3.かいわれ収穫とトラブル発生(農:佐々木美園)
2020年10月25日 (日)

こんにちは、農学部一年の佐々木美園です。最近は晴れの日が多く、秋の澄み渡った空が心地いいですね。「天高く馬肥ゆる秋」とは、よく言ったものです。
ちなみに画像は、食欲の秋とは関係なしに常に食欲に満ちあふれたキビちゃんのおなかです。明らかにおなか周りがボテッとし始めてますね。聞くところによると、最近はさらに食い意地が張っただけでなく、舌も肥え始め通常のドライタイプのご飯(国産のいいやつ)では満足しないそうです。
さて、そんな馬も人も猫も肥える食欲の秋で、喜ばしいことについに実食に至る作物が出てきました。と、同時にトラブルも発生いたします。まさに禍福はあざなえる縄のごとし、、、。
まあ、気を取り直して本題に入っていきたいと思います。
~目次~
1.生育状況と植え替え
2.カイワレ大根
2.1緑化
2.2収穫
2.3実食
3.まとめ
1.生育状況と植え替え
まず、ミニ白菜ですが前回の記事へのコメントで「大きい鉢にミニ白菜を植えた方が良い」とのコメントをいただいたので、根が鉢全体に広がらない小さい内に植え替えることにしました。根を傷つけないよう周囲の土ごと慎重に移植しました。ミニ白菜の場合は鉢に直播きしたものもあるため、万が一枯れてしまったとしても一応の保険は残っています。
生育の方は順調で徐々に本葉が出てきました。子葉と違ってかなり、しわが多いです。
10月25日 10:59 気温18℃ 17日目
ホウレンソウに関してはやはり一向に芽が出ません。先日、一度種を一粒だけ掘り返してみたのですが根っこのようなものが1mm程度伸びているだけでした。
10月25日 同上 17日目
そして起こったトラブルがこちらになります。ミニ白菜の移植は比較的きれいに行えたのですが、ミックスの方は生育密度のためか、かなり徒長し根付きも弱かったので、うまく移植できずほとんどが横倒れになってしまいました。根もかなり傷ついてしまったため、思い切って1からやり直すことにしました。かなりのタイムロスとなってしまいますが、全部だめになってから判断し直すよりはましだろう、ということでの苦渋の決断です。
10月25日 同上 1日目
2.カイワレ大根
2.2緑化
さて、他の作物ではハプニング等々ありましたがこちらの方はかなり順調に進めることが出来ました。カイワレ大根の最終的な大きさが上の写真になります。大体10cmくらいの長さに成長しました。
10月20日 8:22 室温18℃ 10日目
これを窓際で2日ほど日に当て、緑化させます。
緑化させた結果、このようになりました。写真は10月21日の16:27のものなので、32時間ほどで上の写真からここまで変化しました。この緑色は、北川さんの記事で書かれていた、光合成色素のクロロフィルの合成によるものでしょうが、この短時間でここまで変わるのには驚きました。
2.2収穫
緑化させたところで、早速収穫していきます。まずカップから取り出さなければいけないのですが、逆さまにしたときの写真がこちらになります。
下に詰めたキッチンペーパーは湿っているためともかくとして、カイワレ大根自体も全く落ちる気配がありませんでした。前回、根付きが弱かったかも知れないと書きました、思っていたよりもしっかり根が張っていたようです。だとすると、途中で生育が止まってしまったものは根付きの強弱では無く生育密度など他の要因が関係しているのでしょうか。ひとまずそれは置いておいて、最終的に引っ張り出し、根っこの部分を切り落としました。
2.3実食
収穫もすんだので、早速食べていきたいと思います。ですが、せっかく食べるならばと思い、改めてカイワレ大根の成分を調べてみることにしました。活用したのは、高校時代の家庭科の資料集です。また、カイワレ大根だけだとよく分からないので比較対象として、雰囲気が似ているブラックマッペもやし(スーペーで売っている一般的なやつです。初めて正式名称を知りました。)と個人的に健康にいい野菜No.1と思い込んでいるトマトと比較していきたいと思います。といっても全部比べてもきりが無いので、無機物とビタミンに絞って見ていきたいと思います。
エネルギー | ナトリウム | カリウム | カルシウム | リン | 鉄 | ビタミンA | ビタミンE | ビタミンC | |
kJ | mg | mg | mg | mg | mg | μg | mg | mg | |
カイワレ大根 | 21 | 5 | 99 | 54 | 61 | 0.5 | 1900 | 2.1 | 47 |
もやし | 15 | 6 | 71 | 15 | 28 | 0.4 | (Tr) | 0.1 | 11 |
トマト | 19 | 3 | 210 | 7 | 26 | 0.2 | 540 | 0.9 | 15 |
100gあたりの栄養素が上の表になります。比べてみると、カイワレ大根のポテンシャルがすごいですね!まず、カルシウム量がかなり多いです。調べると、葉を食べる植物はカルシウム含量が多い傾向にあり、カイワレ大根もその一つです(カイワレの場合は芽生えが可食部なので若干異なるかも知れませんが)。また、ビタミン類も多く含まれていることが分かります。あと、以外だったのはビタミンAに関しては100gあたり1900μg含まれているため、カイワレ大根は緑黄色野菜なんですね。緑黄色野菜はビタミンAの含有量が100gあたり600μg以上の野菜です。
カイワレ大根の成分に関してはこんな所でしょうか、見た目に寄らずなかなか栄養価が高かったですね。それではようやく食べていきたいと思います。
