東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

8.中間報告~他者から学んでいく~(文:小松澤亮晴)

2020年11月21日 (土)

(0).挨拶

 こんにちは、小松澤です。とうとう中間発表の時がやってきました。ここまで、カイワレダイコンは3世代分、ベビーリーフは実質2世代分、小松菜と芭蕉菜ももう少しで収穫の目途が立ちそうな状況です。メインの野菜の育成は正直不安で、失敗する様子を幾度か思い浮かべてしまいましたが、予想に反して、また期待を越えて、よく育ってくれています。ここまでのところは。ともかく、挨拶はここまでにして、本題に入っていきましょう。写真等過去の記事のものと被ってしまうかもしれませんが、そこはご了承ください。


~目次~

(0).挨拶

1.ここまでの栽培における驚き

2.参考になった記事、コメント

3.参考になったことの実例

4.双方向講義であるということの利点

5.今後の指針

(6).結び


1.ここまでの栽培における驚き

 先程も言ったとおり、ここまでカイワレダイコンを3世代分、ベビーリーフを実質2世代分、小松菜と芭蕉菜をそれぞれ育ててきました。もっと細かく言えば、カイワレダイコンは2回、ベビーリーフは1回の収穫をした、という感じです。ベビーリーフの収穫は葉っぱだけなので、育てている苗は同じものですが。

 では、順番に驚いた点を書いていきます。まず、カイワレダイコンについて、これはなんといっても「成長速度」でしょう。開講からここまで約8週間くらいですが、すでに3世代目の収穫も終わりそうな勢いです。1世代目の育成開始が10月14日なので、実質育成期間は6週間くらいになります。ということは、平均して2週間に一世代という、ものすごくはやい周期で栽培することができるということになります。

 次は植物の「可能態」についてです。わかりにくい単語を使ってしまったので補足しておくと、成長を完了し、収穫時になった植物、作物の状態を、「本質」である「形相」とみなせば、例えば植物における種は、「形相」を可能性として含む「可能態」となり、それが形を現わして「現実態」となる、ということを、アリストテレスは考えていたそうです。要するに、あんなに小さくて軽い種子が、時間がたつにつれ体積が増加し、重みを持つものとして変化していく不思議を、カイワレダイコンのはやい成長によって強く認識させられた、ということです。カイワレダイコンを育てるための容器を手に持つ瞬間、重みの増加の感触を実感せずにはいられません。アルミホイルで包んでいて、ブラックボックスのようになっていたのも一役買っていたのでしょうか。

 アルミホイルといえば、カイワレダイコンは栽培の初期段階では「光を当てない」という、珍しい(自分にとってですが)育成方法をとりますね。自分の植物の知識は、受験の頃なんかは「植物には水と光と肥料が必要だ」という小学生並みの知識で、メンデルの法則などの中学レベルのことすら忘れてしまっているレベルです。実は、種をもらいにいったときに「アルミで光が当たらないように」という説明を、ふんふんと聞いていたように見せかけて、頭の中ではずっとクエスチョンマークが浮かんでいました(笑)。

 それから、「根毛」というのも忘れかけていたので、初めて見たときは白カビだと思って、それこそ驚いてしまいました(笑)。

 では、ベビーリーフについてですが、これはまずは「トライコーム」です。念のため、トライコームとは葉っぱなどの表面にある産毛のような突起物のことです。自分の栽培がストレスを多く与えてしまって、それでこんないかつくなってしまったのかと少し不安になったのもいい思い出です。

 そして、小松菜と芭蕉菜について、というかベビーリーフも含め、これも本当にとるに足らないことなのですが、「子葉はほとんど似た見た目をしている」んだなあ、と。鉢が3つ、ベビーリーフの種類を考えればもっと多くの種類があるでしょうが、それが全て同じ見た目だったのは、なんだか変に感じてしまいました。(本文1483)


2.参考になった記事、コメント

 では、参考になった記事を挙げていきます。

  佐々木さんの記事です。

なにが参考になったのかといいますと、種をまくときの種の密度です。自分はなにも考えずにてきとうに(雑に)種をまいてしまったので、これを見たときには、もう時すでに遅し、というかんじでした。まあ、間引きをしたのでいい感じに育ってはいるのですが、それでもなんだか間引いた植物には申し訳なく感じます。様子は下の写真のとおりです。

