東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(工:杜邦)

2016年1月20日 (水)

初日の出は福島の霊山に行きました。その時の写真です。

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こんにちは、工学部一年の杜邦です。

余裕を持ちながらレポートや最終発表をするつもりでしたけど、怠惰すぎて、気が付いたらもう締切直前で、最終発表はおろか、レポートもまだ一回足りない状態になりまして、これは何という失態でしょう...

今回の最終発表は先生の質問を回答する形式で行いたいと思っています。

(1) 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、意外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明して下さい。これまでのプレゼンに使ってないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

この三ヶ月ぐらいの栽培活動の過程で、ほうれん草の茎折れや徒長など、予想外の大変なこともありましたけど、「最初に想像していたよりも、大変だったこと」というなら、やはり「スプラウト栽培」でした。

小学生の時、緑豆を発芽させて、土壌の中で栽培したことがありました。その時、緑豆の成長が驚くほど順調で、大成功でした。今回のスプラウト栽培を始めた時、以前にように簡単に成功できるのでしょうと思いましたけど、現実は完全に相反しました。一回目は、根にカビが付いて、失敗しました(中間発表)。カビ防止が不足しただけだと思って、ちゃんと栽培容器を清潔して、段ボール箱で光線切断をして、第二回栽培を始めましたが、残念ながら、同じく失敗しました。その時、やっと、「スプラウト栽培はそんなに簡単ではない」ということを認識して、栽培失敗の原因も、不当操作や防カビ不足以外、必ずまだ何かがあることを知りました。そして、落ち着いてから考え直して、「発芽して、根毛が出たのに、種がまだうまく固定されていない」という点を気付いて、その点から、カビ防止も含んで、栽培条件を「ティッシュ」から「滅菌ガーゼ」に変えて、やっとうまくできました(レッドキャベツの栽培報告)。

以上とは逆に、「意外とうまくいった」ことと言えば、「発芽の最初段階を過ぎてからの栽培」だと思います。レッドキャベツは二回失敗しましたが、第三回の栽培ではある程度正しい栽培法となったためかもしれませんが、根がガーゼを突き抜けて、種が固定されてから、レッドキャベツの成長速度は非常に早くて、しかもあまりの関心も必要なし、毎日の水やりや日照を維持するだけで、楽に栽培成功しました。ほうれん草も、鉢に移動してから、子葉の発芽成功率は60パーセントで、成長速度も理想だとは言えませんでした(十月十九日までのいろいろ)。十分な日照がなくて、茎折れまで徒長しましたが、過度の水やりをやめ、日照時間を確保して、さらに支柱を立てて、成長状況は正常となってから、驚くほどの勢いで成長し、その維持も週1~2回の水やりや日照時間の確保しかありませんでした。栽培の最初、種が弱くて、関心を払う必要がありまして、ある程度まで成長すれば、植物自身の抵抗力が強くなり、楽に栽培できようになるにも当たり前のことだと思います。授業の中で、植物が害虫にやられた人もいましたけど、私がそのようなことと会わなかったのも、運が良いのだと思っています。

(2) シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どの様なところに波及効果があったかを実例を入れて説明して下さい。

「植物の観察眼」というのは、「植物の日々の成長を観察し、植物の異状や面白い特徴、独特な姿を見だし、「当たり前なことだ」ではなく、「なぜそうなるのか。裏の原因は何だろうか。」と思考しながら、自分しかできない経験を得る能力」だと思いますが、一眼見ると、「波及効果がある科目」は「実験科目」しかありませんと思ってしまいました。「もし自然科学総合実験は第二セメスターにあればいいなー」と悔しく思いながら、何を書けばいいのかと悩んだ恥ずかしい経験談もありました。深く考えると、実は、「観察眼」は実験でしか使えないものではないと思いました。「観察眼」は、実験のデータだけではなく、日常生活の日々起きたことや、美術作品や歴史文物を鑑賞するときもすごく役に立つのだと思っています。

例えば、今この展開ゼミ以外、私がまたいくつかの展開ゼミをとっています。その中で、「ギリシア・ローマ美術と仏教美術~神々の変容を追う」という展開ゼミがあって、レポート作りための資料には、古代のコインの図像がいっぱいあります。大体西アジアから発見された古代コインなので、描かれた神の姿は通常認識のギリシア神とは結構違いがあります。(似ているのもありますけど、ほとんどは違っている。)最初は「なぜ刻まれているのはこの神様だろう」と思った時がいっぱいありましたけど、「観察眼」を育てながら、観察力も上がり、だんだん細かい部分を気付いて、さらに自分が学んだ神についての知識と連携して、「あ、確かにその神だ」と納得するようになりました。また、名前が分からない彫刻や絵を見るときも、細かい部分から、その作品が描いている物語を推測できるようになりました。

(3) 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということでたいへんだったこともあると思いますが、逆に、毎日の観察をすると言うことで、どの様なことが身についたのか、感じたことなどを、まとめて下さい。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

