東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第9回 根!(教:日野原柚葉)

2019年12月31日 (火)

年末ですね。紅白を観ながら記事を書いています。例年、冬休み帰省中の野菜の世話をどうするかがこの展開ゼミのビッグイベントのようですが、私は年が明けてから3日ほど家を空けるだけなので、特に問題ないかなあと思っています。さて、写真のカレーは近所のカフェで食べたものです。おいしかったですね~。海のカレーというメニューで、お肉ではなくメカジキが使われています。値段はカレーにしてはちょっと高いですが、キャロットラペにスープ、ラッシーまでついてくるので大満足でした。次回は森のカレーを食べてみようと思います。

ようやく本題に入りますが、今回はハツカダイコンの根についてだけ書きました。どうして割れてしまうのか、、、?吉田さんも同様に割れてしまっているとのことで、もしかしたらそういう品種なのかもしれないですね。

太さが違う

ハツカダイコンの根

現在4株のハツカダイコンを育てていますが、根が太くて株がしっかりしているもの(上段)と、根が細くて株が安定しないもの(下段)の2種類があります。上段の方がちゃんと土に埋まっていて、下段は根が露出してしまっているので、土寄せの甘かったものは根が細いのではないかと考えました。

割れ目の観察

理由は分かりませんが、ハツカダイコンの根が割れてしまっているのは以前お伝えしたとおりです。前回の記事で、間引いたハツカダイコンを載せましたが、その際に気づいたことがありました。

土付きハツカダイコン

まず、割れた部分は尾形さんの言っていたとおり、中まで割れているわけではなく、むしろ皮がむけるような感じになっていました。もう一つ気づいたことは皮のようになった部分は子葉(写真だと枯れて黄色になっています、、)にくっついていることです。

根②

他の株も見てみると、たしかに子葉の付け根を残して表皮が割れていました。こうしてみると、割れてしまうのは根が大きくなるために必要な脱皮のようなものなのかなと思いました。

子葉が枯れれば皮の部分も枯れると思うのですが、枯れない場合はどうなるのでしょうか?土の下の様子が気になります。また、子葉が枯れるものと枯れないものの違いは何なのでしょうか?

コメント

日野原さんこんにちは

 帰省がそんなに短いんですね。友達と会ったりすれば、すぐに終わってしまいそうです。

 今の人はケータイで身近に連絡を取るのが当たり前になっていますが、実際に会うのはまた違うでしょう。特に女子は会うのが親密感につながるらしいですから。男子の場合は、例えば何年何十年と会っていない「友達」というのが普通に存在しますので会う間隔には関係しないのですが。

 さてうちの娘も帰省してきてますが、寝てばっかりです。気が抜けているのか何なのか......

 冒頭写真、なるほどカフェのカレーなんですね。せっかく仙台住まいなのでお店の発掘もまた楽しいでしょう。次に森のカレーとはいったい...... ワラビとか、熊さんとか?

 全然関係ない話ですが、鹿児島県指宿温泉に行ったことがありますが、そこにジャングル風呂というのがありました。中に入ると「バナナ風呂」なるものがあり、面白いなー、バナナなんだー、と思ってもバナナどころかその匂いすらない! よくよく見ると風呂の形がバナナなだけ! それだけとは逆にすごい! さすがは鹿児島だと思いました。

 さて今回の報告はハツカダイコンですね。最初は個体間の差です。なるほど、根の発達にだいぶ差がありますね。それと土寄せを関連付けて考えるのは大したものです。実際、根がふらふらしていれば発達もしないだろうと想像できますが、私も実験をしてみたことはないのでここで確認できたことは収穫です。

 そして根の割れ、ですね。中まで割れてなくてよかったです。しかしダイコンが脱皮的な発達をすることは想像していなかったことで、興味深いですね。アブラナ科は双子葉植物、細胞分裂をする形成層が輪状です。そう考えるといったいどういう破れができて、次にどういう表皮の再生機構が働くのでしょうか。たぶんダイコンの品質に大きく関わることなので先行研究が多くあるとは思うのですが実際のところは分かりません。

 子葉と結びついて見えるのは、子葉と胚軸部が結びついているところは太らないので、割れがそこまで至らないということでしょうか。子葉が元気かということと、割れた皮の保持とは関係ない気がします。

 そして子葉が黄色くなるならないは、言い方は変ですけどダイコンの考え一つで決まります。養分豊富、日照充分ならダイコンとしてもあえて子葉を脱落させる必要を感じません。しかし、条件があまり良くないと感じれば、子葉の細胞成分を分解し、そのリソースをより生長点に近い上の部分に運びこもうとするでしょう。結果的に大半を分解された子葉は用済みとして最後は本体から切り離されます。これは枯れてしまう、というより植物側の積極的な作戦で枯らす、のです。

 早いもので展開ゼミもあと残り一ヵ月となりました。収穫まで至らなくとも、そんなに世話の手間はないでしょうからハツカダイコンたちを見てあげて下さい。

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 どうでもいいですがこの写真はスーパーで見つけたレア器具です。果たしてアボガドを日常的に切る必要性のある家庭が多いのでしょうか?

ではまた、記事お待ちします。

ラボスタッフ・オガタ