東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

[04]いい日旅立ち(理:植木優)

2018年10月 7日 (日)

こんにちは。低気圧のせいで片頭痛に悩まされて悲鳴をあげています。理学部3年の植木です。本日も芽の成長を観察していきます。


【日数=4】 10月7日(日曜日) 

最高室温/最低室温=26.6度/24.3度 (23:40~15:07) 

最高気温/最低気温=29.3度/19.8度 (15:07~22:50)

 

 

【観察1回目】 6:24 室温24.6度 相対湿度72%

 

日曜なのに朝早いねと思われるかもしれません。ただ健康的なのではなく、単純に7時から部活があったため早起きせざるを得なかったためです。

 

04a.jpg

◎1回目の観察時におけるシャーレ内の様子

              

          

サラダ菜の芽のうち、1つだけ変な色をしているのが気がかりですが、芽が昨日よりも成長していることがわかります。

また、ブロッコリーの種子の発芽は16個のうち15個で確認できました。

 

04b.jpg◎1回目の観察におけるスプラウトの様子

              

               

スプラウトも白い芽の部分が目立ち、ほぼすべての種子が発芽しているように見えます。

昨日同様、このまま部活動に赴きます...。

          

         


           

【観察2回目】 14:22 室温26.1度 相対湿度50%

1回目と同様に、観察を行いました。

       

04c.jpg◎2回目の観察におけるシャーレ内の様子

       

          

芽がかなり長くなっています。これはもう移植する頃ではないでしょうか。

と、いうわけでここでかわいい(種)子には(外へ)旅をさせろと言いますから、外の鉢へ移植させることにしました。

その前に、スプラウトの様子も見てみましょう。

      

04d.jpg◎2回目の観察におけるスプラウトの様子

        

        

やはり窮屈そうです。学科の芋煮で余った紙コップをもらってきたので、こちらに移植します。

       


   

さて、芽の成長について観察していきます。

     

04e.jpg◎サラダ菜の芽。約12.4mm。

   

         

04f.jpg◎ブロッコリーの芽。 約5.6mm。

         

           

04g.jpg◎ルッコラの芽。 約8.2mm。

       

       

まとめると、以下のようになりました。

         

04k.jpg◎芽の成長をまとめたグラフ。種類によって大きく差が出た。

          

         

このように、個体差によって異なりますが、最も大きく成長したものを基準にとって芽の成長を記録すると種類ごとに差がでました。

発芽直後に急成長するもの、2日目以降に成長するものなどの種類の差なのか、種類ごとに容器を分けたため生育環境に差が出たのか、様々な原因が考えられます。植物の成長の記録は今後もとっていく方針です。

          

         


        

さて、シャーレ内の種子の旅立ちということで、本日15:07、部屋の中から部屋の外へ引っ越しさせました。

       

          

04h.jpg◎15時7分、引っ越し直後の様子。

       

みるみるうちに温度計の数字が上がっていき、気温は29.2度に。10月にしては異例の25度を超える環境下は逆に秋冬野菜に悪影響を与えるそうなので、少し心配です。

     

なお、厳密な指標ではないながら参考までに記録しておくと、太陽光下にて照度センサは75,286luxを記録しましたが、ベランダでは日陰になりわずか840luxにまで低減することがわかりました。何かしらの対策が必要となってきそうです。

また、防虫ネットをかぶせても798luxまでの低減にとどまり、光の95%を通すことがわかりました。

                            

前々回記事で述べた通り、この2つの植物は光を好むため、土を5mm程度の浅めにかけ、子葉が出てくるのを見守ることにします。

                

04i.jpg◎土をかぶせました。このまま待機。

       

               

最後はしっかりと水をやり、防虫ネットをかぶせました。植物が成長したら、ネットをワイヤーで張るなどして成長の妨げにならぬよう工夫していきたいです。

         


   

本日はここまで。ごきげんよう。

コメント

植木さんこんにちは

 偏頭痛とは大変ですね! トリプタンでも使われているのでしょうか。

 さて、温度の記載、そして発芽率の記載が細かくていいですね。

 測定されておられるのは正確には芽ではなくて根の部分だと思います。しかし、これをきちんと測定し、表およびグラフにしているのは科学的に素晴らしいことです。まあ、移植して成長を始めたら平均などを出して統計的に物が言えたらいいですね。

 室外の温度について、この程度の気温差は植物にそんなに影響はありません。今は多少高いくらいの温度でスパートをかけておいた方がいいです。お渡しした種類は播き時がもっと夏に近いのです。確かに発芽適温は20~25℃ですが気にしないで下さい。

 光の強さは正式にはマイクロアインシュタインという単位になります。よく使われるルクスというのは人間が見た目の明るさのことです。つまり人間に明るく見える波長かそうでないかで補正が掛けられたもので、エネルギー量ではありません。植物の光合成は人間の目とは違いますので当然ルクスでは合わないんですね。概算でいえば、大体ルクスを60で割ればマイクロアインシュタインになります。

 まあ、手持ちの照度計がルクス表示なので仕方ありませんね。しかし、そういった数字で計っておられるのは良いことです。日陰と日向の差、それほど大きく違うものです(曇りならもうちょっと差が少なかったはず)。人間の目の絞りが非常に優秀なことが分かります。それほどの光の差をものともせず見ているわけですから。もう一つ、防虫ネットがあまり妨げにならないことが判明したのはいいですね。防虫ネットは光を散乱させますが、吸収はしていないということです。

 種に土を覆うのは、乾燥にさえ気を付ければ5mmもなくて結構です。というより、発芽に光が必要なもの(好光性種子といい、光で発芽スイッチが入る)が含まれてますから。まあ、もう発芽フェーズに入っているので大丈夫だとは思います。

ではまた ラボスタッフ オガタ