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これがここまでで一番よく学んだことですね。


3.参考になったことの実例

 先程のも実例のような感じですが、時間の流れ的に自分の栽培に活かすことができなかったので、ここでは栽培に活かせたことを書いていきます。

 自分の記事についての尾形さんからのコメントです。先程のとも関連しますが、種の密度がわからなく、すなわち間引きの度合いもわからない、という状況で、尾形さんのコメントは非常に助かりました。間引きはもったいない感じがしてなかなか行動に移せなかったのですが、はっきり言ってくれたおかげで思い切って間引きすることができ、今はとてもよく育ってくれています。

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4.双方向講義であるということの利点

 この講義は、自分が育てる野菜の様子を毎週記事にして上げるというものですが、やはり書いた記事に対してリアクションがある、というのはうれしい気持ちになります。そして、これはすごく個人具体的なことなのですが、自分は毎回の記事の冒頭で本の紹介をしています。その紹介文を読んでくれる人のことを想像すると、もちろん適当なことは書けませんし、かといって多くの人にはわからないような表現、単語を使うのもはばかられます。こういうこともあって、紹介する本はすべて、自分がちゃんと読み終えたものにする、ということを決めたのです。そうして本により向き合うことを、この双方向形式はさせてくれました。


5.今後の指針

 さて今後の指針ですが、小松菜と芭蕉菜の収穫が主な目的になっていくと思います。不安要素は23で触れた種の密度くらいで、今のところは施肥も終えて一安心、といったところです。しかし、ここから植物の変化も乏しくなってくるにしたがって、大事に、というか意識すべきポイントは、「他者の記事を参考にする」ことだと思います。自分だけでは気づかない些細な変化や、今誰がどのくらいまで育ててどのタイミングで収穫をするのか、ということなどを他者の記事を通して確認していこうと思いました。


(6)結び

 以上になります。なんとか書き切ることができました。1のところでスペースを食ってしまって後の方の分量が少なめになってしまいましたが。さあ、次の、というより最後の山場は、5000字の最終報告ですね。余裕をもって書き上げられるように、常日頃からしっかり観察していこうと思います。では、中間報告でした。

コメント

文学部・小松澤さん

 育種の渡辺です。一番乗りでの「中間報告」、それもほぼ1週間前。早め早めの行動はよいことですね。まずは評価できます。予想に反して育っているのは、きちんと対応できているからだと思います。「可能態」、「本質」、「形相」、「現実態」というアリストテレスの言葉、読むと、なるほどと思わされました。その意味で何となくですが、観察することが大事なのではないかと、改めて感じた文章でした。分からないことを、分からないというのはつらいというか、難しいことかも知れないですが、いえるようになってみて下さい。これをきっかけに。ベビーリーフの中で栽培しているのは、アブラナ科植物で、分類的には「アブラナ連」という近しい仲間であるので、子葉の形はよく似ていますね。それもよく観察していると思います。

 今年の学生さんは「たくさんの種子を播くね」というのを、ラボスタッフのオガタくんと議論をしたのを覚えています。でも、きちんと間引いて、他の受講生のことも刺激を受けているのが、今の植物の生長につながっているのだと思います。あと、記事のイントロをどの様に書くか、これはとても大切なこと。書いた方にとっては、それにどの様に反応してくれるかも知れないですが、逆に、読んでいる側の立場としては、そのイントロを受けて、どの様に話が展開されるのか。楽しみなわけです。それが双方向のよいところかも知れないですね。

 コマツナらしい写真、よい感じで大きくなっていますね。定期的な施肥と、水やりを覚えたと思います。今後の指針に書かれているように、小さな変化に気がついて、それを文章化することです。ものを言わない植物の変化を理解することは、他のことにもapplyできることかと思いますので。また、一緒にやっている他の受講生の記事、コメントを参考にして下さい。もちろん、先達の記事も参考になりますが、今のこの気温、日照などは条件が違いますので。長い文章を書くことはある種の慣れだと思います。最終報告のことを気にかけながら、毎週の報告を楽しみにしています。


 わたなべしるす

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