東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

豆苗前編(農:春日幹雄)

2017年1月17日 (火)

今回は豆苗前編です。今まで一切触れてこなかった豆苗ですが、一ヶ月ほどかけて育てていました。既に育ちきっており、収穫も済んでいます。育成と平行して記事を書き、コメントをいただきそれを参考に植物をより良いものにするというこの授業の意味は失われており、単なる夏休みの自由研究のような形になってしまいましたが、興味深い結果が得られたので大変自分勝手で恐縮ですが記事を書かせていただきます。


11月13日 12時頃 最高気温19度 最低気温5度 室内気温21.5度
連日、最高気温が一桁になるほど冷え込んでいましたが、天気予報で13日からとても暖かくなると知りこの日を狙いました。
豆苗、すなわちエンドウ豆の発芽適温は18〜20度なのに対し育成適温は15〜20度と、発芽するには暖かい日が良いと判断したからです。(参考:http://www.atariya.net/yasai/endou.htm)
よし、さっさと発芽させようと思ったら、種を水に浸さなければならない......(参考:http://www.bunchoya.com/tomyo.htm)
その日のうちに準備できて、すぐに発芽すると思っていました......泣く泣く水に浸します。
その前に種の観察です。
大きさは7ミリ程度。タイヤのような形をしており、その側面に凹みがあります。約40粒でした。
春日幹雄 1/17 1枚目
プラスチックのコップに水を入れ、そこで浸します。
春日幹雄 1/17 2枚目
入れて数分で気泡が出てきました。
13日ほどではありませんが、14日も暖かいのでまあなんとかなるでしょう。

さて、種からの豆苗と平行してスーパーの豆苗も育てたいと思います。育成速度の差を調べようと考えました。
春日幹雄 1/17 3枚目

長さ20センチ、根は1.5センチでした。豆苗部分をばっさり切ります。

春日幹雄 1/17 4枚目
脇芽を残すように切りました(参考:http://www.murakamifarm.com/myouken/s/grow/technique/#where)
上手く切ることができず、少し脇芽が残っていない部分もありますが......。写真では分かりにくいですね。

切った後は3センチになりました。横には12センチ、縦には6センチです。

器はこちらのサイトに似ているものを使っています。元々は温野菜をレンジで作れるというものです。
水は1センチ程度入れ完成。窓際に置きました。

11月14日 9時頃 室内気温20度
昨日に引き続きとても暖かいです。良かった良かった。
種はくぼみがなくなりました。大きさは変化していませんでした。
春日幹雄 1/17 7枚目
種は固く、くぼみをなくすのには相当な力が必要だと考えられます。それだけ水を吸う力が強いということでしょうか。
さて、育て始めます。と思いきや、少し工夫をします。
僕の2回目の記事の内容を覚えていますでしょうか。祖母から鉢植えを貰い、辛味大根を間引きしたものを植え替えて比較実験をしたいと書いています。
このとき考えていたのは、水をあげるのではなく違う液体をあげるという比較です。この鉢植えにしきりを作り二つ植え、元のものは水で、そしてこの鉢植えではまた違った液体をあげようと予定していました。
しかし、しきりを作るのが難しい、雨で結局水を与えているなどの理由で断念しました。
そこで考えついたのが豆苗を利用した比較実験です。ということで、こうなりました。

春日幹雄 1/17 5枚目
 春日幹雄 1/17 6枚目
プラスチックコップを五つ買ってきて、そこに折りたたんだキッチンペーパーを敷いて、それぞれの液体を注ぎました。
まず一枚目は左から麦茶、米のとぎ汁、コーヒーで注いだものです。
麦茶(原材料名:六条茶)とコーヒー(原材料名:コーヒー)はコンビニで買ったものです。どちらも香料や砂糖が入っていないものを選びました。
米のとぎ汁は白米一合に対して水300mLでといだものです。僕のとぎ具合で濃度は多少変わってしまいますが、水と米の比率は一定にしました。
豆苗が全く育たないと面白くないため育ちそうな液体を三種類選択しました。この三つは家庭菜園で肥料に使われたりしていますので育たないことはないかなと。
二枚目はどちらも水です。この二つも比較実験したいと考えています。
なお、コップの底の直径は5センチでした。水には種を7粒ずつ、他のものには9粒ずつ入れました。
どうなるか楽しみです。麦茶味やコーヒー味の豆苗ができたら面白いですね。

