平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

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植物新種誕生原理植物新種誕生原理

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研究経過

【プレスリリース】ジベレリン受容体の進化の全貌を解明ー酵素を起源とする誕生から双子葉植物における多様化までー(上口班)

July 31, 2018 4:00 AM

Category:研究成果

main:上口班

名古屋大学生物機能開発利用研究センターの上口(田中)美弥子准教授らの共同研究グループは、植物の成長ホルモンであるジベレリン受容体GID1の誕生から多様化までの進化の全貌を明らかにしました。

植物の成長ホルモンであるジベレリンの受容体GID1が、様々な植物(コケ、シダ、裸子、単子葉、双子葉植物)の中でどのように変化していったかについて調べました。植物の進化過程で、GID1は原始シダ植物が出現する際に誕生し、誕生以降もジベレリンとの結合する能力を獲得し続けました。そのことが、不活化ジベレリンと新しい親水性のジベレリンの誕生のきっかけとなったことをin planta、in vitroの実験を通して明らかにしました。また、裸子や単子葉植物は、概ね1個のGID1受容体なのに対して、双子葉植物はA、B型の2種類に大別される複数のGID1を利用していました。A型は、主に地上部で、B型は地下部で働くとともに、B型の一部はジベレリンに感受性がより高いことを見出しました。そのため、感受性の高いB型GID1を持つ双子葉植物において、冬などの悪環境では、低濃度のジベレリンを合成して地上部の成長を抑制しつつ地下では根の成長を続けるといった環境適応性を身につけたと考えられました。

名古屋大学プレスリリース

<発表論文>

Evolution and diversification of the plant gibberellin receptor GID1.

Yoshida H, Tanimoto E, Hirai T, Miyanoiri Y, Mitani R, Kawamura M, Takeda M, Takehara S, Hirano K, Kainosho M, Akagi T, Matsuoka M, Ueguchi-Tanaka M.

Proc Natl Acad Sci U S A. 2018 Aug 1. doi: 10.1073/pnas.1806040115.