東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

⑩ 赤房Jrについて ー路地栽培風ー(農:小島蒼太)

2021年12月16日 (木)

とうとう、記事も10個目(番外編と中間発表を除く)今回のTOPの写真は先日行った石巻の海です。海面に景色が写り、絵画のようになっているのを見て思わず撮ってしまいました。右側の雲の形をよくみると夕焼けの中を泳ぐイルカのように見えるのも幻想的な雰囲気を醸し出してくれています。

さて今回は、今まで記事では紹介してこなかった赤房Jrについてまとめます。

 

目次


1. 赤房Jrについて

2. 赤房Jr収穫

3. 実食

4. まとめ


1. 赤房Jrについて

まずは「赤房Jr」が何なのかということについて説明します。

遡ること約70日前、私たちは現在育てている野菜たちの種子の給水・発芽に奮闘していたのですが、私は11個の赤房の種子を発芽させていました。種子は全てうまく発芽し、私はその中から5個を選んで鉢に植えたわけですが、ここで私のケチな根性が湧き上がったのです。「この種子を捨てるのはもったいない...」そう考えた私はネギ栽培のために用意していたお茶パックにつめたバーミキュライトに残りの種を植えました。この残り物たちが「赤房Jr」です。(実際には同時に育っているので、Jrというよりもbrotherの方が正しいのかもしれませんが。)

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植えた種は元気に育ち、お茶パックでは小さくなってしまいました。しかし、私は先生にもらった分しか鉢を持っていません。そこで思いついたのがUHの裏の空き地に植えてみるということでした。

思いついたらとりあえずやってみるというのが信条になりつつある私は、スコップを片手に空き地へ向かいました。そこでしっかり空き地の土を見てわかったのは、その土が植物が育つにはかなり厳しい条件の土だということです。レキの混ざった硬い褐色の土で、土壌有機物が十分にあるようには全く見えませんでした。実際、その土地の大半は雑草すらも生えずに砂がむき出しになっています。ただ、ここに植えなかったらもう捨てるしか選択肢がない野菜たちです。どう育つのか実験の意味も込めて育ててみることにしました。

近くの林から頂戴した腐植を土と混ぜてレキを取り除きながら畝を作り、そこに赤房Jr(とミニ白菜Jr)を植え替えました。案の定、日が経っても本葉は出るもののなかなか大きくなりません。諦め半分でとりあえず肥料を与えた後、雨などもあり2週間ほど空き地からは足が遠のいていました...

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しかし、久しぶりに空き地に行ってみると、、真っ赤な根が土から顔を出しているのを発見しました!鉢に植えていた赤房とは違い、葉も背丈も大きくありませんがしっかり「大根」です。

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数日後の12月16日、根がさらに肥大化したところで収穫しました。


2. 赤房Jr収穫

これが本日収穫した赤房Jrです。

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隣にある白菜はなかなか育ちませんでしたが、赤房は食べられるほどになりました。

IMG_9282.jpg奥に見えるのがUHです

先日収穫した、鉢で育てたものとは異なり、こちらはしっかり赤くなっていました。ただし、根の長さは5cm程度と太さの割には短めでした。これは植え替えの時にバーミキュライトごと植え替えたため、その分の深さまでは根が伸長したものの、それより深くは土が固く太い根を伸ばせなかった可能性が考えられます。

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また、葉は鉢で育てていたものよりも小さくて硬く、野生に近いような印象を受けました。


3. 実食

今回はちょうど米農家の祖父から新米が届いたため、根も葉も炊飯器に突っ込んで炊き込みご飯にしてみました。孫の作った野菜と祖父の作った米の融合です。

大根の根を切っていて感じたのが、根がしっかりと詰まっていてかなり硬いということです。切るときの感触は人参に近かったです。大根のみずみずしさはあまり感じませんでした。

生で食べた感じは、辛味よりも苦味が強かったです。果たして炊き込みご飯にしても大丈夫なのか...

炊き上がったのがこちらです。大根の赤みが薄くなり、見た目は生姜の酢漬けのような感じになりました。

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うまい!!硬かった大根はほくほくした感じになり、やはり人参に近い感じがしました。大根も美味しいですが、それ以上にこれは祖父の米が美味しかったです。改めて尊敬ですね。


4. まとめ

実験的に植えた赤房でしたが、食べられるまでに成長してくれました。ただし、やはり環境は良くはなかったため本来の大根よりも根や葉が硬く、形も小さいものになりました。「食べる」ための野菜を育てる際には環境をしっかりと作ることが大切だと実感しました。

今年最後の記事投稿になると思われる次回は、最近話題に出していなかったミニ白菜たちについてまとめようと思います。(1882文字)

コメント

農学部・小島さん

継続は力なり、と言う言葉の通り、最初の写真の内容に始まり、本文もストーリー性があり、おもしろいものでした。数多くの観察、文章を書いているからだと思います。さて、本題。播種し、発芽したものはきちんと栽培したい。それは農学部の今の植物系(渡辺の頃の、農学科)で大事にしたいポイントです。その意味で、お茶パックを使ったことがよいですね。バーミキュライトで苗というには幼植物過ぎますが、育成したのはよいですね。苗が植えられている土を見ると、通水性がよすぎる感じで、栽培に向いているとは思えないですね。腐葉土を近くから調達すると言うことがさすがです。行動力もですが、植物が必要と思うものへの配慮も十分です。惜しむらくは、こちらで配布した「化成肥料」を少し混ぜると、有機成分だけでなく、土壌栄養的にはよかったのではと思いますが、どうでしょうか。葉っぱが大きくなれば、光合成産物も増えたのではと思うわけです。

そんな苗の状態から大きくなるまでに何日間だったのか、これがあればよかったですね。古い記事と、12/16に収穫というのを見ると、何となくはイメージができるのですが。あと、肥料やけが起きたかも知れない「植木ばちの植物体の写真」と比較して、大きさがどれくらい違ったなどがあれば、なおよしだったのだと思います。もちろん、収穫した植物体の写真はあるので、それはよいことです。また、送られてきたお米との融合、アブラナ科とイネ科という日本の食事に欠かせない2つの融合。食レポもよくできています。

サイエンスというより、アートとしてniceな写真はダイコンが大きくなったものに、奥にUHの建物がある風景。ダイコンががんばっているのがよくわかります。今年の受講生は様々なことへのチャレンジがあり、いろいろなことをやっている方々、高く評価できます。講義も1月終わりまでなので、1.5ヶ月。さらなる挑戦の投稿を楽しみにしています。


わたなべしるす