東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

最終発表(文:渡辺義宣)

2017年1月17日 (火)

こんにちは。最終発表の前にほうれん草の現状報告と豆苗の収穫を載せたいと思います。20170117153822-d4f133f23ddc297775ae6e634118cf992e9fcd90.jpg1月15日7:30

ほうれん草はとてつもなく大きくなり、50cmにまで伸びています。調べたサイトによると、ふさふさしている所は雌花です。ほうれん草は雌雄異株で、雄花がないと、一本だけでは子孫を残せないようです。20170117154011-d53ee876afae6e1c5832ca605330e6c90ccb04e1.jpg

続いて豆苗です。日に当てたのは1904分。収穫は12日7時30分です。20170117154232-5c4a76cdcf448ab9a99874b4e48cc8304718e1f1.jpg20170117154300-1391c19d7f090000a023709b46dcfeba1f277941.jpgのサムネイル画像昨日の残りの豚汁に入れて食べました。シャキシャキしていてすごく新鮮でした。生まれて初の豆苗だったのですが、あまりおいしいとは感じられませんでした。ネットで調べてみる限り育ちすぎて美味しくなくなるということはなさそうなので、もしかしたら私は豆苗が苦手だったのかもしれません。...複雑な気持ちです。


続いて最終発表に入ります。

1. 植物、作物の栽培を行って、最初に想像していたよりも、たいへんだったこと、逆に、意外とうまくいったなと言うこと、という栽培について、感じたことをこれまでの発表のHPを引用(link挿入)するなどして、説明してください。これまでのプレゼンに使っていないような写真があれば、それを掲載してもOKです。

 まず大変だったことは、毎日の観察と世話でした。やることが多く朝早く家を出て夜遅く帰る日だと、水をあげるくらいしか余裕が無かったり、植物のことすら忘れてしまうこともありました。観察自体はそこまで時間がかかるわけではないのですが、成長の変化が見られない日が続いたりすると、次第に観察の丁寧さが失われてきたり、一日くらい見に行かなくてもいいかなと思って観察しなかったり、継続の難しさを痛感しました。

 もう一つ大変だったことは、店先で売られているような、きれいな姿に栽培することの難しさです。環境だったり自分が世話に慣れていないこともあり、徒長だったり茎が折れてしまうことに苦しめられました。20170117154540-ade51145c2de622bbb0447320fb1fb699993dafb.jpg20170117154845-87856c6666304b3fb83bd4bfd37ccd2bba53cc3a.jpg特に水やりの加減がわからなく、初めの頃は2日に一回くらいの頻度でやっていましたが、それも植物にとっては徒長を誘発するよくないことであるとわかり、中間発表以降は割り箸では地の中の水の量を確認しながらやるようになりました。想像していた以上に植物をきれいな形に育てることが難しく、私の育てたものは到底売りに出せるような見た目ではありませんでした。その中で感じたことは、農家の方が日頃どれだけ苦労して野菜を育てていたのかということです。もちろん仕事としてやっているので管理の時間は多く取れ、形の良いものをたくさん収穫できるとは思いますが、それでも自然環境や災害によっては全部だめになってしまうことも多いと聞きます。形が悪いとすぐ売れなくなってしまいますが、それにも農家さんの思いが詰まっているんだなあと感じました。

 反対に、意外とうまくいったことは、育て方が下手でも、枯れずにちゃんとおいしく育ってくれたということです。水やりを忘れていてクタクタにしおれかけていることが何度もあり、焦りましたがそこからでも急いで水をあげれば次の日には元気になってくれました。慣れない栽培だし、形も悪かったりと、あまり味もよくないのではないかなと心配でしたが、試食してみると、ちゃんと美味しくなっていてくれました。どんなに育て方が下手でも、最低限水と時々の肥料を怠らなければ、植物は勝手においしくなってくれるんだなと感じました。


2. シラバスにも書いたように、植物の観察眼を養うことを目的としていましたが、それ以外の科目などへの波及効果もあったのではないかと思っています。どのようなところに波及効果があったのかを実例を入れて説明してください。

 私は文系なので、何かを観察する機会がほとんどないのですが、波及効果があったことといえば、とりあえずわからないことがあったらきちんと調べるようになったということです。初めてゼロから野菜を育てるということで、主にネットから、後半は同じ受講者の投稿からも情報を得てきたんですが、なにぶん育てるのが野菜で、下手したら枯れてしまうこともあるので、知りたいことを調べるにあたっても、複数の情報を得て正しいことを確認してから参考にするようになりました。これまではレポートを書くときなど、知りたい情報が1つの文献で見つかったら、それでおしまいだったんですが、最近は一つの文献だけではなく、複数の文献で根拠をとってから参考にすることが多くなりました。植物という命を預かることで私の中に責任感が芽生え、今後レポートや論文を書くにあたっても非常に大事なことを得られたなと思います。


