[65日目]ミズナ、ブロッコリーの追肥など(1521字)(農:八巻慶汰)
2018年12月 9日 (日)

さて、北海道ではすでに高く降り積もっている地域もありますが、仙台でも昨日8日に私が住んでいる地域では初雪がみられ、少し雪がかぶっている部分もそこらにちらほらとありました。ベランダにはまだ積もる様子はなさそうですが、早めにビニールシートなどで覆う準備をしておこうかと考えております。
今回は主に前回のオガタさんからのコメントを受けて、早速行ったミズナとブロッコリーの追肥に関しての報告です。
12月4日[59日目] 13.7℃ 34%




ミズナは葉が6㎝ほど、高さは11㎝ほどに成長し、葉数も増え、青々と生い茂っています。
ブロッコリーも葉は5㎝ほどで、高さは11㎝を超えました。ここで追肥を行います。
まずミズナは、表面に2か所、小さめに穴をあけ、頂いた肥料を一つまみずつ入れ、土をかぶせました。
ブロッコリーも同様に表面に3か所肥料を埋めました。小さい植木鉢ではありますが、両方とも株元からできるだけ離れた場所に埋め、根が痛まないようにしました。肥料を過分に与えると窒素過多によるうどんこ病や虫害などの原因になるそうなので、今後は様子を見ながら控えめに行っていこうと思います。
12月7日[62日目] 11.2℃ 30%




