研究経過
植物受精卵を用いたDNAおよび選抜マーカーフリーなゲノム編集法の確立
April 6, 2019 5:35 AM
Category:研究成果
main:岡本班
受精卵は胚・次世代個体に至る全能性細胞であることから、多くの動物において、ゲノム編集生物作出のための標的細胞とされてきました。今回、岡本班の戸田らは、理研、徳島大などと共同で、イネ受精卵を用いた新たなゲノム編集手法を確立しました。
下図1のように、in vitro受精系を用いて作出したイネ受精卵に、Cas9タンパク質−gRNAリボ核タンパク質(RNP)をPEG-カルシウム法により導入しのち、それら受精卵を発生・再分化させることで高い効率(4-64%)でゲノム編集イネが得られました。
今回確立された手法は、コムギ、トウモロコシ、オオムギなど受精卵の単離・作出・培養が可能な他の植物にも適用可能であること、および、この手法で作出された植物体は遺伝子組み換え規制の対象外である可能性が高いことから、基礎的研究に加えて育種などの応用面での利用も期待されています。
<発表論文>
Toda E., Koiso N., Takebayashi A., Ichikawa M., Kiba T., Osakabe T., Osakabe Y., Sakakibara H., Kato N., Okamoto T. (2019) An efficient DNA- and selectable marker-free genome editing system using zygotes in rice. Nature Plants, 10.1038/s41477-019-0386-z