3. 他の展開ゼミとは異なり、実質、「毎日が展開ゼミ」ということで大変だったこともあるかと思いますが、逆に、毎日の観察をするということで、どのようなことが身についたのか、感じたことなどを、まとめてください。これまでの発表のHPを参照してもOKです。

 身についたなと思うことは、観察するとき細かく詳細に見るようになったことです。育て始めた頃は、成長も早く変化もわかりやすいので、詳しく観察しなくても書くネタには基本的に困りませんでしたが、大きくなってくると成長も穏やかになり、だんだん変化が見えづらくなってきて、書くネタに困るようになりました。だから植物の変化に少しでも気づけるように、自然と植物を詳細の細かく観察するようになりました。また目で見るだけでなく、触ったりして少しでも多くの変化に気づこうとするようになりました。おかげで書ける文章の量が増え、かえって書くネタの多かった初期の頃より文章量は増えた気がします。

 さらに、継続力と忍耐力はだいぶ身についたと思います。今まで4ヶ月世話をし続けるのはすごく大変なことでした。私はだいぶ継続力が無いと自負していたのですが、それでもこれが授業だということ、ほうれん草をなんとか収穫したかったこと、日々成長している様子が見られたことなどが私をここまで続けさせました。そして投稿記事を書くにも、書くスピードが遅く、書いているうちに日をまたいでしまうことや、最初は記事の書き出しをこんにちはにしていたのに、投稿する頃には書き出しをこんばんはに直さなければならないことが多くありました。途中で保存して次の日書いてもよかったんですが、一度で終わらせたくて、やり続けることができました。

 また強く感じたことは、やはり植物の生命力の強さです。 ほうれん草においては、あそこまで大きくなるのかというくらい巨大になりました。もはや食べられないくらいにまで成長してしまったんですが、普通に食べられる形態と、花を咲かせて子孫を残すことができる形態とで見た目が大きく違います。やはり花を咲かせるとなると茎も太くなるし、肥料も与えていないのにぐんぐん成長していきました。ドラゴンボールのセルが最終形態に進化するときみたいでした。子孫を残す父母はたくましくなるもんですね。

 そしてほうれん草でも豆苗でも、種子が自立する様子を見たときがすごく印象的でした。土の中に植えられたときは、周りの土を支えにして上に伸びることはできるだろうなあと漠然と考えていたのですが、いざ何の支えも無く根の力だけで直立するの見ると、とても驚きました。物理のことはよくわかりませんけど、あんなふうに下に根を張り、根一本で立つのはすごく難しいことなのではないかと思います。生まれたときからこんなに力があるなんて、植物の生命力はすごいものです。


4. 大学の講義の中でも、かなり、異端の講義形式になっていますが、このゼミ形式で文章を書いたり、それをいかにプレゼンするかということも学んだのではないかと思います。それらを踏まえて、文章を書くという点で、ゼミ開始前とあとでどのような変化があったか、考察してください。

 ゼミを始める前は、気軽に何でも記事に書いて投稿していいし、楽しそうだなあと思っていました。でもいざ記事を書く段階になると、書く内容をあまり思いつかず、非常に困りました。見やすい文章にしないといけないと思い、客観的に書くことばかり心がけていて、平坦な文章になってしまいました。だから最初の頃は記事を書くことが少し苦痛でした。でも中間発表以降、いろんな人たちの記事を読むと、文面からみんなの感動が伝わってくるし、自分も感じたことなどを文章に反映させていくようになりました。そうしていると、これは私が文学部だからかもしれませんが、自分が思ったことを書くことができることの楽しさを味わえるようになりました。もちろんすべて主観的に書いては観察に客観性が失われてしまうので、観察は観察で客観的に書くことを心がけてきました。このゼミをやる前までは、学校関係の課題やレポートなどは、書くことに喜びを見出せなかったのですが、このゼミをやって、課題などに書く喜びを見出せるようになりました。


5. 以上の(1)~(4)を踏まえて、この展開ゼミで学んだことを、大学での活動を含めた日々の生活に対して、どのように活かすことができるか、さらには、まだ収穫していない作物を今後、どのように管理したいかを記してください。

