東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

ハクサイの間引きの時期(工:木村陽来)

2020年12月18日 (金)


こんばんは、木村陽来です。何人か他の受講生の方でも触れる人がいるとは思いますが、今週は仙台では雪が降りましたね。この写真は葉牡丹に引き続き、川内キャンパスで撮ったものです。やはり久しぶりに見ると雪はきれいですね。写真を撮り忘れたのですが、一番きれいだったのは雪が積もった青葉山でした。

それでは、本編に移りましょう。今回は、ミニハクサイの葉の役割について触れていきたいと思います。

1.ミニハクサイの葉の計測

引き続き続いているこのデータ計測。これにより、ミニハクサイがここ最近、あまり成長していないということに気づきました。
【計測条件】
日付:12/18
時刻:21:41
温度:0℃

4枚の葉を下のように番号分けしています。
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計測結果は、①9.7cm ②10.7cm ③9.5cm ④8.9cmでした。
いつものように、グラフと表を作ってみましょう。
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②が前回と比べて1cm縮んでおり、葉の長さが縮んでいることでさえも恒例になっています。グラフを見るとほぼ横ばいです。2020/12/15の北川さんの記事にもありましたが、ハクサイは本格的に寒くなるまでが勝負のようなので、成長が横ばいになっているのはやはり、気温が関係しているのでしょうか。今まで、計測してきた気温をグラフにしてみましょう。
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このグラフより、12月に入ってから急に寒くなったことがわかります。これを葉の長さの成長と比べると、やはり葉の成長が横ばいになっているのは12月あたりでしょうか。もちろん、気温が暖かいときは成長期に当たっていたため、伸びやすいというのもあったと思います。

2.そろそろ間引き?

観察をしていて、1つ気になったことがあります。
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ミニハクサイの若葉が、本葉に隠れて全然表面に出てきていないのです。今まで、再三、葉が重なってきたら間引きをせよ、と言われていましたが、下敷きになっている葉があるようだったら、間引いた方がいいかもしれません。
ここで、どちらを間引いた方がよいか目星をつけてみましょう。下の写真を見てください。
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右の株は、左に接している葉が反り返っており、左の株に押されている感があります。こう考えると、左の株を残した方が良いのかもしれない、と考えられます。今度は1で計測した葉の大きさに注目してみたいと思います。①と④の葉が右の株にあり、②と③の葉が左の株にあります。
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表より、②と③の組の方が、①と④の組より葉の大きさが大きいことがわかります。以上のことから、間引くとしたら左の株になりそうです。

3.まとめ

今回は、葉の大きさからどの葉を間引くのかの考察をしました。通常はこの大きさになるまで残しておくのは珍しいのでしょうか。近いうちに、間引きをしたいと考えています。帰省をする前になると思います。では、また次の記事で。

コメント

木村さんこんにちは

 雪景色はきれいなものですね。しかし不思議なのは雪というものは人間の生存に適していないのに、どうしてそれをきれいと感じるかです。本当はおかしな話ですね。もちろん現象が現象としてあるわけで、それがおかしいというわけではありません。未だ知られない生存に有利な側面があるということでしょうか。白黒コントラストとかに。似たようなことでイカ釣り漁船でイカが寄ってきますね。あの光に釣られてくるわけですから、人間に捕まる危険性以上に、何かイカにとって輝きに釣られることの意味があるのでしょうね。

 さて、今回の報告では素晴らしい新機軸が入っています!

 それは仮説を基にして、二つのデータを突合したという点です。

 先ず葉の長さの計測、グラフ化をしています。さてそこで変化が横ばいであることに気付きました。次に気温の変化がリンクしているという仮説を考え、気温の方もグラフ化して比べています! そうですね。これがまさに自然科学的研究というもので、自分の発想を基にデータを選び、その原因やスキームを考えます。

 さあそれはともかく本格的な寒さのために成長はほとんど止まっています。ここからは変化も少ないので報告することは減ってきますが、そういう気付きがあれば報告も面白いですね。

 葉が縮むということと次の間引きのことは若干リンクしているようなのでまとめて言います。若葉(たぶん中心部に近い葉のこと?)がなかなか出てこないという話ですね。そして更に上から見た株の様子と考え合わせると、このミニハクサイは結球のフェイズに入りかけているのかな、と思います。もちろん葉の枚数そのものが少ないので完全な結球には入れないようですが、ハクサイらしい挙動です。

 間引きについて結論から言えばどちらでもいいです。少しでも完全体を目指したいのなら間引いてもいいですし、トータルの食用部分を増やすなら先に延ばしても構いません。つまり上から見た感じだと日照阻害はそれほど酷くないと思えるからです。そして間引くならばどちらの株でもいいように思いましたが、葉の長さの数字的根拠でもって特定するのもいいことですね。葉の波うちはともかく、数字は根拠になりえます。

 さあ、今週末は暖かい予報です。そういう時はかえって植物はバテてぐったりしがちです。順当に管理を続けましょう。

 ではまた報告お待ちします。

 ラボスタッフ・オガタ

20201221160732-c53700bf1e27983d873939e8f982636e4b9666c1.JPG群馬県は分かりませんが仙台でも蛍はいるんですね
天然ではなく放流ものですが