11月15日 24時頃 室内気温14度
  春日幹雄 1/17 11枚目
なんと1日半で全て発芽しました。
コーヒーでも麦茶でも上手く発芽したように思えますが、これは水に浸したときの吸ったものを利用しているのかもしれません。
水ではなく、それぞれの液体に浸しておけば良かったです......不完全な比較実験になってしまいました。
さらに少し気になることが。キッチンペーパーに完全に染み込んでいるので、液体を完全に入れ替えられません。
水なら多少入れ替えなくても大丈夫かもしれませんが、コーヒーや米のとぎ汁はこのままだとキッチンペーパーごと腐りそうです。
そこで少しリフォームしました。三角コーナーにかぶせる網ネットがありましたのではさみで切って開いて一枚にします。
そしてコップに被せてガムテープで固定し、種を網の上に置きます。
そして液体を注ぐ。この日はお試しということで水で育てているものを一つ、この方式に変えてみました。
上から見た写真
  春日幹雄 1/17 8枚目
横から見た写真
  春日幹雄 1/17 9枚目
なんということでしょう。こうすることで、簡単に完全に液体を入れ替えることができます。観察もしやすく、写真も撮りやすいです。写真が撮りやすいというのは独りよがりな観察に終わらせないという大変重要な意味を持つと思ったので、ガムテープの貼り方などでそこは工夫しました。
では、とりあえず一日置いてみます。

11月17日 24時頃 室内気温15度
20170118000443-a3d317b632a41dc8692ac4807170239f8b1cadcc.JPG
いい感じに安定しています!豆苗の力強さはとても凄く、根で網を突き破っています。張り切って他のものもリフォームしましょう。
ガムテープでは作業が難しいので両面テープを買ってきました。
これでガッチガチに固めれば粘着力も問題なしですね。
ではプラスチックコップのリフォームです。また、見た目をすっきりさせて観察しやすくするために網は丸く切り取ることにしました。
不器用ながら作業すること一時間......。このようになりました。
  春日幹雄 1/17 10枚目
左のコップのピンクの丸は、米のとぎ汁だということを示しています。水と液体の色が似ているため、間違い防止用です。
なお、豆苗は
水6.5センチ
麦茶 米研ぎ 5センチ
コーヒー2センチ
に成長していました。コーヒーは少し伸びが小さいですね。ですが色などの様子はあまり変わっていないので、成長速度が遅いだけなのかもしれません。
では、これらにダンボールを被せ暗室にして保管して準備完了。ようやくスタートラインです。

以上で前編は終わりです。更新遅れて本当に申し訳ありません。残りの記事の下書きはほとんど済んでいるので、最終発表は期日に間に合いそうです。では、残り数日ですがよろしくお願いします。

コメント

春日さんこんにちは。

 豆苗の実験ですか。結果も予想つきませんが、やってみて下さい。

 まず、始める前に、実験の意図と予想をしなくてはなりません。条件設定には温度・水・種・栽培法・光など様々考えられます。この場合、水の質を考えたということですね。

 先ず、自由研究とサイエンスの大きな違いは、「見たいものを純化して」実験系を組むところです。水のpH、元素、浸透圧などどれを見たいかで、できうるかぎり他の要素を排除するのです。この場合、とぎ汁や麦茶など何を見たいのかはっきりしません。

 手に入れられる材料の関係でこうなるとは思うのですが、実験意図が見えにくいということです。もしも、生長促進あるいは抑制ではなく、匂いや味が変化するのを意図するのであれば、もっと違う系になります。コーヒーに絞って、できるだけ濃いものと濃度を変えるとか。

 観察する項目は、文章から見ると生育形態ですね。ちょっとそれも難しいとは思います。

 何か違いがあったとしても、そこから考える後へのつながりも難しいですね。

 私などがみれば、コーヒーのカフェインはcAMPを介する細胞内情報伝達系の促進因子であるし、コメのとぎ汁は発酵すればアンモニア態窒素の供給かな、とは思います。

 後編、何を考察するか期待しています。

 ラボスタッフ・オガタ