東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

黒点出現(経:阿部遥太)

2018年12月19日 (水)

こんにちは。種まきから61日が経過したタケノコハクサイの現状を報告します。

まずは全体の写真(左、種まきから61日目)です。今回も、前回記事に掲載した全体の写真(右、種まきから51日目)と比較します。

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前回、"印をつけた3枚の葉は一週間前には垂直気味でしたが今では水平気味になっています。それによってできた空間に若い葉が垂直気味に生えています。この垂直な若い葉も来週になったら寝てしまうのでしょうか、その繰り返しだと永遠に結球しないのでそろそろ寝ないでほしい"と述べましたが、今回は先週より寝ているということはありませんでした。ですが、結球する気配はありません。

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前回との大きな違いは2点あります。一つ目は、「葉の中心部分の白いところの太さ」です。太くなったといっても残念ながら数値では出せません。前回この部分の太さを計測しておけばよかったなと後悔しています。これからも太くなると思うので、次回の記事では数値で成長を示したいと思います。


二つ目は、「葉の白い部分での黒点の出現」です。これは皆さんもハクサイを調理するときに目にすることがあると思います。できるだけ拡大しましたが見えるでしょうか。

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 せっかくなのでこの黒点について調べました。正体はポリフェノール、原因はストレスだそうです。このストレスとは、過剰な肥料、高温、低温、高密度で畑に植えられてしまった等さまざま。過食を不快に感じ(おそらく多くの人は)、高温低温をを嫌い、満員電車を嫌う人間みたいですね。今回の黒点の原因は低温でしょう。ストレスをかけ続けるのは心が痛むので他の受講生が挑戦しているように、温室を作成しようかと思います。

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最後に、写真を撮っていて感じたこと。印をつけたところを見ていただくと分かると思いますが、古い葉は光沢がないです。どうしてなのでしょうか。インターネットで調べてみると、似たような質問を小学生がしていました。回答には、"アジサイの葉は「光沢がある」と記載されるように濃い緑色でなめらかな表面で、ヒイラギの葉は表面にクチクラと言う一種の脂でおおわれていますのでガラスの表面のようになめらかに光っています。このようになめらかで光った表面はつるつるしたと言いますね。ですから、ザラザラかつるつるかの違いは表面の作りが違うからなのです。"(回答より引用)との記述があります。そこで実際に2枚の葉の感触を比べてみると、確かに光沢のある新しい葉はツルツルとしている一方、古いものはサラサラ(ザラザラ?)していました。表面の作りが違うからというのはわかりましたが、なぜそうなのかはよく分かりませんでした。クチクラは乾燥や病害から葉を守るそうですが、写真の古い葉には十分にないと思います。そういえば、子葉の表面も光沢が弱く、ツルツルではなくてサラサラ(ザラザラ?)でした。子葉や初期の本葉は十分なクチクラを生成する能力がないのでしょうか?もしくは、子葉(初期の本葉も?)は水分を表面に多く保有しているみたいなので、クチクラを利用して乾燥を防止する必要がないのでしょうか?どちらが原因なのかも、どちらも原因でないのかも謎です。


栽培環境についてです。

・日照条件:日に当たっているのは午後3時、4時の間までです。

・水やり:現在は鉢の底から溢れる程度の量の水を、3日に一度の間隔で与えるようにしています。土の乾燥は見られないので同様のペースで様子を見ます。

・気温はここ数日は最低気温が1~4度ほど、最高気温が5~10度です。(気象庁のhp参考)

ハクサイにとってはあまりにも気温が低すぎるのではないかと思い、室内に移動しようかと思いましたが、"室内に移動するのはダメです。光が不足すること、急に温度が変わること、特に夜間の温度が高いと植物は呼吸でエネルギーを消耗してしまい、致命的になります。このまま室外がベストです。"という、小竹さんへのコメントを見てやめました。人間も季節の変わり目など寒暖差が激しい期間は体調を崩しがちですが植物も同様に、環境の急激な変化は体に大きな負担になるんだなと思いました。