収穫したカイワレ大根の一部は添え物に、残りの大部分は卵と豚肉と一緒に炒め物にしました。当初はサラダにすることも考えたのですが、試しに一本食べてみたところ思いのほか苦みと辛みが強く断念しました、、、。炒め物の方は、火を通したこともあり、苦みと辛みが抑えられとてもおいしかったです。味は大根なのですが、若干の青臭さのようなものが特徴的でした。添え物も、シャキシャキした食感がいいアクセントになっておいしかったです。自分で育てたという達成感もいい調味料になりました。
3.まとめ
カイワレ大根の生育第一弾が終わり、少し心に余裕が出てきました。毎日の記録も徐々に習慣付いてきています。ですが、今回多くのハプニングがあり、今後はより迅速に適切な判断をする必要が出てくると思います。いちどやり直しになってしまった分、今後はより一層気を引き締めて取り組んでいきたいと思います。
コメント
佐々木さんこんにちは
先ずは最初の写真、ネコが痩せてる...... 普段私はうちのネコばかり見ているせいか、とっても痩せて見えます。雑種ネコの場合だいたい体重は4~5kgらしいので、測ってみたらよいかと思います。うちのネコは8.3kg、人間にしたら83kgですね。
そしてよく見たら色がいわゆる「サビ色」ではありませんか。黒と茶色の混ざったような。この色のネコがたいがい雌ネコなのは、黒色の遺伝子と茶色の遺伝子があるのですが、これらがX染色体に乗っかっているためです。つまりXXでないと同じ個体にどちらの遺伝子も乗らないということですね。
ちなみにこういうような、染色体の同一部位に乗っている遺伝子同士は「対立遺伝子:アリル」といいます。余計なことですがつい最近、アリルと言わないでアレルと言うように表記法が変わったのですが、普通にはまだアリルと呼んでいます。化学でいうアリルと混同するからでしょうかね。化学でいうアリルとは二重結合を持つ一種の基のことで、対立遺伝子のアリルとは英語の綴りが違います。ついでにもっとややこしいことを言いますがアリールというと全く違った構造になります。
さてネコの話、では何を食べさせているのでしょうか。まさかペットショップで売られている外国産のお高い奴...... でなくてネコ缶のソフトタイプならばあまり栄養薄そうですが......
植物の方はミニハクサイをよく移植できましたね! 実は野菜の中でも特にハクサイは移植を嫌う野菜です。農家で栽培する場合、8月終わりのまだまだ暑い時期に畑に直播きし、生育適温より暑いのですがそこを気を遣って管理して育てるものです。移植するなら根を痛めないよう、土の環境が変わらないようにしないといけません。
数は3つでいいでしょう。いずれは1つにするにしても、今は3つあった方がいいですね。
ホウレンソウがなぜそんなに発芽が遅いのか不思議です。播き足すか様子を見るか難しいところですね。ペトリ皿か単なる皿を使い、種子を暖かいところでしっかり発芽させるまで見てから植えるのも手かもしれません。もし種子が足りなければお渡しします。
ミックスは植え直し、しかしこの気温ならギリギリ行けるでしょう。その苦渋の決断は良かったものだと思います。
カイワレは非常にきれいに収穫できました! ほとんど市販と変わらないくらいの出来栄えですね。わずか短いのもあるようですが、それはまあ何かの環境の加減、あるいは種子自体のバラツキによるものかもしれません。だいたいのものは概算で最終長さ11cmといったところでしょうか。
さてカイワレの栄養価をよく調べてくれました。過去受講生でここまで書かれているものはなかったですね。それをよく見やすく表にされました。カイワレはカルシウムが多いですか。まあ、学年が進むと習うと思いますが、カルシウムは生物にとって主要なイオンであり、またその量が非常に厳密です。人間では血中カルシウム濃度は常に一定に保たれていて、足りなくなると腸での吸収が促進され、また骨からカルシウムを溶かし出して動員します。
鉄分やビタミンAについても意外なほど多いですね。そして何よりビタミンC! 実は種子にはビタミンCはありません。これは発芽の時に一気に酵素が発現し、ビタミンを合成しているのです。昔船乗りが壊血病でバタバタ死んでいった(ビタミンCはコラーゲン繊維の合成に必須、不足すると見た目には歯茎がやられて血を吐いているように見える)ものですが、モヤシを作って食っていれば相当数防げたはずです。この表で見ると、だいたいレモンと同程度のビタミンCのようですね。
ちなみに人間がビタミン類を多く必須とするのは、雑食ゆえに自分の体内で合成する必要がなかったからだと言われています。逆にいうと人間ほどいろんなものを食える動物はいません。これが実は人間が繁栄できた大きなゆえんです。植物は苦み成分や辛み成分や、いろんな物質をわざわざ作り出して防衛手段にしているのに人間はものともせずに食って解毒します。イヌやネコはこうはできず、人間の食物でもイヌやネコに毒になるものはたくさんあります。
さて食レポは美味しそうですね! 料理がとても上品できれいです。置き方まできれいで、まるで料亭です。熱を加えると辛みが抑えられたそうですが、これは辛み成分の合成をする酵素活性を止めたためですね。
ともあれそういう「自分で作ったものを食べてみる」体験はとても大事で、野菜のこともよく分かりますし、苦労が報われるという自体も大事なことです。
ではまた、記事お待ちします。
ラボスタッフ・オガタ
そういえば、調理といえば教員採用試験で家庭科教諭はこういう実技試験を受けます。
食物~ 課題 調理実習「いわしのかば焼き」を指導することを想定して実演する。
ただし,いわしは手開きとし,かば焼きまで完成すること。 制限時間は10分とする。
これは今年度の宮城県の試験ですが、「指導しながら作り上げて」10分以内です。家庭科恐るべし、です。