東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第十一回報告(法:川崎陽)

2018年12月27日 (木)

どうも川崎です。

もう報告も十回を超え、時の過ぎる速さを感じるばかりです。

冬休みに入り、無事実家に帰ることができました。正月くらいはこちらで過ごそうかと思うので、正月行事等様々な地元のイベントに顔を出してみたりして、旧友たちと会ってみたいと思います。一週間ほどの期間野菜を見ることができないので、心配ですが、今は地元を堪能したいと思います。というわけで、実家の半野生半飼い猫の写真を貼っています。


それでは本題に入りたいと思います。

今回は帰省の関係でいつもの時刻に観察することができなかったので、その点はご了承ください。

日付:12月25日(火)

時刻:13時36分

温度:7度

全体の様子は下記の写真のようでした。

全体を通して

先日、日照量の一番多い場所を探していました。その結果、置ける場所としては2時間半ほど確保できる場が一番長かったです。前回の場が一時間半ほどしか確保できていなかったので、ましにはなったと思います。しかし、しっかりとした時間はいずれにしろ取れているとは思えないので、どうにかしようとさらなる工夫を考えている次第でございます。

では各株について報告に移りたいと思います。

そろそろ新しい写真で作ろうと思いますが、例によって下記の写真の通りにしたいと思います。

① について

前回よりも本葉の大きさがだいぶ大きくなってきています。子葉の形、色が変わってしまっていて少し心配していましたが、今のところ全然問題はなく育っています。しかし、まだ特にデリケートな時期だと思いますので気をつけていきたいと思います。

② について

この株の本葉も順調に育っています。前回の報告では5.5cmに行くか行かないかほどであったのが、今では確実に6cmを超える大きさになっています。新しい本葉の芽も出てきていました。しかし、ほうれん草の栽培において誰もが通る道なのかもしれませんが、とても倒れやすくなっております。このまま上部の重みがますともしかしたらポックリ逝ってしまう可能性もあるかもしれないので、気をつけたいです。

③ について

この株では前回から工夫を施していました。しかし変色してしまった葉は結局枯れてしまいました。そのことについては後々報告させていただきます。打って変わって上位葉は健康そうでした。黄化の症状はみられなかったと思います。しかし、帰宅後どうなっているかわからないので、気をつけたいと思います。

④ について

新しい葉が続々と出てきており、生命力はまだ持っているようです。本葉の大きさは変わっていないのですが、剣葉らしい剣葉もでてきており、成長を感じています。しかし、この株にもついに黄化の症状に見えるものが出てきました。まだ葉先なのでどうにか周りの葉に伝播しないように原因を探っていきたいです。


帰省にともなって、下記の写真のように水を与えておきました(受け皿はこれでも少ないかもしないので写真よりも多めに入れておきました)。水をたくさんあげ、受け皿にも水を入れておきました。植木鉢の穴のあるであろう高さから、大体1〜2cm程入れおきました。これで一週間持つかどうかはわかりませんが、大丈夫なことを願っています。


③、④の黄化について

ネット上様々な記事を巡って調べていきましたが、自分の考えとしてはタキイさんのweb上にあった、欠乏症の可能性が高いのではないかと考えています。周りの人の記事を見るに自分はなみなみと土を入れてしまったこと、序盤に水やりを多めに、というかやり過ぎだったこともあり、肥料が流れてしまったのかもしれません。可能性は低いかもしれませんが、ありえないと言い切ることもできないという状況です。安いph計などで土壌の酸度を調べる等したいと思います。もし、酸性に傾いていたら追肥などでアルカリというか中性に調整したいと思います。追肥するなら苦土石灰とかでしょうか。そういったことが調べても賛否両論だったので、教えていただきたいです。そうしたことがわかるためにも、ph計でphを調べてみたいと思います。


以上で今回の報告を終わらせていただきます。

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コメント

川崎さんこんにちは

 最初にネコ写真、これは手触りも匂いも良さそうです。半野生飼いとは思えないモフモフ感がありますね。そして、なんとも躾の良さそうなネコではありませんか。うちのネコならおとなしくバスケットに入っているはずがなく、私の布団の真ん中を占拠するアホです。

 さて今回の報告は実家に帰ってからのものですね。

 先ずは日照時間、よく探索しました。日光が二時間半あれば生育には支障ないレベルになると思います。むろん、反射板などの工夫はあった方がいいのですが。現在若干徒長気味で、倒れやすくなっています。倒れても折れることはまずありませんが、地際の根のダメージがありますので今回のような紙の補強は面白いものですね。

 葉の黄化についてホームページなどで調べましたか。大事なことですね。ただし、これは繰り返し言いますが、ネット情報というものはとにかく「列挙」が多いものです。可能性をただただ書き連ねるのですね。まるで取り扱い説明書のように。

 問題なのは、ごく普通にあるものと、滅多にないこととが並べて書いてありますのでかえって混乱するのです。例えていえば「せき込む」を調べれば「風邪」から「肺がん」「心筋梗塞」まで出てくるものです。頻度的にはむちゃくちゃ違うものでも書いてあるのです。かえって余計な心配ばかり増やして何の役にも立ちません。ネットの情報はある程度分かっている人間が補足で見るのにはいいのですが、全く予備知識がなければしっかり考えて情報を選択しないといけません。

 今回の黄化に肥切れはまずあり得ません。今回の土はしっかりした育苗用のもので有機質が多く、肥料の吸着が良いものです。すぐに肥料が溶出しません。そうでなくとも肥料不足は多少の生育不良にはなっても葉枯れをおこすことはそうありません。もう一つ言えば、肥料不足が原因とすれば、今回は下葉の方からですので、園芸的には「植物体内を移動しやすい=大事な成長点に集中させられる」元素であることが分かります。そのためカルシウムなどではなく窒素などだと見込みが付きますが、窒素不足にも見えません。

 追肥自体はやってもいいと思います。原則通りの間隔と量で与えて下さい。それと、追肥で土壌pHを変えるのはあまり考えることではなく、今回お渡しした肥料にそのような効果はありません。むしろ肥料分を植物が吸収すると酸性に傾くものです。硫酸アンモニウム、塩化カリウムからアンモニウム、カリウムを取れば硫酸塩酸が残りますね。むろんこれも水に溶けて流れますし、土壌には緩衝能がありますから急激なpHの変化はありません。

 ホウレンソウは確かに土壌の酸性に特に弱い植物なのですが、お渡しした土なら大丈夫です。ついでに言えば後からアルカリの投入はするものではありません。書いておられる苦土石灰(マグネシウム・カルシウムの塩)は追肥には使わず、畑に混ぜて1週間おいてから植物を植えこむくらいなものです。ただ、興味を持ってpHを調べるなら本当に褒めてあげたいですね。測定は高価なメーター式のもありますが簡便な液体型、試験紙型のがあります。正確に出るものではありませんが面白いと思います。

 それでは何が黄化の原因かというとはっきりは判別できません。病害とも考えにくいですね。

 さて今回の報告で最も重要なことがあります。それは帰省時の対策で、私は受講生の多くに鉢の腰水で賄うことを勧めてきました。それは鉢土の乾燥を腰水の吸収によって補うためです。しかしながら今回のやりかたでは全く意味を成しません。深さ1、2cmでは鉢に浸透しませんし、存在する水も少な過ぎます。鉢受けに充分な大きさがなければここは洗面器などを使って水を入れるべきものです。幸いにも植物が小さいため水をそれほど吸い取らないので大丈夫かとは思いますが、仙台に帰ってきたら乾燥を見て水を充分あげて下さい。

それでは

ラボスタッフ オガタ