東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

9.ホウレンソウが伸びない、、、(農:佐々木美園)

2020年12月12日 (土)

こんにちは、農学部の佐々木美園です。そろそろ初雪でも見られそうな気温になってきましたね。最近は気を抜くと室温でさえ10℃近くに下がってしまうため、毎日エアコンと着る毛布のダブル使いでなんとか寒さを凌いでいます。あぁ、、、ここに猫がいたら、、、。猫の体温は38℃くらいなので抱っこすると暖かいんです。ちなみに犬も同じくらい。昔、どこかの国の貴族が湯たんぽ代わりに子犬と寝ていた、と聞いたことがあるのですが猫でも代用できますね。猫好きの方必見!

とまぁ、雑談もこの辺にいたしまして本編に入りたいと思います。今回はしばらく放置していたホウレンソウと帰省時のプランについて書いて行きたいとおもいます。



〜目次〜

1.現在の様子
2.寒さ対策
3.帰省時のプラン
4.まとめ



1.現在の様子

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11月24日 8:19 気温12℃ 14日目

この日から、ホウレンソウの鉢をベランダに置き始めました。栽培を開始した当初は本葉が出てくるまで室内で育てる予定だったのですが、長時間明るい室内においていたためか徒長の傾向が見られ始めたため、早めに外に出すことにしました。しかし、この段階で軸がだいぶ伸びてしまったような気がします。

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11月28日 8:28 気温12℃ 18日目

徐々に本葉が見られるようになってきました。白菜の時もそうだったのですが、まだ、全くホウレンソウらしさは見られません。私が育てているホウレンソウは「朝霧」という品種で、葉は丸っぽく、縮んでしわが見られるのが特徴です。今のところは特にそういった特徴は見られず、ベビーリーフやそこら辺の雑草とあまり違いはありません。調べたところ、ホウレンソウは寒さにさらされることで葉が縮み始めるらしいので、まだ縮むのに十分な寒さでは無いのかもしれません。それにしてもなぜ寒いと葉が縮まるのでしょうか。寒さ対策ではあるのでしょうが、縮むと外気に当たる面積でも減るのでしょうか?個人的には葉に当たる光も減少するので、光合成にも生存にも不利になる気もするのですが、、、。

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12月12日 10:08 気温10℃ 32日目

この日、初めて土寄せを行いました。本当は子葉近くまで土を入れたかったのですが最初に土を入れすぎてしまい、1cmほど茎部分が出てしまいました。また、常々感じていたことなのですが、あまり成長速度が芳しくありません。白菜は、32日目にはすでに本葉が大きく広がり、3枚目や4枚目も出始めていたのですが、ホウレンソウは本葉が少し大きくなった位の変化しかありません。気温が下がってきていることもあり、これからの生長に若干の不安を感じています。


2.寒さ対策

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ホウレンソウの生長速度も考慮して、夜間の寒さ対策を始めることにしました。といっても、温室を組み立てるほどのものでは無く、写真のようにゴミ袋を被せるだけの簡素なものです。しかし、熱を発しない植物がこれだけで暖まるとも思えないので、いまいち効果を感じられなかったら、ゴミ袋内に使い捨てカイロも同時に入れてみようと思います。


3.帰省時のプラン

私は再来週付近に帰省し、1月3日にこちらに戻る予定なので約10日間ほどの帰省になります。最初は他の方の記事のコメントにも書かれている通り、腰水でやり過ごそうと思っていました。しかし、コロナの影響もあり親が仙台まで迎えに来てくれることになりました。なので、いっそのこと作物ごと帰省して、せっかくなら農家の祖父母に実際に見てアドバイスでももらってみようかなと思っています。さらに、実家ならビニールハウスもあり、アパートよりも確実な防寒が可能になるため、こちらに放置しておくよりも大分過ごしやすい環境を用意できると思います。


4.まとめ

今回は、久しぶりにホウレンソウに着目して記事を作成してみました。やはり、始めるのが遅かったこともあり、思ったような生長は見られません。残りの期間では、少しでも大きく、ホウレンソウらしく出来るように可能な限りの手を尽くしてみたいと思います。しかし、大きくしたいので暖かくしたい、縮ませたいので寒くしたい、という矛盾が出てきてしまいました、、、。ひとまずは大きくするのを優先して、限界が見えてきたら縮みの過程に移ろうと思います。(1,676字)