 このゼミでは、週に一回投稿することを目標としていたのですが、植物を育て、さらにその観察結果を記事にして週一回のペースで投稿するということは、思った以上に大変でした。いつ水や肥料をあげて、いつ記事を書いて投稿するか、たまに家を空けるときは、帰ってくるまでに土が乾いていないだろうか、だめそうなら家を空ける日の朝に水をあげようとか、何日も先読みしておかないと野菜もだめになるし投稿も滞ってしまいます。これを教訓に今後は先を見据えて計画を立てて行動するし、勉強においてもそれを実践していきたいと思います。

 そしてやはり一番このゼミで身についたのは、文章を書く力です。私は文型なので、今まで理系的な文章を書くことがあまり無かったのですが、ここでは毎日観察し、その内容を結構な頻度であげていたので、理系的に客観的に文章を書く力が養われました。またこのゼミでは10回以上投稿をしていますし、経験もだいぶつきました。この作業を続けられたのも、野菜を食べることができるという楽しみなゴールがあったおかげです。このゼミで得られた文章力は、今後大学生活を続けていくうえで、レポートや論文を書くことはもちろんのこと、社会人になって役立つので、今期からどんどん活かしていこうと思います。

 最後に、まだ収穫を終えていないほうれん草に関してですが、もう食べることはできないと思うので、これからは純粋に育てたいと思います。実際にどこまでいくか見てみたいですし、あれだけ大きくなったほうれん草を捨ててしまうのは、なんだかとてももったいないのです。とりあえず春休みに実家に帰るまでは育ててみたいと思います。

コメント

文学部・渡辺さん

 遺伝の渡辺でございます。豆苗はうまく収穫できたようですね。おいしくないとありますが、どちらかというと少し加工するというか、火を通すとおいしくなるのだと思います。マメが大きくなったと言うことから考えると、モヤシのようなもので、モヤシは、火を通した方がおいしいのではと思いますので。まだ、残りがあれば、ぜひに。あと、ホウレンソウ、これは、前にも書いたとおり、室内の光の影響で花成誘導が起こり、抽苔したものですね。雌株でしたか。完全な雌雄異株というのではなくて、中性のものもあったような。昔、蔬菜園芸学というので、習ったような気がします。農学部の3年生の頃に。手元にそのノートがなくて、細かいことをコメントできないのですが。。。

 前置きが長くなりました。最終発表についてです。栽培面では、ずいぶんと苦労をしたのは、これまでの投稿記事からもよくわかります。1つ大事なこと。11/19(土)のところにホウレンソウがよくできていて、食べていますね。ホウレンソウの味もすると。この状態で、光条件がよければ、おいしいホウレンソウになっていたのだろうと。少しかわいがりすぎて、おうちの中に入れたのか、何かだと思いますが、これが抽苔、開花という敗因になった分岐点のような気がします。そんなターニングポイント。歴史にもたくさんあるように、色々な事象にもあるのだと思います。これから文学を学ぶに当たり、そんなことを考えてみるのがよいのでは。どうでしょうか。

 正確な情報、責任感というのは、何においても大事ですね。文系理系を問わず。ただ、文系でも観察することは、きっと必要になってくると思います。何を専攻するに夜かも知れないですが。きっと。。生長が遅くなってきたときに、触覚という部分を使い始めたこと、大事ですね。五感をフルに活用すること、そんなことがこのゼミから学んでもらえたのであれば、幸いです。継続力植物の生命力というのは、これまでの最終報告でも書いていた方がいましたね。生長の様子をドラゴンボールの「セル」にたとえているのがよいですね。セルは、Cellから名前をとったのだと思います。まさに、生命体の根源のようなものですから。普段のレポートを書くと言うことに対して、喜びを見出せるようになったというのは、こちらとしては、望外の喜びですね。文学部と言うことを抜きにしても、これから先、文章を書くことは大事ですから。これからも何かの形で文章を書くことを続けてもらえれば、このゼミでつけた力を継続できると思います。

 最後の項目の先を見すえて何かをする力。大事ですね。渡辺は、どこかにも書いたかも知れないですが、〆切は〆切と言われた日に行うというように心がけています。なかなか難しいですが。。。そうすると、やりたいことがスムーズにできるような、そんな気がします。ホウレンソウ、そうですね。ちょっと食べるのは難しいですね。この後、どうなるのか、ぜひ、継続してみてください。セルのような大きな変化はないかも知れないですが。。。ということで、また、どこかでお目にかかれることを楽しみにしておりますので。。。


 わたなべしるす