)。つまりスプラウトを見れば種子の持つエネルギーが分かります。そう思って見れば、投稿画像のダイコンたちは種子エネルギーの多くを使ってしまっていますね。
ただまあ褒めるべきポイントもあります。鉢に移した際の個数は悪くないと思います。また、胚軸の伸びに対して深植えという対処をしたのも素晴らしいことです。後で土寄せすることも必要なのですが、先ずはしっかり固定しなくてはいけません。
さて、続けて注意事項があります。先ず「芽に触れる」のはやめた方がいいでしょう。植物の接触感知システムの応用なのだと思いますが、それを適度に行うのは難しく、ここは素直に止めるのが一番です。
次に徒長を防ぐのに「過湿を避ける」のも正しい考えなのですが、「一回に与える水の量は変えない」ことが重要です。過湿を避けるのはあくまで「水やりの間隔、言い換えれば日数」です。鉢土から水が出なければ、いろんな意味で良くないことが起こります。鉢土空隙に含まれる空気の入れ換え(酸素供給)、肥料残渣成分の洗い流しなど......最大の問題は「鉢土内部の水分量が把握できなくなること」です。よほど植物栽培に慣れていなければ、そのリスクを冒さず、一回に充分水を与えて下さい。
そして最後に、大問題があります。
それは「光量」です。毎年決まったように罠にはまる学生がいます。結論から言えば「屋外で、太陽光を浴びせて」下さい。室内は人間の目には明るくとも日光に比べれば桁二つ以上の差で暗いのです。
植物実験では光量(すなわち照度)は、「光量子の数」である「マイクロアインシュタイン」という単位で表され、それに対して一般的には人間の眼の特性に合わせた「ルクス」という単位で表します。ここでは簡便的にルクスを使いますが、明るい部屋でもルクスで言えば500ルクス程度です。これは大多数の植物にとって光補償点にも達しません。対して直射日光は100000ルクスはあります。
それで人間が500ルクスで充分なのは、人間が光を「情報」として使っているからです。せっかく理学部の学生なので詳しく言いますが、例えば「音の大きさ」は人間は対数として感知します。すなわち音の大きさが10倍になれば、人間にとって「2倍」、音の大きさが100倍になれば人間には「4倍」にしか感じません。ウェーバーの法則というやつです。それは人間は音をエネルギーとして使っているわけではなく、情報として処理するので、対数処理の方が都合がいいからです。ちなみにこの性質のおかげでコンサートの「ソロ楽器」も「大人数合奏」もきちんと聞くことができます。
味覚について言えば「受容体数および親和性」でもう感覚の上限が決まっています。例えば適度に使えばよい煮干しを、これでもかとどんどん増やしていってもうま味が増えるわけではなく、かえって苦みなどの雑味が増えるばかりです。
そういう例と同じように、光もまた人間はエネルギーではなく情報として適切に扱う、つまり非常に優れた絞りシステムで光量に対応します。まあ、まとめて言えば「室内の明るさなど無視して、あくまで太陽光で栽培すべき」なのです。
ついでに言えば「夜間の室温の高さ」もまた問題になります。園芸学的には夜間温度は非常に複雑に作用するのですが、ありていに言えば夜間温度の高さはエネルギーの消耗に直結します。低いほど良いという単純な話ではない(化学合成量や、生理的成長調節作用もあるため)のですが、ここは屋外の方が安全でしょう。
さて話を戻します。
キャベツの方も徒長気味ですね。向きを真っすぐにするため回転する、といった丁寧な扱いは褒めるべきなのですが、ここはなるべく日当たりのいい屋外に場所を移しましょう。
ホウレンソウについて、それほど発芽時の光量はセンシティブではありません。このまま様子を見ましょう。そもそも「好光性」「暗光性」は植物の成長戦略の一環であり、どちらか一方に偏っているわけはないのです。他の草が被っていて暗い環境であれば発芽しても枯れるから、光がなければ発芽しない、あるいは逆に土から出ていて明るければ土が直ぐに乾いてしまい発芽しても枯れるので、光があったら発芽しない、そういった戦略の使い分けの結果です。ちなみに種子が土で囲われているかどうかの検知は光だけではなく二酸化炭素濃度などの還元環境で検知したりします。
さあ、今後の投稿も期待します。
充分長文が書けているものと思います。また、参考記事の出典も明らかにしているところはさすがですね!
むむむ、「ペヤング」はペアでヤングという意味だったのでは...... ペヨングとはいったい何の......韓流か?
ラボスタッフ・オガタ

