平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

平成28年度文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究

植物新種誕生原理植物新種誕生原理

Nagoya University Live Imaging Center

研究経過

【プレスリリース】花粉数を制御する遺伝子を発見~精細胞を減らすことが自家生殖種では有利という進化理論を実証~(瀬々班、土松班)

June 8, 2020 2:08 PM

Category:新聞発表・メディア報道, 研究成果

main:土松班, 瀬々班

横浜市立大学 木原生物学研究所 清水健太郎 客員教授(チューリッヒ大学 教授兼任、瀬々班)、千葉大学 土松隆志 客員准教授(東京大学大学院理学系研究科 准教授兼任)、新潟大学 角井宏行 特任助教(前横浜市立大学 特任助教)らの研究グループは、名古屋大学、ドイツ、オーストリアの研究機関を含む国際的な共同研究で、植物の花粉数を制御する遺伝子RDP1を同定しました。

 

 また、ゲノム編集を用いて系統 (品種)間の量的な形質のわずかな差を検出する方法を確立しました。RDP1遺伝子の系統間でのわずかな機能の違いを、この方法により定量的に示すことに成功しました。さらに、ゲノム配列中の変異の頻度を系統間で比較することにより、自家生殖する植物では、精細胞の数つまり花粉の数を減らすことが有利になりうるという進化生物学の理論を裏付けました。

 

花粉の数を制御することは、効率的な交配のために花粉数を増やしたり、花粉症への対策のために花粉数を減らしたりといった実用化が期待され、農学的な視点からも医学的な視点からも注目を集めています。今後、本研究によって同定されたRDP1遺伝子を利用して植物の花粉数を制御する育種技術の開発が期待されます。

 
※本研究は『Nature Communications』に掲載されました。(日本時間6月8日18時付オンライン)

 

pollen.png

図 シロイヌナズナの花の構造 (左)と雄しべのアレキサンダー染色画像(右)。

生きた花粉が紫色に染色されている。野生型と比較するとrdp1変異体の雄しべ内の花粉が顕著に減少していることが観察された。

 

 

<発表論文>

Adaptive reduction of male gamete number in the selfing plant Arabidopsis thaliana

Takashi Tsuchimatsu*, Hiroyuki Kakui*, Misako Yamazaki, Cindy Marona, Hiroki Tsutsui, Afif Hedhly, Dazhe Meng, Yutaka Sato, Thomas Städler, Ueli Grossniklaus, Masahiro M. Kanaoka, Michael Lenhard, Magnus Nordborg and Kentaro K. Shimizu (* は共に筆頭著者)

掲載誌: Nature Communications DOI: 10.1038/s41467-020-16679-7

 

 

〇詳細はこちらをご覧ください> 横浜市立大学プレスリリース

 

 

本研究の成果がメディアにも取り上げられました。

ぜひご覧ください。

 

〇にいがた経済新聞(2020/7/5日付)
https://www.niikei.jp/38278/

 

〇日経産業新聞(2020/7/17日付)

 

S__8912909_02.jpg

にいがた経済新聞との取材の様子