肥料を植えてから3日目ですが、ブロッコリーはそのまま、ミズナは気持ちハリができ、植物体が立っているように感じられます。成長の度合いは4日とほぼ変わらずといった感じです。ブロッコリーは4枚目の本葉が出てきています。花蕾が芽生えるまでまだまだかかりそうです。本葉の重なりが著しくなってきたら数株間引きをし、最終的には一株に絞りたいと考えています。
今回追肥を行ったわけですが、ここで前回頂いたコメントに肥料には「アンモニア態窒素」と「硝酸態窒素」を主成分とした二種類のものがあるらしいとのことで、少し調べてみました。株式会社ミズホのホームページによると、イネやブルーベリーなどはアンモニア態窒素を好み、ダイコン・カブなどの多数の野菜は硝酸態窒素を好むそうです。微生物による消化作用はアンモニア態窒素→亜硝酸態窒素→硝酸態窒素の三段階で行われ、多くの植物は硝酸態窒素の形で根から吸収するため、硝酸態窒素は即効性、アンモニア態窒素は緩効性となっています。
興味深いのが、土壌はマイナスの電荷を帯びているため同じマイナスの電荷を持った硝酸態窒素(NO3-)は流出しやすく、アンモニア態窒素(NH4+)は流出しにくいというところでした。そのため、作物に用いられるのはほとんどが硫安や尿素などの「アンモニア態窒素」の肥料です。大量に水を上げる必要のある野菜はアンモニア態窒素の方が効果的ですが、あまり雨が降らない地域、かつあまり水の供給を必要としない作物であれば、硝酸態窒素型の肥料を用いると大きなアドバンテージとなるかもしれません。
次回は今回に続きブロッコリーとミズナの成長経過報告となる予定です。次回もよろしくお願いします。
コメント
八巻さんこんにちは
のっけから面白い情報ですね! 昆虫食、自分がしようとは思いませんが話で聞く分には面白いです。昆虫はそんなに毒のあるものは少ないと聞いています。ただ、人間が忌避しやすいのは、何かの由縁で遺伝的に忌避するプログラムが入っているのでしょうか。
そういえば、片平キャンパスのどこかの研究室の人でセミの炒め物を好きな人がいると聞いたことがあります。動物の生育は、得たエネルギーの多くは代謝として消費され、動物性たんぱく質として再合成され、成長に回されるものは少ないものです。特に恒温動物は体温維持のために多量のエネルギーを熱に変えてしまいます。牛を成長させるために必要な食物のエネルギーは、成長した肉のエネルギーの10倍必要だったかと思います。鶏でさえ3倍程度必要ではなかったでしょうか。
逆に言えば変温動物ならば効率が格段にいいものです。ナマケモノは哺乳類のくせに変温動物なため基礎代謝が低く、一日葉っぱ一枚食べれば保つそうです。まして昆虫のように、解放血管系であれば必要エネルギーはより少なそうなので効率よい変換機になるでしょう。食糧不足になる時代か、あるいは狭い空間しかない宇宙時代には昆虫食も顧みられるでしょうか。核融合を実用化してエネルギーが潤沢になっても、食味はともかく食糧を純粋に化学合成するのは思ったほど簡単なことではないと聞いたことがあります。生物を使うのが順当ですね。光合成効率はわずか数パーセント、しかし化学合成はそれにも及びません。
雪は、仙台では例年12/20ごろに積もったりするものです。今年は早いですね。偶然にも10日前ごろ片平キャンパスで雪虫の飛ぶのを見かけました。雪虫が飛んで雪が降る、俗説と呼ぶべきでしょうが今年は偶然にも一致しました。福島にも雪虫はあるのでしょうか。アブラムシの一種ですが飛び方がゆっくりで捕まえやすく、見た目かわいいものです。全然関係ないですけど捕まえにくいゴキブリは嫌われ、同様に捕まえやすいカナヘビは可愛がられ捕まえにくいトカゲは嫌われます。うちの子の小学生時代、女の子はみなカナヘビを捕まえ、マイカナヘビとして学校に連れてきては紐をつけて散歩させていたようです。私も毎日カナヘビの餌のバッタを捕まえるのに奔走しました。
ミズナは順調で、展開ゼミが終わる頃には収穫になりそうです。ブロッコリーはまだ小さく、またこれから寒さで成長もゆっくりになりますから花蕾までは遠そうです。頑張って下さい。
窒素肥料についてよく調べました。他の受講生へ、良い情報となるでしょう。書かれてあることは全くその通りです。特に補足することもないような気がしますが、いくつか思いつくことを書きます。土壌のマイナスチャージだけではなく、鉱物層の層間への取り込みという形の吸着もあります。交換塩基容量といって土壌性質の大きな項目です。日本のような火山灰土壌は、物理的性質も良く、その容量も大きいので作物栽培には大変適しています。ただしリン酸分を固く吸着してしまうという性質を持っているので、リン酸肥料を多量に用意できることが前提になります。ちなみに肥料の中でも窒素はご存知の通り空気中の窒素をハーバー法で固定化できます。カリウムも手に入りやすいものです。ただしリンは動物糞(コウモリなど)由来かリン鉱石から取るしかありません。そのリン鉱石は現在は良いのですが、将来枯渇が心配されています。ナウルという島はリン鉱石が豊富で、豊かな国でしたが今現在は枯渇し、国家は破綻しました。
窒素肥料は園芸的には根ではなく葉に直接散布するという形式もあります。野菜栽培農家は、窒素肥料のタイミングが食味に大きく影響するのが分かっているので、もう根から吸収を待たずに素早くコントロールできる方を選んだりして工夫しているものです。
そして窒素肥料で、農学部の学生なら必ず知っておかなくてはならないことは脱窒現象です。窒素は周囲の還元電位に応じ、細菌の呼吸の電子供与体として使用されます。すなわち酸素の有無によって、細菌は窒素をアンモニアや硝酸に変化させます。重要なのはその途中、N2、つまり酸化数ゼロ、空気中の窒素分子と同じになる瞬間があります。いったんこうなると普通の細菌ではもうそれ以上窒素を利用することができなくなり、空気中に逃がします。せっかくの窒素肥料が空中に逃げられ、無駄になってしまうのです。この現象を脱窒と呼びます。
報告で感心するのはそういう肥料の性質を知り、その上で自分なりの利用法、アイデアを出してくるところですね。その深みや何かは別として、更に何か工夫が無いか考えるのは大したものだと思います。
ではまた
ラボスタッフ オガタ