コメント

佐々木さんこんにちは

 仙台の寒さが福島と比べてどうなのか知らないのですが、風はたぶん仙台の方が強い気がします。天気予報だと例年よりも低くなる可能性があり、ここ数日も2/-2℃くらいのようです。室温も寒いですね。

 ネコは確かに暖かいのですが、布団に潜ってこられると窒息しないのかという心配をしてしまいます(実際はいつの間にか抜け出しているよう)。うちのネコは一日にカリカリを80g食べますから、300kcalです。12kcal/時間になるでしょうか。ほとんどが基礎代謝として、1cal=4.2Jの計算で行くと、うちのネコは14Wの電気アンカと同じ出力があると計算できます。

 さて今回の報告はホウレンソウについてですね。

 子葉の状態は確かに徒長していなくもないのですが、酷くはありません。良いタイミングで外に出しました。その時の気温もいいですね。昨今の1℃などの温度にいきなり出したのでは植物もなかなかショックが大きかっただろうと思います。

 ホウレンソウらしさはこの時期ではまだはっきりしません。本葉になると葉に丸みが出てきますのでそれらしくなるでしょう。土寄せはそれくらいでいいかと思います。成長が遅いのはこの寒さで仕方のないことです。逆にそれでも本葉はわずかずつ大きくなっていますね。

 葉の縮みのことでは既に出ている葉が縮むというより新しく出る葉が縮んでいるといった方がいいですね。なぜかというと植物に筋肉があるわけではなく、縮むのはあくまでもプログラムされた生育の不均等によるものです。繰り返しですが生育の不均等ですので、生育するところがなければ変化のしようがありません。そして縮むことの生存戦略的意義についてははっきりしません。おっしゃる通り光合成に関していえば不利かもしれませんが、これについては冬季間の低温で光合成代謝そのものができなくなれば(光合成酵素活性がなくなる)、日射は関係ありません。これは実験的な結果で言うのではなく想像でしかないのですが、葉が縮むと分厚くなり、糖分などを蓄えやすくなるのではないでしょうか。または株元に集中することで雪圧に耐える形態だとか。まあ、同一種で縮む遺伝子を入れて耐寒性が増すか、という実験があるのかも(ないのかも)しれません。

 管理においては縮みのことはあまり考えず、順当に生育する方を重視しましょう。

 防寒を考えて下さるのも良いことなのですが...... 方法として全く逆効果です。温帯植物への温室は昼間の温度を上げて光合成を盛んにするためのものです。夜間に暖めたら無駄な呼吸が増して植物はあっというまに終わります。熱帯植物の場合ならば酵素活性と細胞膜流動性の関係で絶対的耐寒温度があり、夜間でもそれ以下にしないようにします(例えばカトレアは7℃、アンスリュームは12℃)。それと温帯植物では意味が違います。ホウレンソウは氷点下でも平気です。

 実際のところ植物は熱を出さないので、実は覆ってもさっぱり夜間は変わらないものですが、そこへカイロなどを入れてはいけません。覆いをするならむしろ昼間であり、光の通る袋をかけてその太陽熱で温度を上げます。しかし今度は上がり過ぎることが心配です(過去受講生の例では温度が期待したほど上がらない方が多いけれど)。ですので覆いが小さくなるほど温度の急上昇・急下降があり、そのため管理が難しくなると思って下さい。

 帰省時に植物を持って帰りますか? それができれば、確かに荷物にはなりますが一番いいですね。実家のビニールハウスが一番です。まあ過去の受講生の例では金沢まで電車でハクサイを運んだ人もいました。それと移動途中で鉢を割ったりする人も散見されましたので気を付けて下さい。

 次記事も楽しみにお待ちします。

 ラボスタッフ・オガタ

20201214175017-6d6af2c0cae3322aba47669151f8ca5ac4f0fa49.JPGうちの太り過ぎネコは普通に座っていられないようです