研究経過
【プレスリリース】「柿」の全ゲノム解読 ~ 植物における「性の進化」のヒント(赤木班)
March 2, 2020 1:09 PM
Category:研究成果
main:赤木班
岡山大学大学院環境生命科学研究科の赤木剛士准教授は、このたび、カリフォルニア大学デービス校、かずさDNA研究所、京都大学の共同研究者とともに柿の野生種の一つであるマメガキの全ゲノム配列を解読しました。
さらに、赤木准教授らの研究によって既に見つかっていたカキ属の性決定遺伝子「OGI」や「MeGI」が、カキ属の進化に特異な「全ゲノム倍化」から生まれたものであり、本来は性に関与していなかった遺伝子が新しく性決定遺伝子に変化する進化のメカニズムを明らかにしました。これは、本来は両性花を着花する植物が、どのように性別を手に入れたのかを紐解く手掛かりになるものです。また、本研究で解読された柿の全ゲノム情報によって、「甘柿と渋柿の違い」や「干し柿・生食柿の適性」といった、私たちにも身近な柿の性質にもゲノム情報からアプローチできるようになると期待されます。
図:カキノキ科/カキ属特異的なゲノム・遺伝子倍化による性決定遺伝子の成立
本来は性決定に関与しない遺伝子が、Dd-αによる倍化によって分岐し、片方が適応進化として積極的にメス化の機能を有するMeGIになった。さらに、その後の遺伝子倍化によって分岐が起こり、片方がオス化機能を獲得してOGIとなった。(出展:岡山大学HPより)
本研究成果は、日本時間2月29日(土)午前7時、米国の科学雑誌「PLOS Genetics」に掲載されました。
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<論文情報>
Akagi T, Shirasawa K, Nagasaki H, Hirakawa H, Tao R, Comai L, et al. (2020) The persimmon genome reveals clues to the evolution of a lineage-specific sex determination system in plants. PLoS Genet 16(2): e1008566.