東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2020年度展開ゼミ、中間発表へのコメント(11/28)(渡辺 正夫)

2020年11月28日 (土)

 中間発表を6名の方が終えました。〆切よりも1 weekほど早く書いた方もいて、〆切に追われるのではなくて、〆切を追っかける生活ができているのだなと。というのも、忙しくなると、次の〆切が来るものです。なので、できるものは、できるときにやっておく。大事なポイントです。是非、習得して下さい。今年は6名へのコメントでしたので、できるだけ違ったことを書いたつもりです。是非、他の受講生の中間発表、コメントを読んでみてください。自分の栽培だけでなく、文章力、プレゼン力にもよい効果を生むと思います。

 いつもは、農学的な側面は、ラボスタッフのオガタくんに任せていますが、少し書いておきます。普通の植物は同じ種内で遺伝的多様性があることが普通。つまり、芽が出るタイミングがずれることが、その種の繁栄にとって重要なこと。でも、農作物になると、ある種、工業製品のように発芽が揃い、収穫時期も揃う。農業従事者が減っている現在、できるだけ、播種から収穫までに時間をかけないようにする。それが品種改良であり、育種という学問になります。その育種技術の粋を集めたものが「F1雑種育種法」。両親がhomoであれば、雑種第1代は均一に。では、種子にばらつきがあるのは不思議なこと。確かにそうですね。同じアブラナ科でも、ハクサイなどは揃っていたかと。それに対してダイコンは。1つは乾燥の過程で種子が縮むということがあるかと思います。乾燥する前は楕円。でも、それが鞘の中で乾燥するとき、何かの原因、非均一に乾燥するのだと思います。それが分かると、おもしろいわけですが。。。講釈が長くなりましたが、今の農作物も種子のところまでは、ある種、工業製品のようなものなのかも知れないですね。もちろん、生長は環境の影響を受けるので、多少の違いが出てきますが、それでも、F1品種になったおかげで、ずいぶん揃っています。実際の畑で観察した受講生もいると思います。今年の冬休みなどを使って、観察してみてください。

20201128170255-9084fb4a1750f5f730df3c0036005cb3a7e56cbf.JPG それから、数名の受講生が書かれていましたが、生長を数値化すること、これも是非、トライしてほしいですね。例えば、カイワレダイコンは暗い条件で徒長させるので、生育を観察するのは難しいですが、例えば、赤外線カメラがあり、1hrおきに写真を撮って、ぱらぱらマンガのようにくっつけると、植物が生長している様子がよく分かると思います。タイムラプスという技術です。赤外線カメラと言うから難しいので、普通のカメラで、定点観測をして、写真を撮り、それをつなげると、生長が静止画から動画になります。そんなfree softwareもあるかと。やってみてください。あと、少しずつ本格的な寒さになってきましたね。先達は、簡易の温室を作るなど、様々な工夫をして、生長を促進させています。後半戦も様々なことにチャレンジしている様子を見ることを楽しみしているし、頑張って下さい。

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 わたなべしるす