東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ハクサイらしくなってきました。1858字(経:阿部遥太)

2018年12月 9日 (日)

ついに12月9日、積雪です。せっかくの初、積雪でしたが写真を撮るのを忘れてしまいました。


左の写真は約一週間前(種まきから51日目)の姿です。右の写真はタケノコハクサイの現在、種まきから58日目の姿です。印をつけた3枚の葉は一週間前には垂直気味でしたが今では水平気味になっています。それによってできた空間に若い葉が垂直気味に生えています。この垂直な若い葉も来週になったら寝てしまうのでしょうか、その繰り返しだと永遠に結球しないのでそろそろ寝ないでほしいですね。

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上の葉をめくって下のほうを見てみると、日光が当たらなくなったせいかしおれた子葉、ところどころ緑が抜けてしまった葉がありました。この症状について調べてたのですが、どうやら白斑病あるいはカリウムの欠乏による症状かと思われます。同ページによると、白斑病はカビの一種を病原として発症するようです。予防法は肥料を切らさないこと、連作は避け、作付け前の夏に太陽熱消毒することだそうです。肥料を切らすと生育が悪くなる、結球しなくなるだけだと思っていましたが、このような害も生じるのですね。白斑病の場合除去する必要があるらしいので、白斑病かはわかりませんが念のため切り取っておきます。カリウムについてですが、リンク先の住友化学園芸のページにその重要性が紹介されていました。(以下同ページより引用)"カリは植物体の直接の構成成分ではなく、細胞液の中でカリウムイオンとして存在し、タンパク質や炭水化物の合成・移動・蓄積など植物体内の様々な化学反応を促進する補酵素として働いていると考えられています。また葉からの水分蒸散の調節などにも関わっており、根や茎を丈夫にし、病害虫や寒さに対する抵抗力をつけるのにも役立っています。通常、植物を栽培する場合は必ず肥料として必要になる「三大要素」のひとつです。 "とのことです。トライコームについてもそうですが、生き物が育っていく上では1つのものがたくさんの機能をもっており、それが様々な箇所や場面に機能しているということを改めて感じました。引用文からわかる通りカリウムは植物にとって重要なのですが、だからと言って与えすぎもよくないということをこのページから知りました。カリウム同様に成長に必要な機能を果たしているマグネシウムカルシウムの不足につながるのだそうです(リンクはそれぞれの働きについてのページに飛びます)。植物を栽培するときに肥料がほどほどでなければいけない理由はこんなところにもあるのですね。肥料の種類によってそうでない場合のあるのかもしれませんが。

 ちなみに、腐って細菌やカビが発生するかもしれないのでしおれた子葉も切り取りました。


切り取った葉を観察します。前回の記事で教授から頂いたアドバイスを参考にし、今後切り取った部分や解剖した個体の写真を載せるときは白い紙を敷くようにします。木製の床に置いていた時と比べると植物の色が際立ってとても見やすくなりました。

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 大きい葉は白くなってしまったところ、また、透明になってしまったところがあります。このように色素が抜けたところでは、網目状の葉脈が綺麗にみえました。

子葉は白くも透明にもならず、黄色く変色しています。植物が黄色に変色する場合、原因として「日照不足で光合成ができない」、また、「カリウム不足」ということが挙げられるようです。この場合どちらなのでしょうか。あるいは両方なのでしょうか。一番下にあるので日が当たらないのはもちろんなのですが、もしかしたらハクサイはもう何の役にも立たない子葉には栄養を行き渡らせないのではないかとも思いました。


栽培環境についてです。

・日照条件:日に当たっているのは午後3時、4時の間までです。

・水やり:現在は鉢の底から溢れる程度の量の水を、3~4日程度の間隔で与えるようにしています。土の乾燥は見られないので同様のペースで様子を見ます。

・気温はここ数日は最低気温が5度前後、最高気温が10度前後です。(気象庁のhp参考)

前回のご指摘の通り、私の自宅付近の気温と掲載されている塩釜市の気温には若干のずれがあります。気象庁のページには12月8日24:00にマイナス1.6度とありましたが、同日の23:48、自宅の外の気温は-2度でした。

・強風によって鉢が動かされたことはないのでこのままベランダに放置しようと思います。


コメントへの対応

いただいたアドバイスの通り、解剖した写真には白い紙を敷くことにしました。


以上で終わります。今回の記事の文字数:1858字

コメント

阿部さんこんにちは

 非常にプレゼンが見やすいですね。ポイントを指し示したのと同時に対比しています。

 確かに葉が寝てきています。というより葉の伸展と共に寝てくるという普通の成長ですね。言われる通りこれだと結球しませんから寝ないでほしいものです。まあ、この葉の枚数ではまだ結球のステージには遠いですね。逆にこの大きさで結球したらミニミニハクサイになるでしょう。

 さて、植物をよく観察して白斑に気が付きました。そうやって見てあげるのが何よりも栽培に大切なことです。

 結論から言えば、カリウム欠乏とは考えにくいです。カリウムは植物内で移動しやすい元素であることから、その欠乏の害は下葉、そして葉の縁に出ます。植物に重要な部分である成長点に近いところへ集約して守ろうとしますから。この場合は場所に関係ない白斑ですね。

 ちなみにカリウムの役割は調べて頂いた通りです。肥料の三大要素の一つですね。施肥の特徴としてはリンなどと違い、特に保肥力の強い土でなければ簡単に水に溶けて流れ去ってしまいます。逆に言えば施肥で随時追肥しておかなくては不足します。リンであれば元肥にたくさん入れれば追肥にはあまり必要ないのですが。

 カリウムを与え過ぎると確かにカルシウムなどの欠乏になりやすいのですが、これはそんなに多いパターンではありません。理屈としてはカリウムを根から取り込んだり運んだりする作用が、カルシウムのものと共有するところがありますので競合してしまう、というものです。

 白斑のクローズアップも非常に見やすくて助かります。断定はまだできないのですが、白斑病やべと病の可能性があります。例年はあまり病害は目立たないのですが、今年は暖かく、小雨の日がこれまで続いたからでしょうか。枯れるまで蔓延することは少ないと思いますが、この斑点が大きくなるか増えるか見て下さい。葉を切り取ったとしても、胞子は完全に除去できたとは限りません。

 そしてこれからはそういう変化を見たら、形式は問いませんから早めに教えて下さい。本当に病害でありいち早く除去すべきものか、少し進行を見て判断すべきものか考えますので。成長が盛んな時期であれば多めに除去すればいいだけのことですが、今は葉の一枚でも惜しい時です。

 子葉については枯れても不思議ではありません。子葉の役割は本葉を育て、軌道に乗せることですからもう枯れてもいいのです。時期になれば子葉の成分は分解され、リサイクルして使える物質は成長点へ向けて輸送されます。つまり積極的な枯れ、ですね。

 栽培条件はよく分かりました。日照、水、温度、風ですね。塩釜近辺でもけっこう気温低いです。私も先日松島に行きましたが寒くて辛かったですね。

それでは

ラボスタッフ オガタ