・強風によって鉢が動かされたことはないのでこのままベランダに放置しようと思います。


コメントへの対応

異常を発見した場合、記載します。


以上で終わります。(1731字)

コメント

阿部さんこんにちは

 そういえば、英語の試験はどうでしたでしょうか。留学に必要な程度になりましたか。最近では女子ばかり留学するようになってますから、男子学生にも頑張ってほしいところです。

 さて、ハクサイはゆっくりと成長しています。10日開けた写真を比べてみるとよく分かります。ただ結球には早いですね。葉の中央の白い部分、白肋というものをよく見ました。ハクサイでは葉の青いところとこの白肋、いいバランスで入ると鍋にぴったりです。食感がそれぞれですね。どちらもあってこそハクサイです。

 黒い点についてよく調べています。実は私も知りませんでした。ポリフェノールの塊なんですか。黒点といえば、よく柿に黒点がありますが、考えたらあれもタンニン(ポリフェノールの一つ)ですね。

 葉の光沢にそこまで注目しているのも展開ゼミでは珍しいことです。なるほど、写真で見ても新しい葉と古い葉の光沢が違って見えます。ただしここから一歩進めて、葉が古くなったから光沢が失われたのか(つまり時間が経つと光沢がなくなる)、植物が成長したり栽培条件に何かあると光沢のある葉を出してくるのか、どちらなのか考えるのもいいですね。調べるのは簡単、新しい葉の一枚に注目して日数ごとに写真を撮ればいいだけです。

 栽培条件の報告ありがとうございます。その条件なら栽培にそんなに不都合ないですね。もちろん温室で日中温度を高めてやれば生育は良くなると思いますが。

 そして室内栽培について、よく他の受講生のコメントを見つけてくれました。内容はその通りです。室内栽培では光量も足りず、温度環境もむしろ厳しいものです。

 難しいことを言いますが、化学反応というものはゼロ次反応や一次反応などに区分されます。そしてそれぞれ周辺温度と反応時間の対応の仕方が違います。ですから正確には温度と反応時間の対応は複雑です。ただ、概算で言えば「10℃二倍の法則」というものがあります。これは、周辺温度が10℃高まれば、化学反応はおしなべて二倍早まるというものです。概算ではありますが便利なものです。もちろん生物における反応は酵素反応ですからもっとセンシティブなのですが、この法則を使うとしましょう。では、夜間ハクサイが呼吸によってエネルギーを失う量、25℃と0℃ではどのくらい違うでしょうか。考えてみて下さい。

 福島山形で果物が美味しくできたりするのは、盆地で昼間の温度と夜間の温度の差が激しいからです。夜間の無駄なエネルギー消費がありません。

 全然関係ないですが、年一回くらい娘と私で福島市郊外のフルーツラインという街道を行き、果物狩りをしていたものでした。時間を決めて木から取って食べるものです。正直桃やブドウはともかく、梨やリンゴは一個取ればもはや充分ですが、まあレジャーの一環です。時期を選ぶと複数の種類が同時に楽しめますからいいものです。

 そういえばイチゴはそういう盆地ではあまり作りませんね。冬期間の日照が確保できる地域で、促成栽培させるため加温が必要だからです。日照のいい栃木、群馬が産地なのは理由があります。

 更にどうでもいいですが、ブルーベリー、栗、スモモもそういう観光農園があります。シイタケ農園というのもあります。宮城県では存在しませんが、西日本ではミカン農園もあります。以前旅行した際、なんと福井県にミカン観光農園が存在して驚きました。そんな寒さでもできるんですね。

 温暖化が進むと地域分布も変わりそうです。以前は稲は低温に耐えるように育種されてきましたが、最近では高温障害が問題になってきて、福岡あたりではそういう高温耐性の稲に変わっているようです。

ではまた

ラボスタッフ オガタ