恥ずかしいですが、私は毎日ほうれん草とレッドキャベツの成長状況をチェックしていますけど、詳しい測量や写真撮りは、時々忘れまして、気が付いたら、ほうれん草とレッドキャベツは順調に成長していますけど、記録がほとんどありません。図々しくてそれを「毎日の観察」と言っていますけど、「毎日のチャック」でしかありません。「やはり、「観察」と言えば、細かい部分まで目で見る以外、「記録」するのも大事なことですね」と、今は報告を書きながら、自己反省しています。そのような不完全な「毎日の観察」に中で、身に付いたのは、(2)にも書いた、目でよく「観察する」能力です。実は授業だけではなく、日常生活でも非常に役に立つのです。社会で発生したニュースや日常生活の出来事に対して、衝動に自分が聞いたことだけですぐ結論をするのではなく、よく自分の手にある情報を読んで、見過ぎやすい点を見だし、落ち着いて分析することもできるようになりました。そして、感じたのは、毎日溜まっている微小な成長は、いつの間に大きな成果にはなれるということです。これは語学勉強には、とても大事なことです。毎日の単語覚えや練習は、とても大事なことだということを理解しました。また、中国にもある熟語で、「万事開頭難」(すべてのことに対して、始まりが一番難しい)ということを栽培の過程で自分の身で体験しました。
 (4) 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかと言うことも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察して下さい。

この展開ゼミを通って、「文章を書く能力」の確かな向上を感じました。このゼミを通った前、私は日本語ができないわけでもありませんし、時々長い文章も書けますけど、その長い文章は、「心の中で湧いているものを書きだす」ことだけでした。あまり主題との関係が深くなく、ロジック的な間違いがないとも言えません。しかも以前よく「文章の攻撃性が高い気がします」と言われました。正直、一見見ると長い文章ですが、役に立つ情報が少なく、実は非常に甘い文章でした。一方、あまり感情が湧いていないテーマに対して、いうこともなく、目標の字数を達成するために、かなり苦戦しました。このゼミを通ってから、「文章を書くとき、いつも考えて、情報を分析し、内容を精錬すべきだ」ということを勉強しました。そして、いろいろなテーマに対して、個人的な感情がなくても、手にある情報を詳しく分析し、このゼミで身に付いた観察力で自分なりの結論ができ、書く価値がある内容もいっぱいあり、「何を書けばいいのか」など悩んだことも少なくなりました。そして、理系の文章に対しても、データの分析や過程の文章表現も、少しずつできるようになり、まだ足りないともいますが、この勢いで行けば、論文を書く必要が来るとき、ある程度の準備ができるはずだと思います。
 (5) 以上の(1)~(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どの様に活かすことができるか。さらには、まだ、収穫していない作物を今後、どの様に管理したいかを記して下さい。

正直、大学に入った時、初めて、「卒論は英語で書く」ということを聞いたとき、驚きました。「卒論の書き方も分からないし、しかも英語、どうしよう」と何度も心配したこともありましたけど、このゼミで得た「観察力の向上」、「記録の大事」、「文章力の向上」、「日々の努力の必要」などを、心の中で一個一個チャックしながら、これからの生活に対しての自信もできました。日々の努力で英語力を高め(具体的には単語の憶えや英語文章のリーディング)、文章力の高め(今はまだ日本語の文章を書いていますけど、良い文章を書く骨が同じですので、英語の文章を書くことにも役に立つはずと思います)で、将来の挑戦のために、今から頑張りたいと思います。

ホームページでは、収穫と試食の報告が前にありますけど、今の時点では、実はまだほうれん草とレッドキャベツを収穫していません。(最終発表を先に書くようになりましたけど...)今度、ほうれん草とレッドキャベツを収穫してから、空いていた鉢に、他の植物を植えてみたいと思います。今は多肉植物を栽培するつもりです。初心者向けの多肉植物があれば、先生から推薦していただけると幸いです。まだ、余ったレッドキャベツの種で、もう一度レッドキャベツの栽培をしたいと思います。

2016年1月20日 朝

コメント

工学部・杜さん

 遺伝の渡辺でございます。杜さんも栽培には苦労されていましたね。観察すると言うことは、理系の実験において重要なわけでなくて、日々の生活を含めて、いろいろなところで大事ですから。それをしっかり学んだのは、よいことだと思います。それから、その観察を記録しておくこと、それがもっと大事ですね。単に写真を撮ると言うことでなくて、その写真から何が違いと思ったのかを記すことです。

 日本語、英語、いずれも母国語でない分、大変だと思いますが、その時、大事なのは、母国語でしっかり物事を考えて、表現をする力だと思います。まず、母国語力をあげて、日本語、英語の表現力を身につけて下さい。

 残った種子があると言うことは、是非、また続けてみて下さい。暖かくなった頃に。あと、多肉植物は、花屋さんにたくさんあります。それのどれがよいかも、この講義の経験として、自分の目でしっかり見て、選んでみて下さい。

 わたなべしるす

旧展開ゼミ